ＢＩＹＡＨＥＲＡ
（旅する女）
　
02年：メトロ・フィルムズ
監督：ホヴェン・Ｍ・タン
主演：ガルド・ヴェルソサ
　　　 リタ・アヴィラ
　　　 グラディス・レイエス
　　　 バルバラ・ミラノ
　　　 ジネット・ホアキン
　　　 ダニエル・フェルナンド
　　　 ジョン・アパシーブレ
　　　 イダ・マンザノ
　　　 ステラ・Ｌ
　　　 シモン・イバラ
　　　 アルド・アルヴァレス
　ホヴェン・Ｍ・タンが２００２年に公開の監督作は、なんと五本目。しかも前の『ＳＥＸ　ＦＩＬＥＳ』からたった一週間しか経っていないから、一体どういう順序で制作したのかもわからず、かつての渡辺邦男やマキノ正博（雅裕）のような早撮りか、とも想像する。
　でもまずまずの内容で、楽しめればいいんじゃないの、といった感じ。
　マニラへ向かう街道沿いにあるドライヴ・インが舞台。ホヴェンはホント複数の人物を同時に描くのが好きだが、今回もここで働くウェイトレスたちの群像劇になっている。
　ダニエル・フェルナンド演じるオーナーが、田舎からでてきたジネット・ホアキン演じる新人を港まで迎えに行くのが冒頭。店にはリタ・アヴィラ演じる中年女を筆頭に、イザ・マンザノ演じるダニエルのセックス相手をさせられている女、グラディス・レイエス演じる自分を置き去りにした男を待ちくたびれている女などがいる。また近所にはシモン・イバラ演じる下半身不随の夫を治療のため、バルバラ・ミラノ演じる売春婦がストリートで営業中。ガルド・ヴァルソサとジョン・アパシーブレ演じるトラック運転手がドライヴ・インに寄って、ガルドはジネットをみそめ、ジョンはバルバラを買って、すっかりイカれる。ジョンは妻子持ちだが、ステラ・Ｌ演じる女房が嫉妬深く、いつも浮気を疑っている。この全員が一応の主人公。
　とにかくうら悲しいムードがずいしょに漂い、どこか『ヘッドライト』を連想させるような要素をうかがうが、あれほど絶望的ではない。
　グラディスがあっさり自殺は、いささかとう突で、ふくらみの薄いエピソード。その死をダニエルが迷惑にしかとらえない態度は、傲慢さを表現しようとの意図が理解できるものの、ワルを一人に押しつけていて、構成的な弱さにもなっている。でも仕事が終わって眠ろうとするイダをダニエルが呼びつけ、黙々とセックスするのをイダが無表情で受けているあたりからは、店だけでなく、店員すらも私物化の金権主義者の嫌らしさが伝わってくる。イダがはらむや、今度はあっさりジネットに鞍替えし、女性を人格として扱わない自分勝手さは、こういう男って実際にいるよなあ、との印象。リタはかつてのダニエルの女だった過去を匂わせ、イダに激しい暴力を振るうダニエルに対し、ついにキレて思わず重石で殴りかかり、結局はやっぱりフィリピン映画にありがちな殺人劇か、といささかパターンを脱していない点が残念だった。
　一方、バルバラの描写はというと、客とのセックスに倦怠感があって、どんよりとした気だるさのにじませかたに感心。セックスが終わって帰るとき、まだハダカで横たわっているジェーゴ・サルヴァドル演じる客のお尻をポンと叩いて「おカネ」というあたりなど、ルーティン化の無感動ぶりをさり気なく浮きぼりにする。それだけにシモンが両脚にケガをおう前の、新婚当時の幸福を回想のシーンが、余計に現在のシチュエーションのつらさを訴えてくる。ただジョンの目の前でバルバラが交通事故にあうツメは、いくらなんでもつくりすぎよ、との不満がわきあがる。
　ステラのジェラシーぶりは単調だし、ジョンを追いだすときの怒りかたも強引だが、同じような妻をフィリピンではたびたびみかけるだけに、すんなり納得。
　最後は再び港となって、田舎へ帰るイダをジネットがみおくり、ガルドとジネットが結ばれる姿から希望の光がさしてくる。甘いといえば、確かに現実に即していないかもしれないが、やさしさを忘れなかった視線に共感。
　一応は満足できる作品だ。
　ところでリタとグラディスはともかく、ずらりとそろったセクシー女優たちの脱ぎっぷりは文句のないところ。バルバラはジョンとのセックスが白いパンティー一枚で、オッパイをチラリとみせるのがウハウハだが、赤いランプの下という画面が生っぽく、イマイチ興奮できない。ほかの客とのシーンは露出も少なく、わびしさをかもそうとしているからアレレと盛りさがるものの、シモンとの思い出のセックスがやってくれる。ムシャぶりつきたいオッパイやナメナメしたいお尻など、相変わらずのうっとりするようなボディー。うれいのある顔も手伝って、ますますファンになる。
　イダとステラは好みの美人で、プロポーションのよさにも前から悩殺されているが、イダはジネットと一緒に二度ある無言の着がえのショットでパンティー一枚。二人ともキュートなオッパイだけに、どちらへ目を釘づけにしようかと迷うことしきり。ダニエルに抱かれるとイダはパンティーに手を突っこまれ、ペロリとめくれて半ケツ状態に。ウワー、これは全部みえているよりもそそる。ステラはジョンと蚊帳の中でセックスを始め、立位で抱き合いながらも、オッパイがプラプラ揺れまくるからたまらない。イヤー、くわえこみたいくらいおいしそうな乳首をしてるじゃないか。下はパンティーをはいたままなものの、キュッと食いこみ、こちらも丸みえより挑発的。
　ジネットはとくに大胆で、先のイダとの着がえにおけるトップレスもドキドキだが、恋したガルドによる夢のシーンに、予想をはるかに越える全裸をさらし、完全にノック・アウトの驚嘆。ハンモックで騎乗位になってのセックスと、泡風呂に入りながらの愛撫、黒い下着で接近の三つを平行でフラッシュ・バックし、ハンモックでは突きだしたお尻のお肉をガルドの両手にギュッとつかまれるのを斜めうしろから撮ったショットがエロく、風呂では湯の中で仰向けになると、これでもかと胸をはってオッパイを正面へ迫らせる。「ススス、スゲー！」と声がでそう。しかもガルドの胸から首筋へとなめながら全身を湯の外へだしていくバックのヌードでは、片足をあげるポーズをとったとき、お尻の割れ目の奥からオマンコがみえそう。「ちょ、ちょ、ちょっと待った」 とイキそうになりながら全神経を集中でながめると、ほんの少し泡がジャマしてオマンコのあたりを隠している。あの泡が二、三センチ小さかっただけで、オマンコがバッチリだったじゃないか。
　ジネット、最高。
　性愛部分まで採点にプラスすれば、相当に高ポイントを与えたい作品である。