ＢＯＹＯＮＧ　ＭＡＮＡＬＡＣ　　ＨＯＯＤＬＵＭ　ＴＥＲＭＩＮＡＴＯＲ
（ボヨン・マニャラク　不良の殺りく者）
　
91年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：エディー・ロドリゲス
主演：エディー・ガルシア
　　　 ピンキー・デ・レオン
　　　 ガーリー・エストラダ
　　　 エドゥ・マンザノ
　　　 ロイ・ヴィンソン
　　　 ジョン・レガラ
　　　 マイタ・ソリアノ
　　　 マイリーン・サパンタ
　　　 パキト・ディアス
　　　 ズバス・ヘレロ
　　　 ロベルト・タラビス
　　　 ディック・イズラエル
　ボヨン・マニャラク少佐という実在の警察官をモデルにとりながらも、フィクションがほとんどのようだ。息子のマーロン・マニャラクが殺されたことは事実らしい。
　エディー・ガルシアが主人公のボヨンを演じ、１９６９年のカロオカンに始まる。名うての不良のボヨンは乱暴をくり広げ、警官がくるとたくみにごまかしまくる。それがホセ・ロムロ演じる警察のチーフと合意で自らが警官に転身。周囲は不良のイメージがあるので容易に信用しないし、本人も犯人をバシバシ射殺などの強引な手法をとってロベルト・タラビス演じる上司の反感を買うながら、次々と手柄をたててエルニー・サラテ演じるさらに上の上司に認められていく。次第に正義感が盛りあがり、結婚で四人の子どもにめぐまれて家庭的にもよきパパに落ち着くも、不良時代に対立したロイ・ヴィンソン演じる悪党がズバス・ヘレロ演じるボスの犯罪シンジケートに加わり、命をねらってくる。エドゥ・マンザノ演じる賞金稼ぎを仲間に入れて、いったんロイを逮捕に追いこむが、証拠不十分で釈放。反対にパキト・ディアス演じるズバスの配下にマンジョー・デル・ムンド演じる部下を殺される。パキトの射殺の過程でエドゥの行動があやしくなり、陰でロイに通じているとわかる。その事実をつかんだジョン・レガラ演じる部下もエドゥによって斬殺に。ロベルトまでズバスとグルだったので、批判に怒ったエディーがバッジを返して独自の捜査をするというと、自宅が襲われる。しかもガーリー・エストラダ演じる息子が犠牲になって犯罪への恨みが私怨に変わり、ズバスの本拠へ攻撃をかける。
　不良時代にマイタ・ソリアノ演じる女性と知り合って目をつけ、留置所からのうけだしを頼んだりのうえ、肉体関係をもつ。警官になるとピンキー・デ・レオン演じる食堂の娘にほれて無理やり口説き、嫌がるのに結婚をおしつける。いざ女房におさまるとピンキーが恐妻で、マイタを囲っている事実をつかみ、おしかけて別れさせる。罰で家事を命じ、エディーが情けなく洗濯や料理の図がおかしい。
　少年のころをオビー・オソリオ、成人してディック・イズラエルが演じるエディーを慕う口のきけない男のジェスチャーぶりや、興奮でジョンがオシッコをちびるなどは点描的コメディー要素で、決してジャマにならないあつかいがよい。
　でもエディー・エドリゲス（フミルデ・“ミーク”・ロハスと脚本も兼任）の演出はエピソードをさばききれず、主人公の変ぼう過程に説得力を欠くのが惜しい。
　風俗的な面白さではマイタを誘うダンス・ホールで“イン・ザ・ムード”が流れ、ピンキーと出会う食堂で“涙の乗車券”が聞かれる。エディーが自分のテーマ曲だと歌うのが“時の過ぎ行くまま”といった音楽に興味がわく。女優だとマイタにセックス・シーンがあるが、ベッドでのスリップまでで肝心の露出なし。エディーのバースディー・パーティーで踊る短パンの女のほうが色っぽいくらい。ガーリーの恋人を演じるマイリーン・サパンタはすごくキュートで、ヌードをおがみたくなる。売春宿の捜査で猛烈に抗議のママさん役のヴァンジー・ラバランが圧倒的な存在感。
　なおダンス・ホールの伊達男役でレス・コルテスがカメオ出演している。