ＢＩＫＩＮＩＮＧ　ＩＴＩＭ
　
90年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：マイク・レロン・マキリン
主演：ジョーイ・マルケス
　　　 ヴィヴィアン・ヴェレス
　　　 クリスティナ・ゴンサレス
　　　 ヨヨイ・ヴィリアーメ
　タルい印象のお色気コメディー。
　ジョーイ・マルケス演じる修理工がヴィヴィアン・ヴェレス演じるバーのダンサーにほれていて、ヴィヴィアンが日本へ行くことになり「私のいない間、これを私だと思って大切にしてね」と黒いビキニのパンティーをわたされる。それをみてヴィヴィアンのイメージにひたりながらも、クリスティナ・ゴンサレス演じる近所の女性とロマンスが生まれる。といった内容で、いくつかのエピソードをら列の構成をなし、とくにストーリーのようなものはない。デンショ・パディーリア演じる父がジンキー・オダ演じる後妻をめとり、遺影の額の中にいるカティー・モリナ演じる先妻がにらんでみせる。キエール・レガスピ、メル・マルティネス演じる弟、チンキー・タン演じるヴェトナム人の養子の弟にそれぞれマルー・ガブリエル、ロセル・レガスピ、カテリン・ゴメス演じるガール・フレンドができて、なぜか内気なメルばかりうまくいくながら、ダニー・ラブラ演じるカテリンの父が娘を傷ものにしたと怒鳴りこんでくる。ベルティン・ラブラ演じる犯罪シンジケートのボスがデンショの親友で、ミシェル・アン・ロペス演じるベルティンの娘の見張り役にジョーイが雇われ、恋人と外出しようとするのをあの手この手で妨害、なんてお話が展開。
　ジンキーの料理が硬くてのこぎりで切ったり、クリスティナの姉であるルト・レカニャ演じる小人がいきがったり、ジョーイがジョジ・イスラ演じるクリスティナの父の車を修理で爆発を起こしたり、アイロンを電話と間違えて耳に火傷をおったり、ジョジ宅のシャワー室から水が噴きだしてドアを突き破ったり、ギャグが冴えないからイマイチなできといわざるをえない。
　まあ、骨折で動けないジョジをジョーイがコチョコチョコチョッとくすぐるのと、ジョーイが差し入れたレチョンをジョジが食べて、かすを犬に投げるや、犬がずっこけて「毒だ」なんてあたりがクスッとできたかな。ヴィヴィアンを日本へ呼ぶソニー・スギモト演じるプロモーターのナカムラがヴィヴィアンに「結婚しよう」とイチャつき、ヨヨイ・ヴィリアーメ演じるバーのマネージャーが「ナカムラさん、お気に入りのワインを用意しますか」とペコペコおじぎ。ジョーイがナカムラのボディー・ガード二人とケンカをはじめ、ヴィヴィアンのチョップで二人があっさり気絶、なんて部分は日本人のカリカチュアがちょっとおかしい。ラストでヴィヴィアンが戻って、密輸犯だったナカムラが「コノヤロー」と追いかけてくるも、お縄をちょうだいで逮捕も同様。ヴィヴィアンが実は秘密警察のエージェントで、ジョーイにあずけたパンティーの中に証拠のダイヤを隠していたオチは、たらいで何度もジョーイがパンティーをゴシゴシと洗っていただけに、ジャリのようなダイヤがゴツゴツして気がつかないわけがなく、ご都合主義がナンセンス喜劇ゆえん。「任務を優先で結婚できない」とヴィヴィアンがジョーイに告白し、でもクリスティナが「あなたを愛してるわよ」と教えるあたり、いつヴィヴィアンはジョーイとクリスティナのロマンスを知ったわけ、といった状況無視がいいじゃないか。
　全体的にさむいながらも、すべてがダメというわけではない。
　もっとも、いの一番にヴィヴィアンとクリスティナのセクシーさを期待したのが本音。冒頭のステージでヴィヴィアンが踊り、網タイツに黒いパンティーによるお尻のドアップから登場に、はおっていたジャケットを脱いでブラの胸元で誘惑。ジャケットを着ているショットとの順番が逆で、つながっていない個所があるながら、そんなのは許容の範囲内。パンティーに飾りがついているのがジャマで、せっかく貼りつき衣装なのに惜しいじゃないか。ホテルでジョーイにパンティーをわたすときの黒いスリップによる前かがみのかっこうでバストの谷間が視線を奪ったあと、ジョーイの想像の中では一緒に混浴の泡風呂でブラをはずし、オッパイをこぼれる寸前にしながら抱き合い、脚をジョーイのボディーにからめるも、肝心の部分をださずじまい。ビーチでたわむれるシーンは黒いワンピースがスケぎみでそそるとはいえ、やっぱりモロ水着でなきゃ。ラストの二度目のステージはラテンのファッションでブラのみまでだから、さすがにもの足りない。
　クリスティナは下着でベッドに寝ている姿でのパンティーと、ジョーイを愛撫するほんの短いショットのワンワン・ポーズがゾクゾクをくれるのみ。
　若いカテリン、マルー、ロセルがプールで遊ぶところで、それぞれ青、緑、黒と白のストライプのワンピーズ水着になるのは、三人ともかわいいだけに嬉しい要素。ミシェルはジョーイの挑発作戦に転じるとき、黒いビキニ・パンティーの紐をちらつかせるものの、キュートな好みのタイプゆえ、もっとハデにめくってほしかった。
　みんなもう一つ興奮を欠く印象をぬぐえず、むしろヴィヴィアンの楽屋にいる三人のビキニ女性、キエールとチンキーがバーにでかけてジョーイが連れ帰ろうとし、デンショが客だったから親子で騒ぐエピソードでの光沢ヒョウ柄ビキニ、黒いビキニ、お尻に食いこむ光沢ビキニのダンサーたちのほうが、水着の好みでムズムズとくるくらい。一番大胆なのはホテルのＴＶ修理へでむいたジョーイに迫るラウラ・モナコヴェリオ演じる人妻で、黒いビキニ下着がＴバック状にお尻をあらわだし、ガウンがはだけて小さなオッパイがこぼれ、チラッと乳首がみえる。でも容貌がいささか落ちるので、あと数歩といった感じ。ラウラの夫に追われてパンツ一丁のジョーイがホテルを逃げる途中にでてくるベッドでセックス中のカップルや、プール・サイドの水着ギャルはオマケ程度だけに、結局、満足とはいかない。
　いやはや、タルい作品。
　なおジョーイにレチョンを売りつける男と、そのカネでセックスさせてあげる女役にベルト・マンスエトとルシタ・ソリアノが顔をだす。