ＢＩＫＩＮＩ　ＷＡＴＣＨ
　
95年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：ベン・フェレオ
主演：アンドルー・Ｅ
　　　 イナ・レームンド
　　　 キャロリン・サップ
　　　 スモーキー・マナロト
　　　 シャーリー・フエンテス
　　　 ラフィー・ロドリゲス
　　　 デール・ヴィリアール
　　　 グライデル・メルカド
　　　 シェール・バールワニ
　くだらないギャグを満載のコメディーはフィリピン映画において専売特許ともいえるジャンルの一つだが、これはその中でもお気に入りの一本。スービック・ベイのビーチを舞台に、よくもまあ考えたものだと呆れるほどノーテンキなスラプスティックが展開していく。
　物語はイナ・レームンド扮するリゾートのオーナーである船長の娘が、シャーリー・フエンテス、グライデル・メルカド扮する看護婦の友人を伴って帰るところから始まる。リゾートのウェイター見習いの一人がアンドルー・Ｅの役どころで、二人にロマンスが生まれる。とはいっても、キャロリン・サップ扮する宿泊客のアメリカ娘が、離婚交渉のために恋人がいったん去ってしまい、一人残されて失意の状態でからみ、三角関係になる。小柄なアンドルーはどうみてもモテるタイプではなく、しかもドジでちょっと頭が悪くて、決して性格もよくないキャラクターなのに、イナのごとき美人が嫉妬のあたりがコメディーたるゆえん。ようはおとぎ話なのだ。
　前半はこれでもかというくらい意味なし芝居が繰り広げられ、かつての『ゲバゲバ90分』に簡単なストーリーがついた感じ。後半は一応リゾートの近くにある化学工場が公害を発生させ、営利優先の彼らと戦うとの構成になっている。フィリピンにおいても環境問題の意識の高まりをうかがわせる内容だが、アンドルーの車が黒煙をまき散らせてイナたちを真っ黒にするシーンなど、いくらギャグの一つとはいえ、それも公害だぞと思えてくる。まだ環境問題の本質をちゃんと考えているかどうか疑問であり、 困ったもの。
　悪徳工場関係者たちとの対決シーンは､相当にハデなアクションを展開している。暴走の車や爆発シーンなど、ちょっとした犯罪映画のそれを上まわる構成。かなり命がけのスタントにもかかわらず、あくまでコメディーの本質を崩さないのは、ベン・フェレオ監督、まあまあやるじゃないかと評価に十分たるところ。命が危うい状況も笑いに変えてしまうのは、フィリピン映画におけるコメディーの一つのパターンでもあるが…
　それと本作の見どころは、何といってもビキニ美女たちの群れが右往左往し、たっぷり観賞できる点につきる。キャロリン・サップや、ライフ・セーヴァー役のベタニー・グランツ、チャーシー・エヴァースといった白人美女のダイナマイト・ボディーが迫力たっぷりだが、イナ・レームンド、シャーリー・フエンテス、グライデル・メルカド、シェール・バールワニのみごとなプロポーションにうっとり。ハイレグ・ビキニで海岸を闊歩や、フラフープにビンボー・ダンスで、これでもかと悩殺をくれる。とくにイナのセックス・アピールは格別になり、ちょっとキツそうな容姿がまた魅力的。アンドルーがキャロリンとイチャつく現場をみてくやしがる表情など、怒らせてもまたかわいいの典型ではないか。
　ビキニのイナに抱きつきたくなった。