02年：ワールド・アーツ・シネマ
監督：マリオ・Ｊ・デロス・レイエス
第一話
ＫＵＮＧ ＧＵＳＴＯ ＭＯＮＧ ＮＡＳＡＳＡＫＴＡＮ， ＧＵＳＴＯ ＭＯＮＧ ＮＡＮＡＮＡＫＩＴ
（もし痛いのがお好みなら、傷つきたいなら）
主演：マリカル・デ・メサ
アントン・ベルナルド
イネス・ヴェネラション
第二話
ＫＵＮＧ ＧＵＳＴＯ ＭＯ ＳＡ ＭＡＬＡＭＩＧ ＮＡ ＢＡＮＧＫＡＹ
（もし冷たい死体がほしいなら）
主演：マリカル・デ・メサ
イラス・メルコル
エリザベット・オロペッザ
レアンドロ・バルデモール
ビアンカ・ラプス
第三話
ＫＵＮＧ ＧＵＳＴＯ ＭＯＮＧ ＬＵＭＩＰＡＤ
（もし飛びたいなら）
主演：マリカル・デ・メサ
ウェンデル・ラモス
アイリーン・エンリケス
ダニー・ラモス
欲望、妄想、最終的なつぐないを描く三部作と紹介されていたのだが、もっと変態的というか、異常性愛を扱う作品である。パッチリ目のネコ顔でちょっと気になっていたマリカル・デ・メサを一気にセクシー・スターへ押しあげようとの企画に思えるが、主役を担うには容貌の荒さがでてしまった、という感じがしないでもない。でもマリカルの魅力はムラムラ興奮をくれるに十分で、ガーンとノック・アウトものといえよう。
エピソードⅠは、夫に捨てられた妻の復讐劇。アントン・ベルナルド演じる夫が娼婦と浮気し、それへの抗議で反対に家から追いだされた妻がマリカルの役。イネス・ヴェネラション演じるセクシー・ダンサーに助けられ、自分もダンサーになったマリカルは、たまたま客としてきたアントンをとりこにする。今さら寄りを戻そうと必死になるアントンを、逆に奴隷に変えるわけである。
まずイネスの勤めているクラブがＰ．ブルゴスの『ＪＯＯＬＳ』なのが面白く、住んでいるのが数名のメイドのいる大邸宅で、まさかダンサーにそんな収入があるの、との疑問を暗示。実はちゃんと裏が隠され、イネスは金持ち有閑マダムなどを顧客に怪しいパーティーを開き、会員たちに通常じゃないセックスの場を提供しているとの設定。その際に使用のため、地下牢には全裸の男たちを何名も家畜のように飼っているのだが、アントンも一つの檻に入れられてしまうオチ。
相当にレズ臭ムンムンで、ＳＭっぽい。
バカバカしい内容だといえば元もこもないが、笑って楽しめる内容にはなっている。
マリカルのボディーは全編にこれでもかと炸裂。アントンが抱いてくれないので、自ら手をオッパイに当ててもだえるシーンからしてそそるが、それじゃ入れてやるよ、とアントンが乱暴なセックスを始めるや、四つんばいでバックからズボッと挿入がエロい。パンティーがめくれて倒れるポーズにビンビン。もちろんこんなのは序の口で、雨の中へ追いだされるとき、マリカルの白い衣装のお尻のあたりに赤い血がにじんでいるのは妙にリアルで気持ち悪いものの、イネスに救われてからがやってくれる。イネスの衣裳部屋で黒い紐ランジェリーをみつけたマリカルが、それを着て踊るシーンがきて、カメラが上から下へとボディーをなめるように撮る。手前に黒いパンティーのうしろ姿を置いて、鏡に映ったマリカルの鋭角に切れこんだ、よく陰毛がはみでないものだとハラハラしそうな下着姿が興奮もの。白いキャミのイネスが横から加わり、一緒に身体をくねらせるところでゾクゾク感が高まる。いよいよステージ・シーンへと移るや、フリルのついた赤いビキニでお尻を突きだしたり、大股開きのポーズに、こりゃあ、たまりません。二回目のステージはフードのある薄いスケスケの赤いローブを着て登場。周囲にいる黒いビキニの踊り子たちは、おそらく『ＪＯＯＬＳ』の本物のダンサーだろう。ローブを脱ぎ捨てるとオッパイが丸だしになった下着で、乳首がキラキラ光っているから、何か塗ったのかなあ、とヘンな推測。その乳首のあたりを手で覆ったり、離したりで踊り、もはや中途半端な挑発を超えている。アントンがステージにあがって迫り、取り押えられるときに、Ｔバックのお尻をスケさせながら逃げる姿にもオッと声がでそう。イネスの屋敷へ忍びこんだアントンをつかまえ、全裸にむいて首輪に鎖をつけ、チンポだけ手で隠すアントンを犬のように引っぱりまわすときの格好にもセクシーさがほしかったものの、マリカル最高。
