ＢＡＹＡＲＡＮ
（支払わなければならないとき）
　
03年：ワイルド・ワールド・エンターテインメント
監督：フランシス・“ジュン”・ポサダス
主演：マリカル・デ・メサ
　　 　ジェー・マナロ
　　 　カルロス・モラレス
　　　 クリスタル・ヴェネシア
　　　 ダリア・ラミレス
　　　 リカルド・セペダ
　　　 ジョン・アパシーブレ
　　　 ジェス・サンチェス
　　　 ヨシュア・ディアス
　　　 トリシャ・ヤコブ
　殺し屋とショー・ダンサーのロマンスを交えたアクションもので、またかと思わせるも、主人公を口のきけない障害者に設定で変化球的な要素を盛りこんでいる。
　どちらかというとダンサーのほうが核で、父が死に、母が病気になったため、看護婦の学校を休学で売春を始めた自己紹介から本題へ。マリカル・デ・メサ演じるクラブのダンサーがダリア・ラミレス演じる母に仕事内容をナイショにしているも、そっと母のベッドの枕元へお金を置き、寝たふりのダリアが涙を流す情感はよく描けている。
　ただ全体の人間関係が妙にこじんまりとまとまりすぎ、内輪もめじゃないかとの印象を与えるのが残念。
　いじめっ子たちから陰湿な意地悪を受けて育ったジェー・マナロ演じる主人公は、カルロス・モラレス演じる唯一の親友と銃の腕を訓練のうえに殺し屋の道を歩む。マリカルにほれていて、密かに援助なのだが、ジョン・アパシーブレ演じる顧客にマリカルはサディスティックなセックスを強要され、ジェーとジョンがケンカに。ジョンの兄はリカルド・セペダ演じるシンジケートのボスで、殺し屋の雇い主。クリスタル・ヴェネシア演じるカルロスの恋人がリカルドから依頼の窓口になっていて、ずっとジョンがクリスタルへ欲望を抱いている。ついにレイプにおよぶや、逆上のカルロスがジョンを殺害し、今度はリカルドがカルロスを罠にはめて復讐。最後にジョーがリカルドを撃つとの繰り返し仇討ち劇が、オイオイとスケールを小さくするばかり。
　たまたまマリカルがプライヴェート・ダンスに雇われ、ホテルでセックスの相手がジェーのターゲットで、目撃者になってしまう偶然も、なーんだ、せまい世界の話ね、とのイメージを強める結果。
　クライマックスのジェーによる単独襲撃の際、銃口の方向を変えていないにもかからわず、雑魚の手下が数名やられたり、銃声が響いたにもかかわらず、気がつかないままにのんびりしているグループがいたり、素人でもわかる手抜き演出はフランシス・“ジュン”・ポサダスの得意（？）とするところながら、もっとこだわりを持ってほしいなあとの要望を述べておきたい。
　もちろん興味深い点はあって、マリカルがかよう美容院の美容師がオカマなのは当然にしても、クロイド・ロビンソン演じるクラブのママがハゲ親父なのに、オカマで笑わせる。ジェス・サンチェス演じるバギオの顔役の暗殺指令がきて、ジェスが土産物屋や観光用乗馬商からショバ代を徴収のようすが、なるほどと裏社会を暗示する。マリカルと念願のデートが実現のとき、腕に筆談でマリカルが書いた名前が消えないようにと、ジェーがその部分だけビニールを巻いてシャワーを浴びる純情さは、自分も中学時代に実践した同様の記憶につながる。ジェー本人の肩に“自由”と漢字の刺青があるのは有名だが、背中に“寛斎”と書かれたトレーナーを着ているのは本物？　マリカルとセックスのあと、ジェーが大金をあげて商売じゃないのとマリカルが傷つくも、ダリアの入院費にとの説明に「何の仕事をしてるの」と質問されて困るシチュエーションでのごまかしかたが愉快。正体がバレてマリカルが避け始め、リカルドの襲撃を決意でジェーが全財産をダリアにあげ、遺書のような置き手紙を残そうとするあたりの心理は、どことなく『ラ・スクムーン』を連想させる。
　まあ、ジェーが口のきけないハンディーをアクションに生かしきれたとはいえず、アイディア・レヴェルで終わった構成が最大の欠点であり、残念ながら失敗作と位置づけるのはしょうがないだろう。とってつけたようなオチも、かえってなかったほうがよかったんじゃないの、と減点の対象を増やすのみ。
　一方でまたかとあきれながらも、ダンサーのでてくる映画が大好きなのは、偽らざる本音。ここでは美人のマリカルが二ステージと一プライヴェート・ダンスを繰り広げ、カッカ興奮で鼻息を荒くしてくれる。最初は大胆ビキニの衣装で、赤いブラが乳首の周囲だけニプレスのようになったスケスケのタイプだからウヒャーッ。二回目は青いブラが乳房を大きくを包んでいるのが惜しいながら、パンティーはＴバックでお尻に食いこんでいてキャーッ。プライヴェート・ダンスは黒いホット・パンツ型だから、さすがに隠しすぎと不満がモヤモヤ。ホット・パンツからは紐パンティーらしきものがハミでていて、スポンサーの男がカネをその紐にはさむから、きっと脱いでウルトラ・ハイレグになるぞと期待したのに、ならないままでアレレ。ジョンとの強引なセックスやホテルの客待ちポーズでシーツを巻いていて、乳首のでる寸前のバストがそそるも、ジェーのイメージの中でシャワーを浴びたあとセックスの誘惑をかけたり、実際にセックスする二度のベッド・シーンで、ついにオッパイをださずじまい。あのキュートなマリカルの乳首が今回はおあずけかと思うと、ついしぼんでしまう。ダリアが倒れて駆けよるとき、しゃがんだかっこうで危うく半ケツだったり、退院でダリアをかかえる際のファッションがラインを強調のベージュのピタパンだったりは嬉しいものの、ステージ以外のマリカルはいつになくイマイチの露出といわざるをえない。
　むしろウハウハ狂喜に導いてくれたのはクリスタルで、黒づくめのヘソだしパンツ・ルックから放つ色気のすごさには、ジョンならずともビリビリッと谷間の切れこみが深いシャツを引き裂いて、オッパイをむきだしにしたくなる。きっと脱ぐシーンがあるぞ、とドキドキ心待ちに応じてか、カルロスとのセックスで座位になってオッパイをドバーッ。二回目は背中をなめられる肘立ちの寝ころびポーズを正面から撮り、下向きオッパイの迫力にあ然。正常位へ体を入れかえるや、上向きも惜しまない全開によだれがたれてくる。ジョンに犯されるときは、バストの谷間が紐状になったボディコンを左右に破られ、グイッと乳首を引っぱりだされてプラプラ。もーう、ここまでモロなら、十分に満足。
　クリスタルに拍手。
　あとマリカルの友人であるダンサーをトリシャ・ヤコブが演じ、長身の美人だけに、ボディコンやヘソだし衣装のみはかえってヘビの生殺し状態を招く。水着でいいからステージで踊ってほしかった。Ｇ．Ｒ．Ｏ．にはミレット・アバロスとリサ・リカロスの顔があり、こちらも脱がなきゃダメよ、と注文をつけたくなる。