ＢＯＬＤ　ＳＴＡＲ
　
03年：ワイルド・ワールド・エンターテインメント
監督：アンヘリート・Ｊ・デ・グスマン
主演：キャンディー・アリソン
　　　 アレン・ディソン
　　　 ナターシャ・レデスマ
　　　 メエ・リヴェラ
　　　 レイ・ＰＪ・アベリアーナ
　　　 ディック・イズラエル
　　　 ジェフリー・ゴンサレス
　　　 イーアン・ヴァルデス
　　　 ボブ・ソレル
　　 　ジョシー・ガルヴェス
　ボールド・スターとは、アダルト映画に出演の女優のこと。ただセックスの本番であえげばいい日本のＡＶモデルと違って、ちゃんと演技力が必要になるから、かつてのロマン・ポルノ女優に近いかもしれない。
　キャンディー・アリソンを実際にボールド・スターへ持ちあげようとの企画で、セクシーな期待がわきあがる。
　メエ・リヴェラ演じる母がレイ・ＰＪ・アベリアーナ演じる愛人におぼれ、キャンディー演じる娘を犯そうとしたのに、レイの言い訳を信じてキャンディーを追いだすのが冒頭。ホームレス生活のキャンディーを、たまたまディック・イズラエル演じる屑拾いが救う。そのあとの過程をズバッと省略し、キャンディーが映画女優に転身をとげ、レイプを受けるシーンの撮影で、実体験の記憶が蘇って男優を本気で殴るシーンへとつながる。同時にボブ・ソレル演じる有力者がキャンディーに目をつけ、イーアン・ヴァルデス演じるオカマの手引きでキャンディーと密会。
　物語はキャンディーがプロダクションと契約し、ディックを社長、イーアンをマネージャーに売りだすも、ハダカをさらす偏見と戦う、なんてドラマを予想したのだが、まったく違う内容だった。
　ジェフリー・ゴンサレス演じるマッチョ・ダンサーを相手役に選び、ツバメに囲ったり、芸能界の腐敗を描くようでいて、さっぱり本気と思えない。メエがシャブで発狂状態におちいり、その母との過去や、ディックとの関係を制作発表の会場で意地悪な記者が質問し、ディックがカッとなって暴力をふるうなどの状況を持ちこむも、キャンディーはさっさと現実退避してしまう。たまたま出会ったアレン・ディソン演じる実業家と不倫に走り、田舎の家に隠れる日々へ。ロベルト・タルビー演じる管理人の事故死をとげた娘がキャンディーと瓜二つだったとは、ほとんど余計なネタ。偶然、訪ねてきたレイをキャンディーが誘惑で殺し、ボブがキャンディーの捜索をイーアンに命じると、ジェフリーがやってきてキャンディーに愛を告白も、イーアンに頼まれた芝居とわかって殺害。ジェフリーを探すダニー・リエル演じる警官にまで手をくだし、結局、連続殺人の話かよ、とイヤになる。
　これじゃ、ボールド・スターのアイデンティティーにまったく目を向けていないじゃないか。
　誰が死体を処理したかのミステリー趣味なんて、正直、バカバカしい限り。キャンディーとディックの異常な義理の親子関係を、ディックがオカマで、病気持ちのキャラに設定で成立をねらうのは、苦肉の策と推測する。またメエを批判のジョシー・ガルヴェス演じる叔母や、浮気の発覚に怒るトリシャ・ヤコブ演じるアレンの妻など、脇のからませかたが実にヘタ。とくにナターシャ・レデスマ演じるジェフリーの妹は、何のために顔をだしたのか、最後まで釈然としないまま。
　はっきりいって、しょーもない作品。
　まあ、骨董屋で買った姿見になんども自分を映してキャンディーが語りかける表現は、二重人格の暗示をひめたようでいて、それほど成功には思えないが、小道具を中途半端に使いがちなフィリピン映画にあって、ちゃんとこだわった姿勢を評価したい。
　もっともボールド・ムーヴィーなんだから、キャンディーがカッカ興奮を呼んでくれれば文句のないところ。映画撮影でレイプを受けるとき、黒いブラふうの衣装をはがれ、下に白いブラをつけているのはお笑い。ボブの前での挑発ダンスがみせまくる。ボディコン・ミニからトップレスで乳首を隠しながら踊り、ベッドへ寝るとオッパイ丸だしの全裸。ボブがバックで挿入する。ジェフリーを男優に撮影では、赤いビキニで視線を奪ったあと、青い紐ビキニでプールへ飛びこむや、なんと気がつけば素っ裸。お尻や陰毛が浮かび、オマンコものぞく寸前。
　スゲーッ。
　キャンディーの陰毛が薄いとわかってビンビンをまねく。ジェフリーとのセックスではオッパイがアップで、乳首の朱っぽい色合いも明らかに。アレンとのセックスやレイへの復讐の際にも、青いＴバック一枚でのオッパイ露出やワンピースをめくってオッパイをポロリ、とほとんどだし惜しみがない。レイを包丁で刺し、逃げるのを追う流れで全裸のままを続け、ちょっとスゴすぎる。ジェフリーが連れ戻しにきて、うす紫のブラからオッパイを全開にし、揺り椅子でセックスに変わっての黒いＴバック一枚に燃えつきそう。鏡の中の自分へ発砲すると、弾がキャンディーを射抜くシンボライズな最期を迎え、抱きあげられる死体のポーズで一糸まとわぬ姿だから、またもお尻の奥にオマンコがのぞきそう。
　あまりの大胆さにキャーッ。キャンディーは堂々たるボールド・スターだと拍手を送りたい。
　共演の女優陣では、トリシャがアレンとセックス・シーンを繰り広げ、黒い紐なしブラを披露。ナターシャにヌードがないのは、意外なうえに残念。歌手として人気のあるメエや、トリシャの友人を演じたケート・ヨーロパにも際どいシチュエーションがほしかったところ。ナターシャがベニー・アンダヤとリクリク・サビク演じるオカマとバーで相談ごとのシーンで、店内にいるビキニのホステスがけっこう美人でハッと息をのむ。
　ジェフリーがチンポのあたりに花輪をつけ、全裸になる男のストリップは、はっきりいって気持ちわりー。
　余談ながら、フィルムを編集の様子がみえるシーンがあって、ムヴィオラが16mmだから、やっぱりと妙に納得した。