しかもセックス・ニンフともたとえるべきイネスが共演だから、こちらにも期待が高まる。マリカルと出会うシーンの黒いピタパンや、あとで店へ入るときの下半身にフィットのパンツ、パーティのときのレザーのホット・パンツなど、脱いでいなくてもビンビンにしてくれるイネスだが、やっぱり脱ぐとすごい。最初のステージで悪魔の扮装で現われ、黒いローブをとると極小ビキニで、スケスケの下着。すでに乳首がみえちゃっているのだが、パラッとブラをはずすと乳房を全開。そのあと袖でみていたマリカルにからんだ悪魔の衣装の男にペシッと鞭をくらわせるときには再びブラをつけているから、流れとしてはヘンなのだが、オッパイの迫力の前では気にもならない。マリカルとレズに発展のきっかけといったベッドでの黒いビキニ下着のアップをはさんで、二回目のステージではパレオをつけたビキニ水着で登場。パレオをとるや、周囲にいるビキニのダンサーたちからボディーをなでなでされる。もうフェロモン光線がビリビリに刺激してきて、ウワーッ。そのうえブラの上半身の寝転んだアップが挿入され、モミモミの欲求を我慢できなくなる。
さすがイネス。
ほかにもアントンの浮気相手の娼婦を演じたフリア・ロペスが、立位でのセックスで片脚をあげたお尻の奥からオマンコのみえそうなポーズをとり、オッと目が点に。別の娼婦役のエレイン・ディソンは露出イマイチなものの、この第一話だけで、すっかりヘロヘロに追いこまれた次第。
なお『ＪＯＯＬＳ』の店内に日本人っぽい客がみえるのは店の性格から考えて当然だが、日にちが変わったシチュエーションで、同じ人物が同じ服装のままいるのは、さすがに工夫がほしかった。
エピソードⅡはマリカルが主役というよりも、マリカルにあこがれる思春期の若者の物語。イラス・メルコル演じる葬儀屋の息子が、マリカル演じる学校の教師にときめきを覚える。エリザベット・オロペッザ演じる母が死体に化粧をほどこすのを、いつもイラスが手伝っているのがユニークな設定。カエルをつかまえて解剖など、残酷な趣味も持っている。それで生物の教師であるマリカルから、解剖の授業でほめられたりも。
マリカルにレアンドロ・バルデモール演じる恋人がいると知ってショックを受け、マリカルがアメリカへ行くから教師を辞めると聞いて絶望のところへ、マリカルの双子の妹（姉？）がやってきて驚く。この瓜二つの妹にイラスが恋の対象をチェンジするわけである。
いきなり妹のほうが事故死し、エリザベットが死体から血液を抜くのを手伝うあたりに複雑な心理をにじませるも、たまたま教師のマリカルがレアンドロとセックスをのぞき見したイラスは、死体のマリカルを愛撫する。つまり死姦を扱っていて、いやはや、アブ・ノーマルこのうえない。墓の上でオイオイ泣いたりのあと、実はストーリーにどんでん返しが待ちかまえている。冒頭にアリアンヌ・デシマ演じる太った娼婦の首をイラスが絞めるシーンがチラリとでてきて、その具体的なエピソードになるや、アリアンヌとマリカルの顔がダブり、はたして妹のマリカルを殺したのは誰かを暗示する。
ジュン・ラナの脚本は練ったなあ、という印象ながらも、このラストがよかったかどうかは、いささか疑問が残る。
笑ってすませるには、やや厳しい作品だ。
