“ＢＥＳＴ　ＦＲＩＥＮＤＳ”
　
95年：ＭＡＱプロダクション
監督：トニー・Ｙ・レイエス
主演：アンジョー・イリアーナ
　　　 ジョン・エストラダ
　　 　アルマ・コンセプション
　　 　ロシェル・バラメダ
　　 　ジョアンヌ・キンタス
　　 　ピア・セラーノ
　　　 ノエル・“ウンガ”・アヤラ
　ハチャメチャな構成で、バカバカしさを買いたいコメディー。
　まずはタイトル・バックにでてくるバタンガスのレチョン・フィエスタの光景が興味深い。ズバス・ヘレロ演じる祖父がレチョンの食べすぎで亡くなり、たくみに財産を巻きあげられたアンジョー・イリアーナ演じる孫が、ジョン・エストラダ演じる親友とともにマニラへでる。
　ウィニー・コルデロ演じる泣き女の詐欺師に引っかかって所持金を全部なくし、二度もやられるあたりは、いくら二人の田舎ものとお人よしぶりを強調とはいえ、テンポがのろくてイライラ。ベルティン・ラブラ演じる警官が、しょうがなくてとりあえずの食費をあげるとき、ワイロでせしめた分をポケットからこっそりは笑えるかな。
　さすがに二回目は許されず、留置場でハイメ・ファブレガス演じるマジシャンと出会って第二部へ入る。ハイメの元で道化芸を習い、パントマイムをたっぷり披露のエピソードは、アンジョーとジョンのファンへサーヴィスだろうが、またもスロー・テンポであくびがでそう。ハイメにはロシェル・バラメダとジョアンヌ・キンタス演じる娘と、ノエル・“ウンガ”・アヤラ演じる弟子の同居人がいて、ノエルが小人で、倒されてはゴロゴロ転がるギャグがおかしく、ノエルのユニークな個性も手伝って存在感を放つ。
　アンジョーがロシェルと、ジョンがジョアンヌと恋に落ちるのはいうまでもない。“カシンタハン”と“ショータ”という言葉がうまく通じず、“ボーイフレンド”や“ガールフレンド”などの英語に直す会話が好奇心をそそる。もちろんセクシーな魅力もでてきて、ロシェルとジョアンヌに拍手。プールへ行くシーンで、アンジョーが「イマジネーションだ、精神を集中して念じろ」とジョンに話すと、目の前にいるロシェルとジョアンヌが水着姿に変身。とくにジョアンヌのボディーにピタッとフィットしたワンピースは、前かがみのポーズからのぞく胸元やキュッと切れあがったヒップラインなど、思わずさわりたくなる。
　ほかにアンジョーの視線を奪うセパレーツ水着の女性がプール・サイドへあがるショットで、切れこんだブラからあまりに迫力のオッパイがプラプラ揺れていて、ウハウハ興奮のオマケが嬉しい。
　レイ・ヴェントゥラ演じる仙人ふうの老人がいじめられているのを助け、映画は第三部へ。老人が謎の地図を渡すや、いずこかに消えるのだが、アンジョーとジョンがノエルを連れ、この地図の示す宝の隠し場所を探しに出発する。アドヴェンチャー要素を導入で、やっとチンタラから脱却。
　と思いきや、途中、ゾンビ集団に襲われたり、アルマ・コンセプションがリーダーを演じるアマゾネス軍団と遭遇までがウダウダ。確かにナンセンスではあり、一応は見せ場の一つと考えよう。
　山岳民族とつり橋ですれ違うとき「アイワ」と挨拶は、ホントかしらとの関心を呼び起こす。
　アルマがレイの娘だったのでアンジョーたちが信用を得ると、一緒に財宝を発見するのだが、ロミー・ディアス演じる『フック』のパロディーもどきの海賊が現われる。アマゾネスたちと海賊グループの戦闘が二度も繰り広げられ、けっこうマジに死人がでるあたりは、軽いコメディーとして、どんなものか。
　アルマとアンジョーにロマンスが生まれ、ピア・セラーノ演じる欧州系美女のアマゾネスとジョンもいつの間にか引かれ合っているうえ、小人アマゾネスの女性とノエルまでラヴラヴで、とにかくハッピー・エンド。分け前をもらって別れるとき、アンジョーとジョンが「帰ってくるからね」と約束をかわしているものの、旅だちの際にロシェルとジョアンヌへも同じ台詞をいっていたから、オイオイ、二股どうするの、との疑問に答えはなし。
　いいんじゃないの、おとぎ話だから。
　終わってみれば、出だしと結末が同じストーリーとは思えないほどの飛躍にニコニコ。この理屈を排除した作劇法は、けっこう大好きです。トニー・Ｙ・レイエス監督は、全体をもう少しスピーディーに展開すれば退屈感を排除できたはずで、すごく惜しい。
　アルマが色っぽいのは、グーンと評価をアップのポイント。アマゾネスたちが原始人のような毛皮の衣装なのは、そこそこの露出なものの、挑発的とまではいかない。アンジョーが再びイマジネーションを念じると、水着のアルマが出現ではないか。しかも同時にロシェルもいて、さしずめプロポーション対決。ロシェルがワンピースとヘソだしセパレーツを披露し、うーん、オッパイをもんでみたい。アルマはハイレグのワンピースと、超ハイレグのビキニだから、即ビンビン状態へと誘導。ウヒャーッ、こりゃ、まいったよ。くびれのしまりも鮮やかで、アルマのフェロモンは別格。
　女優陣のパワーもあって、楽しめる作品と評価したい。
　ただしピアが水着にならないのは、やや不満を残した。