ＳＡ　ＰＩＬＩＮＧ　ＮＧ　ＭＧＡ　ＢＥＬＹＡＳ
（ダンス・ホールにいる乙女たちのサイドから）
　
03年：ヴィオレット・フィルムズ・プロダクション
監督：ホセ・Ｎ・カレオン
主演：ハスミン・コリンズ
　　　 ハイラ・ゴメス
　　　 フリア・ロペス
　　　 シーナ・サンドヴァル
　　　 ジンジャー・スミス
　　　 ソフィア・ヴァルデス
　　　 マーク・アントニー・フェルナンデス
　　　 ガーリー・エストラダ
　　　 マーク・ヒル
　　　 エミリオ・ガルシア
　　　 ブランド・レガスピ
　　　 リチャード・クアン
　　　 ピンキー・アマドール
　　　 ディック・イズラエル
　　　 クライトン・オラリア
　　　 クロイド・ロビンソン
　　　 アルドリッチ・セヴィーリア
　　　 レーモンド・ヴィリアヌエヴァ
　ヴィオレット・ベルズというセクシー・グループをスターにしようとの企画。どう考えてもＶＩＶＡホット・ベーブスの二番煎じであり、芸能マスコミがマウイ・テーラーやアンドレア・デル・ロサリオ、グウェン・ガルシ、ヘーゼル・カブレラなどに猿まねが登場したことへの感想を求めた際、ノー・コメントだったり、「そんな存在は聞いていない」「勝手にやれば」みたいな内容だったりしたが、どこの国でも二匹目のどじょうを狙うのは同じようだ。フリア・ロペス、ソフィア・ヴァルデスの二線級セクシー女優にハスミン・コリンズ、ジンジャー・スミス、ハイラ・ゴメス、シーナ・サンドヴァルの新人を加えた構成。なるほど華やかさという点でＶＩＶＡホット・ベーブスにおよばず、場末的な雰囲気を伴うのは事実。売りかたにおける大手のＶＩＶＡと、中小のヴィオレットとの差かもしれない。一応、メインに押しているのがハスミンで、美人というか、確かにかわいい。ちょうど映画撮影のとき、ハイ・スクールを卒業したばかりの十七歳。ということは自分のつき合っている恋人とおない年になり、ウチのカノジョよりも、よくいえば大人びているし、悪くいえばオバンくさい。好みという点では清楚さを残すシーナで、ジンジャーもタイプながら、ほおに小さな傷のあるのが気になる。ハイラはおよそニュー・フェイスと思えない貫禄で、まだ若いのに熟女ふう。まあ、バラバラの個性がヴァラエティーにあふれ、長所ともいえよう。グループとしてのデビュー作にあたって、マーク・アントニー・フェルナンデスとガーリー・エストラダが共演し、相当に力を入れているじゃないか、と制作側のやる気がうかがえる。
　まず豪華なキャストに注目だが、ホセ・Ｎ・カレオンを監督にむかえ、センティメンタルなムードによる群像劇に捨てがたい魅力を放つ。映画の作品的評価という点では、マウイの『ＧＡＭＩＴＡＮ』、アンドレアの『ＬＵＰＥ』、カチャ・サントスの『ＳＵＫＤＵＬＡＮ』などよりずっと上で、ＶＩＶＡホット・ベーブスに勝っている。
　六十年代を舞台設定に、ベルヤスと呼ばれたダンス・ホールに勤める女たちの物語。『いそしぎ』『ムーン・リヴァー』などを流して時代を表わし、懐古調の中にもの悲しさをうっすらとにじませるあたりがなかなか。今は廃墟の店でマーク・ヒル演じるかつてのオーナーと、マーク・アントニー演じるライターの甥が回想を語り合って本題へと入る。
　エルニー・フォルテ演じる父が飲んだくれで、ジジ・ロクシン演じる母に生活力がなく、リッキー・ティロナ演じる弟の学費を稼ぐために頑張るハスミン演じるベルヤス。エミリオ・ガルシア演じるアメリカ軍人と恋仲になるも、不妊の体質を隠すハイラ演じるベルヤス。昼はガソリン・スタンドに勤めながら、カネ持ちの男をつかむことに夢中のフリア演じるベルヤス。ピンキー・アマドール演じるスカウト・ウーマンに誘われて入ったジンジャー演じるベルヤス。ＭＪ・マラナン演じる幼い子どもを養育するために現役を続けるソフィア演じるベルヤスの妹でもある。ピンキーの娘で、いったん足を洗ったシーナ演じる出戻りベルヤス。彼女たちの生きざまが並行して語られていく。
