ＢＥＲＴＵＤ　ＮＧ　ＰＵＴＩＫ
（泥のベルトゥド／お守り）
　
03年：イムス・プロダクションズ
監督：アウグスト・サルヴァドル
主演：ラモン・“ボン”・レヴィーリア・ジュニア
　　　 ロイ・ヴィンソン
　　　 レジーン・トレンティノ
　　　 ロシェル・“セックスボン”・パンギリナン
　　　 ミシェル・エステヴェス
　　　 ペン・メディナ
　　　 ロミー・ディアス
　　　 ゴヨム
　　　 ジェフリー・タム
　　　 ユウキ・カドオカ
　タイム・スリップを扱ったアクションものながら、フィリピン映画の『マトリックス』猿まね企画がまたもで、いい加減にせえ、とあきれる印象の作品。どうしてここまでオリジナリティーの欠如に平気でいられるのか、頭の中の構造をのぞいてみたいくらい。
　１９５３年から始まり、ラモン・“ボン”・レヴィーリア・ジュニア演じるのは、妻子を愛するも、正義感に燃える警察署長。ロミー・ディアス演じる悪のボスをやっつけに行くときに狙撃を受け、瞬時にジェフリー・タム演じる中国人の相棒とともに現代へ飛んで助かる。あとでわかるのだが、ラモンは不思議なパワーを授けるベルトゥドというお守りを持っていて、これが善の半分。残りの悪の半分はロミーの手にあり、ロミーは二つ合わせてこの世の制覇を狙っている。
　映画はまず50年のときを越えたラモンとジェフリーが、物質的違いが招く時代の変わりように驚愕の様子を極端にはしょり、かなり説得力を欠く展開。やはりあとで判明するのだが、自分の妻とそっくりのロシェル・パンギリナン演じる女性と出会い、ロシェルの家族であるペン・メディナ演じる老人が妻の弟のチビちゃんのその後だと名のり、２００３年と説明のあたりも偶然すぎてどんなものか。
　今やよぼよぼになったロミーは相変わらずで、ロイ・ヴィンソン演じる息子がベルトゥドのパワーを活用しながら強盗などを繰り広げている。ゴヨム演じるロシェルの小学生くらいの弟が知り合ったミシェル・ロドリゲス演じる金持ちの少女を誘拐し、ラモンが助けることでラモンとロイが遭遇。そうなれば最後にラモンとロイが決闘のクライマックスがくるんだなと予想がつくも、実はロイがロミーと義理の関係で、ラモンの本当の息子だったとのシチュエーションは、一応の逆転として成功のようだ。
　それにしても弾すじを赤外線みたいに映し、うまくよけるポーズを入れたりの『マトリックス』もどきにはマジでうんざり。アウグスト・サルヴァドル監督はハード・アクション演出でけっこう買っているのだが、これじゃ才能のかけらも感じられないじゃないか。
　くだらないでき、との評価も当然だろう。
　もっとも本来は女優陣のセクシーさが目的だったから、そちらで満足をくれれば文句のないところ。
　１９５３年にロミーの手先としてラモンを誘惑の役でミシェル・エステヴェスが出演し、このところあちこちで脱ぎまくっているミシェルだが、ベッドでバス・タオルを巻いたままだからアレレ。わりと低年齢層も観客に想定だから、オッパイをみせないんだなと納得も、ヌードにならないミシェルにはほとんど魅力が感じられなくて残念。
　舞台が現代に移ると同じようにロミーの身内で、ラモンに迫る女性をレジーン・トレンティノが演じ、こちらは登場シーンから胸の谷間を強調のシャツがフェロモンを放つ。室内のウォーキング・トレーニング・マシンで鍛えているときは、レオタードがキュッと食いこんだお尻のドアップの挿入に、こりゃあ、たまりません。ラモンとのベッドではオッパイの露出がなくても、一応は悩殺をくれる。
　ロシェルはベルトゥドで透明になったラモンが愛を確認のシーンで、ワンピースの前のボタンをパチパチパチッとはずされ、ブラとパンティーがバサッとあらわに。うーん、スケベな想像力をゾクゾクとかきたて、思わずビンビンを呼ぶ。
　ただ全編のハイライトであるはずのダンス・コンテストのエピソードで、“ダンス・ディーヴァ”の異名をとるレジーンと、セックスボン・ガールズの中心メンバーのロシェルが引き分けるのだが、レジーンの白いビキニの衣装はやや生地が厚めでイマイチ。ロシェルは黒いホット・パンツながら、こちらも厚めで色気の不足に不満。二人のバックで黒いビキニや赤いミニスカになって踊るセックスボン・ガールズも、挑発さを抑え気味が惜しい。
　さらにロシェルは花売り娘四人のあとにラモンが現れて思慕を告白のシーンで、セックスボン・ガールズの「オーイ」というキメの声とポーズをとるのがファン・サーヴィス。レジーンとの対決で格闘のときはレジーンがジーンズながら、ロシェルはビニール素材のホット・パンツでウハウハと視線を奪ってくれるものの、やや肌への貼りつきが足らず、興奮爆発にまでには至らない。
　いろいろと欲をいえば、満足度を燃焼しきれなかったようだ。