ＢＲＩＤＥＳ　ＯＦ　ＢＬＯＯＤ
　
68年：ヘミスフィアー・ピクチャーズ
監督：ジェラルド・デ・レオン、エディー・ロメロ
主演：ジョン・アシュリー
　　　 ケント・テーラー
　　　 マリオ・モンテネグロ
　　　 ベヴァリー・ヒルズ
　　　 エヴァ・ダレン
　アメリカ合衆国向けのフィリピン映画になり、ジェラルド・デ・レオンとエディー・ロメロ監督によるＣ級ホラー“ブラッド・アイランド”シリーズの第一作。おそらくドライヴ・イン・シアターでの上映用だろう。1959年のジェラルド・デ・レオン監督、エディー・ロメロ制作による『残酷の人獣』を下敷きにとり、第二作ともいえる。
　個人的にはエヴァ・ダレンの出演に注目する。
　核実験の影響を調べるため、政府に雇われた生物学のポール・ベネディクト博士（ケント・テーラー）と夫人のカーラ（ベヴァリー・ヒルズ）が、助手のジム（ジョン・アシュリー）と南の島へ向かうところからはじまる。船内でカーラが船員のセックス要求に黒いブラをみせ、色っぽい要素をうかがわせる。
　ビーチについてみれば、ちぎれた人体を海中に沈める葬式の最中で、ホラーらしいイメージを与える。サルとカエルの折衷みたいな巨大像があったり、トーテム・ポールが立っていたりがあやしいムードをかもす。原住民の長老（オスカル・キーシー）が博士たちを迎えるも、さほど歓迎のようすがなく、長老の孫のアルマ（エヴァ・ダレン）が親切に接する。村の女たちは全員がブラとパレオを巻いたかっこうで、エヴァ・ダレンのバストの谷間や、パレオの切れ目からのぞく太腿にドキドキときめく。
　ジャングルの中には地主の屋敷があり、アメリカ人のステファン（マリオ・モンテネグロ）が住んでいる。ステファンの忠実な使用人のゴロ（ブルーノ・プンサラン）が異様な顔つきだったり、屋敷の召使いたちが小人なのが、いかにも低予算の構成なりのパターンを感じる。
　ジャングルに枝が手のごとく動く木がはえていたり、新種の蝶が飛んだりで人間を襲うあたりは、さすがにセットがちゃっちいし、蝶を吊る線がバレバレで、ややシラけるかな。処女を二名選ぶ儀式がこなわれ、夜に全裸で杭にくくられると、緑色のモンスターに殺される。実はこの植物人間のモンスターがステファンだと判明するまでの進めかたがタルく、途中でダレるが大きな短所といえる。
　犠牲の女二人はブラをはぎとられるや、乳首がバッチリのオッパイ丸だし。二回目の処女選定ではアルマが当たって、いよいよエヴァ・ダレンのオッパイがおがめるのかとムズムズ興奮が高まる。杭にしばられて全裸にむかれるショットは遠景のままなため、さっぱり誰かわからず、たぶん吹き替えの別人だろう。アルマにほれたジムが住民の拘束を退け、助けにくる流れで、杭につながれるアルマのアップは髪の毛で乳首が隠れ、モンスターが襲いかかるときのお尻がみえるうしろ姿も顔がうつらないため、本人じゃない可能性が高い。ジムのわたした布をボディーに巻いて逃げ、エヴァ・ダレンのヌードを惜しむのが相当に残念。
　あと欲求不満のカーラは夜中に寝室を抜けだし、ステファンの部屋へくるも、ゴロにジャマされたりだったが、ジャングルでモンスターに殺されるとき、お尻のみえるハダカに服を裂かれる。こちらは本人のうしろ姿で、演じるベヴァリー・ヒルズ（またはベヴァリー・パワーズ）は当時のお色気美人女優ながら、プロポーションのよさはさすがでも、個人的に白人はそそらないため、まあまあかなとの印象。
　それよりカッカ性的欲望をくすぐられたのは、モンスターを退治に成功のあと、村の数名の男女が愛をかわすごとく踊るダンスで、それはもう、腰の動きが実にエロティック。アルマの登場で最高潮に達し、脱がないとわかっていても、下半身がボキボキと元気になる。
　若いころのエヴァ・ダレンは、文句なしに魅力的だなあ。
　緑色のモンスターが意外とひょうきんなデザインだったり、Ｃ級ホラーを肯定できるものにすれば、いいんじゃないかってとこか。
　なお、本作公開の1968年はアメリカ映画協会のジャック・ヴァレンティ会長がレイティング・システムの導入でプロダクション・コードによる性描写の規制をゆるめた年だが、州によっては上映に際してトップレスのショットがカットされたようだ。