98年：ＮＥＯフィルムズ／ＲＲＪフィルムズ
監督：アイク・ハルレゴ
主演：ラモン・“ボン”・レヴィーリア・ジュニア
チャーリン・ゴンサレス
アイリーン・ダミレス
ジョコ・ディアス
ロナルド・ヴァルデス
ロイ・アルヴァレス
バヤニ・アグバヤニ
レス・コルテス
キング・グチェレス
アイク・ハルレゴ監督とラモン・“ボン”・レヴィーリア・ジュニアのコンビによるアクション映画となると、大概の予想はつくものの、チャーリン・ゴンサレスとアイリーン・ダミレスという、ともにミス・フィリピン出身の女優が共演に、ちょっと期待が起きる。
ラモン演じるのは特殊部隊に所属の捜査官で、武器取り引き現場を急襲し、レス・コルテス演じるシンジケートのボスをやっつけるのだが、これをロイ・アルヴァレス演じる上司に非難され、ロイを殴って除隊する。それでバヤニ・アグバヤニ演じる相棒とともに自動車修理工場を経営も、また特殊任務へと駆りだされる物語である。
とにかく将軍たちの会議があり、エルニー・サラテ演じるのは善側で、ロルダン・アキノ演じるのは悪側と、役者の顔をみただけで一目瞭然。ロイや、ロイがラモンを非難のときに名前を口していた議員役のザンドロ・ザモラも含め、本当にワルがわかりやすい。アイリーン演じるラモンの恋人の父をロナルド・ヴァルデスが演じ、これまたどうみても裏がありそう。
単純な描きかただ。
まあ、ジョコ・ディアスがロナルドの雇う殺し屋で、危なさのみなぎるような雰囲気をだしているのは、そこそこ評価したい。
キング・グチェレス演じる特殊部隊時代の親友がジョコに殺され、ナティー・サンチャゴ、シーラ・サンチェス、ＢＪ・デ・ヘソス演じるキングの母、妻、息子にラモンが親切に接するあたりはきっかけだろうが、これをうまく生かしきっていないのがまず不満な部分。チャーリン演じる、エルニーから命令を受けた特殊工作員がラモンへ作戦の協力を求める展開で、いったん断って、そのあとキングの殺害に復讐の意志がでてくるような構成にすればよいのに、いきなり誘いがあって、キングのことが脳裏に浮かんであっさり引き受けるのだから、悩みが足りない。エピソードを並べる順番を間違えたようだ。
作戦というのが、誘拐や麻薬などのビジネスにかかわっている大物犯罪者どもを次々と暗殺との「そりゃあんた、正義であっても犯罪よ」といった内容で、“法に代わって、お裁きよ”じゃないが、この手の無茶苦茶さはフィリピンっぽくて好きなのだが…
やってくれる。
ラモンの最初の暗殺のとき、別の位置からジョコも狙っていて、ラモンが先に狙撃に「アレレ」と狐につままれたものの、しっかりロナルドから「よくやった」と報酬を受け取っているのが面白い。二人目からは、ザンドロ、ロルダンなど、大物との設定のわりには簡単にやられてしまい、いささか肩透かし。ロルダンのときに闘鶏場が舞台なのは、フィリピンの風俗に欠かせない要素だろう。ロイのときの場合は、ロイが防弾チョッキを着ていたり、ボディー・ガードのジョコと銃撃戦に発展で傷を負ったり、といった盛りあがりを加えるも、やっぱり次へのつなぎのイメージを与えるのが惜しい。退屈はまねかないが、ハラハラ感の欠如が続く。
つまりロナルドへの暗殺指令がでて、恋人の父親だけにちゅうちょし、さてどうするかということだけがドラマの焦点なわけだ。
考えてみれば、恋人が対決相手の娘とは、いかにものシチュエーション。しかも任務遂行には美貌の相棒がいて、映画は当然ながら三角関係を描いていく。となると最後はどちらかの女性が撃たれて亡くなるのが定石パターンながら、そうしなかったあたりはさすがだと素直に感心。ただラモンとアイリーンが手をとっての逃亡に失敗し、チャーリンにアイリーンを会わせて父の悪事を説明も、これといった苦悩がないうちにロナルド一味が攻めてきてクライマックスに突入は、著しくドラマティックな要素を弱めている。バヤニをジョコが責め、アイリーンと人間交換の材料にしたり、簡単に射殺も意外性に乏しく、イマイチの展開。
銃撃戦は迫力に欠け、これまたオイオイなのだが、ラモンとジョコのカー・アクション対決はそこそこ頑張っていた。Ｂ級らしい規模の小ささながらも、演出で見せ場をつくっていく好例といえよう。
さて美女共演はどうかだが、チャーリンがカーキの迷彩色による軍服の登場シーンでハッと驚かせたあと、ラモンに接近のときに超ミニなのが嬉しい。カメラはおみ脚をなめるように撮るし、スカートの裾から太腿をアップにするし、パンティーがみえたらどうしようとドキドキ。最初の指令に成功でラモンと祝杯をあげるときには、黒いピタパンがものすごくキュートで、お尻を突きだすショットなど手を伸ばしてなでなでしたいくらい。でもセクシーなシーンはなく、撃ち合いのときのジーンズがもう一つ身体にフィットのタイプじゃないから、ちょっと不満を残す。
アイリーンは家出のあと、ラモンとベッド・シーンになるときに、シャワーを浴びてバス・タオルを巻いている姿がそそる。ケガのラモンを治療し、リハビリ中にもセックスするものの、上半身脱いだにもかかわらず、まったく露出がないままなのがけっこう残念。せめてバストの谷間くらいの強調はほしかったところ。滝のある沼で泳ぐシーンになって、ワンピースの水着が濡れて身体に貼りつき、ボディー・ラインがくっきりなのはビンビンに興奮をくれた。
容貌的には具の大きなチャーリンのほうが上だと思うが、水着の魅力があってアイリーンのほうにうっとりの次第である。
余談ながら、チャーリンと別れるときにラモンが濃厚なキスかわしたため、アイリーンが相当に怒っているラストは、うんうんとうなずける点。いくら美人でも、こんな嫉妬心の強い女性と結婚したら大変よ、なんて同情を感じたり…
