ＢＩＲＡＤＯＲ
（殴り合い）
　
98年：スター・シネマ・プロダクションズ
監督：エドガルド・“ボーイ”・ヴィナラオ
主演：ルディー・フェルナンデス
　　　 ドニータ・ローズ
　　 　ヴィクトル・ネリ
　 　　エミリオ・ガルシア
　　 　デイジー・レイエス
　　 　ロベルト・アレヴァロ
　　　 ロイ・アルヴァレス
　　 　シャーリー・フエンテス
　悪徳警官というか、チップをほしがるセコい警官はフィリピンにいっぱいでうんざりだが、ここまで悪いのはさすがにいないだろう、と思える作品。ワイロをとったり、犯罪シンジケートに内通はまだしも、マジで自らが犯罪を演出するだろうか。
　冒頭にジョージ・エストレガン・ジュニアたちが演じるグループによる銀行強盗のシーンがでてくる。警官隊と銃撃戦を展開のあと、実はこれが芝居とわかる。警官たちはカネを届けにきたジョージたちを殺し、全部をポッケに。
　演じているのはロイ・アルヴァレスをリーダーに、ルディー・フェルナンデス、エミリオ・ガルシア、マイク・ガヨソ、ヴィクトル・ネリたちで、個性あふれる連中がそろっている。主人公はルディーだが、デイジー・レイエス演じる妻がいるも、子どもまでもうけたにもかかわらず、、アルヴィン・アンソン演じる夫から強引に奪ったとわかるし、少しでもデイジーがアルヴィンと連絡をとると、容赦なく暴力を振るう。そのくせ自分は用心棒を兼任のゴー・ゴー・バーのシャーリー・フエンテス演じる女性オーナーを情婦にかこう、まあ色とカネの欲にまみれたトンでもないヤツに設定されている。
　ある日、ムチャクチャがたたって襲撃をうけ、たまたま通りかかったドニータ・ローズ演じる女性に救われて病院へ担ぎこまれ、九死に一命をとりとめる。ドニータは敬虔なカトリックの信者で、彼女を好きになることによって、ルディーが人間性を回復していくのがドラマの骨格。
　いつしかデイジーがでていくのを認めたり、殺人の瞬間に自分がキリストのように磔にあいそうな幻想を抱くようになってためらうも、最初のうちはふりきる。でもメリッサ・アヴェリン演じる愛する妹を二人組にレイプされ、処女を奪われたため、犯人を追いつめて一人は交通事故死させ、もう一人は射殺、と思いきや、実は殺していなくて、ゲイがいる留置場へブチこむ。そこでオカマを掘らせるのだが、目には目を、レイプにはレイプをというわけだ。
　まあレイプ犯は個人的に死刑が妥当だと思っているから、日本でも少年法で軽い刑にすませるなど言語道断で、実際に仕事人がいたら依頼すべきだと感じるのだが…
　そんなことは別の話。キリスト教の精神は許すことにあるはずながら、許してばかりいたら無法地帯になるのが現実である。レイ・ヴェントゥラ演じる労働者のストライキを指揮する組合のリーダーを何とかしてくれと頼まれ、誘拐まではよいが、仲間の警官が拷問の際に殺してしまう。このあたりから分裂が始まり、誘拐のときに目撃者がいて、似顔絵から犯人としてルディーが浮上。
　モンタージュ風に似顔絵を作成のシーンは、けっこう興味深い。
　悪徳警官たちはルディーを消そうとするが、ヴィクトルだけが唯一みかたで、殺害にやってくることを知らせた先の教会で銃撃戦を展開。ヴィクトルは亡くなり、いよいよルディーが単身で元仲間のたむろっているゴー・ゴー・バーへ乗りこみ、ロイやエミリオを全滅に追いこむわけである。
　それで裁判ですべてを証言の流れに、復讐するは我にあり、などと脳天気に神などに悪の退治は任せておけない、ということだろうか。汝殺すなかれを平気で破るパワーに、なるほど、だからこそ、こういう人たちにかえって宗教は必要なのかもしれない、とヘンな納得が起きる。自分の良心でちゃんと殺人も強盗もしない（姦淫はするが…）由緒正しい（？）無宗教徒としては、このあたりの皮肉が面白い。
　最後は組合のリーダーの息子に裁判所をでたところを撃たれ、まぶたからみえるドニータが薄く消えていくショットで終わり、犯した罪の償いは、結局は神によってなされるとも解釈できるようで、エドガルド・“ボーイ”・ヴィナラオ監督たち作者の主張なのか。まあドニータのような女性がルディーを好きになること自体が無理の多い設定で、フィクションだからいいじゃないの、といった程度の仕上がり。
　ちなみに教会でポップな音楽による集会のシーンがすごくユニークで、本当に開催されるミサかなあ、と調べたくなる。ライトなミュージックは音楽を担当の俳優でもあるハイメ・ファブレガスによるものだろう。
　さて女優陣の魅力にふれれば、まず大ファンのデイジーがルディーとのセックス・シーンで、得意の上半身脱いだ姿となって、座位でキスし合いながら乳房の隠れたポーズをみせ、またまたまた…とそそられる。続くシーツにくるまって、肝心のところをガードで抱き合う姿もおなじみで、たぶんデイジーは乳首にニプレスを貼っているだろうなあ、との想像が起きて興奮。前半でルディーの家をでてしまうから、もう出番はないのかと残念になったが、あとでちゃんと遊園地のプールで家族と遊ぶところにルディーと遭遇のシーンが用意されていた。露出の少ない青いビキニで、あらためてウェストなどのしまりが少なく、太めボディーだなあと確認も、大きなヒップに浮きでるラインなど刺激的かつキュートで、どうしてこんなにデイジーが好きなんだろう、と自分でもあきれるほど。
　ドニータは一般的なセンスではデイジーよりもずっと美人だし、レイプによって精神的なダメージを受けたメリッサを連れて海へリハビリに行くシーンで水着の披露をくれる。こちらも露出の少ないビキニながら、前かがみになったときに乳房の谷間が目の前に広がり、思わず圧倒されるのみ。ああ、ブラに手をいれ、乳首をつまんでみたい。いやブラの上からでいいから、オッパイをタプンタプンとさわってみたい。
　シャーリーはさすがにかつての張りを失い、年をとったなあとの印象。抱き合っても脱がないままは、しょうがないかもしれない。
　あとメリッサはレイプ・シーンでシャツを裂かれてチラッとブラがみえるものの、残りは顔のアップのみでボディーを隠す描写になっている。まだ子どもみたいなものだから、当然だろう。