マリカルは二役で、セクシー・シーンたっぷりなのが嬉しい。イラスが川原でオナニーし、パンツを脱げそうに水の中へ落ちると、奥から女たちの声が聞こえてくる。こっそりのぞくと妹のマリカルが三人の仲間と一緒に泳いでいる。全員もちろんビキニの水着なのだが、濡れてボディーにピタッと貼りついたマリカルが色っぽい。しかもイラスの視線に気づくや、意味深な流し目を送ってくる。教師のマリカルがきて、こちらはメガネをかけたインテリとの設定なので、水着は露出の少ないワンピースだが、やっぱりキュート。死体になったあとは、ずっとオッパイをもろだしで横たわっているのに唖然。イラスが犯すときには乳首のアップを含み、もーう、爆発させてくれちゃうんだから。レアンドロとのセックスでは、イスの上でブラをはずされ、オッパイがプラプラ揺れる光景によだれがたれそう。まだ第三話が残っているのに、もう十分に満足。
なお、ビアンカ・ラプスがチョイ役で出演ながら、とくに見せ場なし。墓場で教師のマリカルとイラスが会話のシーンでは、鳥の鳴き声といったさり気ない効果音の使いかたがうまく、マリオ・Ｊ・デロス・レイエス監督の演出力をうかがう。
エピソードⅢは、麻薬がらみの殺人をめぐるサスペンス。激しい嵐の中、マリカル演じる女性が友人を探しにある屋敷へとやってくる。友人はみつからず、シャワー室からしぶきの音が… ドアを開くとウェンデル・ラモス演じる男が全裸でいて、男のセクシー・スターと評判のウェンデルのお尻をあらわとは、女性ファンへの配慮か…
なんて感じながらも、バス・タオルを巻いただけで、なかなかウェンデルが服を着ないから、オイオイオイ。
ウェンデルがだした幻覚剤でラリってセックスにおよぶのだが、ここは魚眼レンズによって真上からとらえたショットで非現実感を表現する。ほかにも全編にコマ抜きの手法を多用や、フリッカーのチラつきを挿入など、マリオ監督の手法は小細工が目立つ印象。
セックスが終わって、マリカルが黒い下着をつけるのに、ウェンデルがいつまでもお尻をだしたままは、ええ加減にせー！
浴槽でマリカルが血痕を発見し、逃げるマリカルと、包丁を手に追いつめるウェンデルのスリラーへと発展。けっこうハラハラの展開で、ウェンデルが階段から転げ落ちるまでグイグイ盛りあがる。そういう意味では迫力に満ちた作品である。
ただし警察の保護をうけたマリカルが発狂していて、本当に友人を殺したのは誰だったかが明らかになる解決の部分は第二話と同じような逆転劇で、同じことを二回もくり返すかあ、とのあきれが生じたのが本音。ジュンの脚本はよく書けているのだが、アイディアの重複の点で大きな不満を残したのが惜しい。
マリカルは前の二つに比べると露出控えめながらも、まだまだイカせてくれる。幻覚の中でのセックスは赤っぽい画面で異様さをかもしながらも、黒いパンティー一枚なのがウハウハなうえ、全裸のショットを含むから、心臓がドキーン。オッパイ丸みえで横になっている姿が、欲望の頂点を招くよう。セックスが終わって黒いブラをつけたボディーがまたおいしそう。ヒップはジーンズでキュッとくるむものの、上はまだブラのままで、雨の中を二階のベランダをつたわって逃げるとき、濡れてそのブラがペタッと貼りつくのに鼻血もの。黒なので乳首はスケないも、つやつやと光っている肌へ思わずナメナメしたい。マリカルは真にセクシー・ダイナマイトだ。
あとマリカルの恋人とできてしまう女友だちを演じたアイリーン・エンリケスが、白いピタパンで鮮やかなプロポーションを強調のあたりがウハウハ。
まあ欲をいえば、さすがにずっとマリカル三昧だとしんどいともいえるので、それぞれのエピソードを別々の女優で描いたほうが本当はよかったんじゃないか、という気がしないでもない。いつまでみてもあきないほどの容貌、とまではいかないわけで…
いや、さんざんヌードを絶賛のあとから、こんなことを最後にいうのはルール違反か…