　ハスミンはマーク・アントニーとロマンスが芽ばえ、小さな幸せをみつけるも、最愛の弟をいざこざで殺されてしまう。しかもはした額の賠償金で片づけられるが、弟の殺害犯であるバカ青年の父がファッション関係で、偶然にもハスミンをモデルに抜擢すると申しでる。悩んだ末に啖呵をきって断り、マーク・アントニーが拍手を送るシーンから、どんなに貧しいものでも絶対に譲れない最低限のプライドといった、人間の尊厳を伝えてくる。ハイラは子どもを望むエミリオが、ローズ・アン・サントス演じるかつてのベルヤス仲間とつき合っていると知ってショックを受けるも、妊娠したローズとの和解から大人への成長を示す。フリアはリチャード・クアン演じるバイク・ショップのオーナーをものにし、ぴったり狙いどおりだったのに、実はリチャードがソル・カレオン演じる叔母に雇われる修理工とわかって大ゲンカ。やがてリチャードのまごころから、カネよりも大切な要素を学びとっていく。ジンジャーはディック・イズラエル演じる市長と親しくなったりするが、姉の三角関係に巻きこまれる事態に。ガーリー演じる夫とソフィアは完全に別れないまま、ブランド・レガスピ演じるチンピラに身をまかせていて、ブランドはジンジャーへもちょっかいをだしてくる。ついにはブランドがガーリーを殺そうとし、怒ったソフィアがブランドを包丁で襲うと、反対に刺される結果。ソフィアが亡くなって、残されたＭＪをハイラが育てる決心をする。シーナは泥棒でつかまったりの体たらくだが、ピンキーが倒れて親子の絆をとり戻す。
　ハイウェーの完成で町が活気を失い、マークが泣く泣く閉店。クロイド・ロビンソン演じる協力者と一緒にナイト・クラブへ変える計画を進めるも、うまくいかず、失業したベルヤスたちは、それぞれの新しい人生を歩んでいく。余韻のあるラスト・ショットがジーンとさせ、けっこう胸につまる高揚を感性に訴える。なるほど人数を広げたぶんだけ、各エピソードに深みを欠き、散漫さに陥ったのは残念だが、集団のドラマゆえに多彩な側面があふれ、人間模様に変化を持たせている点が見逃がせない。とにかくチケット制になったダンス・ホールのシステムがわかるだけでも風俗的な興味がわき、納得のいくできといえるだろう。
　さてヴィオレット・ベルズたちの挑発度はどうかだが、さすがに先輩のフリアとソフィアが大胆な脱ぎっぷり。フリアは赤いスリップで初出のあと、仕事開始の準備でボディコンを着るとき、パンティー一枚のトップレスでオッパイをモロだし。リチャードとの初セックスでは、イヴニングからオッパイをポロリ。騎乗位で堂々と揺らせまくる。ホール内におけるパンティーのスケた光沢ボディコンのイヴニングもゾクゾクもの。極めつけはクライトン・オラリア演じるスタンドのオーナーが横恋慕していて、店にいるフリアを強姦未遂のシーンで、クライトンがフリアのうしろ姿をながめながら欲望を抱くと、イメージの中でフリアが全裸に。キュッと締まった腰の下に大きめのお尻がバッチリで、決して鮮やかなカーヴといえないアンバランスさがかえってそそる。しかも嬉しいことにふり返るから、オッパイが正面にドバーッ。こちらは文句ない美乳で、思わずもんでみたい。一番ブスっぽいフリアだが、みごとな露出に拍手。ソフィアはタバコを吸ってスレた印象を与えるとき、白いパンティーが浮かぶスケスケのスリップがムズムズ刺激するうえ、ブランドからの暴力的なセックスで、乳首が立った上向き、下向きのオッパイを全開。吸いつきたい欲求を盛りあげてくれる。一方で新人の四名は、比較的控え目なのが寂しい。ハイラはエミリオとのセックスで黒いパンティーに手を突っこまれたり、トップレスでエリミオにオッパイを握られながら寝ているも、乳首をみせずじまい。ジンジャーはブランドにスカートの中をのぞかれる際のチラリズムや、レイプの思い出を再現するシーンでのパンティーをおろされそうな白い下着姿のみで、いかにももの足りない。期待のハスミンは出勤準備の着がえで、白いパンティーを突きだすうしろ姿がキュートながら、中身のでるショットがなくて不満タラタラ。シーナにいたっては、あやういシチュエーションが皆無なのはどうして？　ボディーをさらすパワーでは、ＶＩＶＡホット・ベーブスに完敗といえる。あと、ベルヤスの一人を演じる女優が、フリアとハスミンにはさまれ、オッパイをみせながら着がえたり、ハスミンがマル・ガルチトレナ演じる弟の仇の父親からモデルに勧誘される二度の舞台裏で、モデルたちがパンティー一枚だったり、オッパイ丸だしだったりが視線を奪う。
　もっとも、正直なところ、ハダカになってほしかった最右翼はピンキーだから、自分の年増趣味を実感。
　余談ながら、ハイラが診察を受ける医院の玄関に贋キティーのボードがかかっていて、時代的にまだこの化け猫キャラはなかっただろう、と推測したりして。