ＢＯＯＫＩＮＧ
　
09年：オレンジイト・プロダクションズ
監督：ホヴェン・Ｍ・タン
主演：エミリオ・ガルシア
　　　 マルコ・モラレス
　　　 メルセデス・カブラル
　　 　アニータ・リンダ
　　 　スヌーキー・セルナ
　　　 チャールズ・デルガド
　　　 ベルニー・ギント
　おなじみホモを題材にとるディジタル作ながら、監督が若手や新人でなく、商業映画で活躍のホヴェン・ムナル・タンなのに注目する。
　芸能界でマネージャー業をめざすヘネル（エミリオ・ガルシア）が貧民街出身のランド（マルコ・モラレス）を売りこもうと、いくつかのプロダクションをめぐる。ヘネルはホモで、ランドのことが好き。タレントをめざすアンナ（メルセデス・カブラル）とランドがセックスし、ヘネルと三人で暮らすようになるが、配役をえられず、売春で生活費をかせぐ。ランドがヘネルを拒み、ランドの祖母のリタ（アニータ・リンダ）を突き倒すなどの錯乱のうえ、ついにヘネルがハサミで刺して自殺との話。
　とくにどうってことない。
　スラムの描写にはじまり、引っ越しでリタがサント・ニーニョを大事に抱いていたり、サント・ニーニョをまつるフィエスタがでてきたりの宗教が根づく民族性や、ランドの弟が太ったオバサンへの男娼のほか、アンナが売春で相手が芸能関係者とわかるとマグロからわざとらしくもだえる声をだし、ランドがハゲたオヤジにホモ売春でアンナにコミッションを払っていたりの性風俗の盛りこみ、ヘネルの姉で松葉杖をつく障害者のセリヤ（スヌーキー・セルナ）が、オカマなので家をだされたヘネルを追い返し、ヘネルの父が亡くなるといった人物配置、ランドがセザール・モンタノのようなアクション・スターを夢みている華やかさへのあこがれを示すも、ちょっと興味をかりたてる程度。
　ヘネルが訪ねる事務所のひとつである担当がロデル・フェルナンド演じるオカマで、フィリピンのショー・ビジネスにはオカマが多いのをうかがわせるのと、ヘネルたち三人がウベ・アイスを食べるシーンに雰囲気のよさにじむのがまずまずかな。
　でもドラマの底が浅く、ホヴェン・タンの限界を感じざるをえない。
　ただしロミー・ヴィトゥグの撮影が貧困を汚くではなく、濃い目の色彩センスでリアルに伝え、けっこう評価にあたいする。
　同性愛をあつかうだけに男のヌードの散りばめはさすがに気持ち悪く、冒頭のランドの宣材撮影でマルコ・モラレスがパンツ一丁になり、アンナがのぞくヘネルとのホモ・セックスでチンポがみえる。アンナとのセックスでもチンポを露出しているし、ハゲのオヤジをフェラチオではお尻が迫ってくる。また肥満のおばさんと弟のセックスで、弟のチンポがぼやっと丸だし状態。
　もちろん女性のヌードもあり、アンナがわざとあえぐセックスでメルセデス・カブラルが乳首をモロのオッパイを上向きにするうえ、トイレの便器にパンティーをおろしてしゃがむときも乳首を隠さないトップレス。男の感触を消すかのごとく身体を洗っていると、相手の男が入ってくるシャワーで乳首やお尻のみならず、陰毛もチラつく。ランドとの二度のセックスは一回目に乳首をだし、二回目は騎乗位でオッパイを全開の乳首をおがませる。下着姿や真上からのアングルによるバストの谷間のショットも含むながら、いささかメルセデス・カブラルがブスっぽいので興奮度が落ちる。
　なんか、すべてが中途半端な作品に思えてくる。