“ＢＡＷＡＬ”
（タブー）
　
98年：グッド・ハーヴェスト・プロダクションズ
監督：セザール・Ｍ・エヴァンゲリスタ
主演：ガルド・ヴェルソサ
　　 　アヤ・メデル
　　 　チャンダ・ロメロ
　　 　トフィー・カルマ
　　 　レオ・ラバゴ
　　　 エリザベット・オロペッザ
　　　 マリア・イザベル・ロペス
　　　 レナート・デル・プラド
　義父から娘がレイプされるエピソードはかなりの作品でみたから、フィリピンではよくある事件なのかと疑うが、単純にドラマティックな要素につかいやすいということだろう。実際に少女時代にそんな衝撃的なしうちを受けたらドラウマになるんじゃないか。
　と思うわけだが、トラウマになった例を題材にとるサイコ・スリラーである。
　ラヴリー・マンスエト演じる12歳くらいの娘がレナート・デル・プラド演じる義父に犯され、エリザベット・オロペッザ演じる母によって宗教的な世界へ救いを導かれたため、セックスを罪悪だと信じるようになる。
　17年後とでて、ハイ・スクールの制服姿のアヤ・メデルが登場。あのとき赤ん坊だった種違いの妹なわけで、そうか、アヤは17歳の設定なのかとあきれるものの、ほとんど違和感がないからすごい。同じ年の『Ｌａｒｇａｄｏ』では一児の母を演じていたのだが…
　まあアヤが主演なら、映画の内容もさることながら、いかにヌード・シーンを盛りこむかに期待がかかるわけで、学校から帰るや、さっそく鏡の前で制服を着がえるところを背後にとらえる。シャツを脱ぎ、スカートを落とし、一緒にパンティーが下にずれて、なな、なんと半ケツに。それをキュッと引っ張りあげ、ヒップラインがピシッと浮きぼりになる。ウヒョヒョと歓喜に酔っていると、さっさとブラをはずしたではないか。うしろから映していても、鏡にはオッパイがくっきり。あのヴィーナスの化身のような美乳が…
　早くもやってくれるなあと興奮が持続する中、満足感に浸るも、まだ許してくれなかった。ベッドで横になったアヤは、トフィー・カルマ演じる恋人と海へ行ったときのことを思いだす。浅瀬で戯れるアヤは大胆すぎるハイレグのＴバック。波打ちぎわを走る姿は、乳房がポロンとこぼれる危険性を秘めるがごとくプラプラ揺れる。トフィーと転がりながらキスの際の濡れて光る肢体が挑発的。
　こりゃあ、たまらんぞ。
　映画の残りの部分は付録みたいなものだ、と続きをみていくも、とにかく役者がそろっている。ラヴリーが大きくなった人物にあたる姉はチャンダ・ロメロが演じ、『男はつらいよ』シリーズのタコ社長じゃないが、小さな印刷工場を経営。レオ・ラバゴ演じるのがそこの技師で、住みこみなのだが、一階の雇い人の部屋と二階のオーナーの部屋の間に床の板が割れて穴の開いているところがあり、ちょうど真上にアヤが立つと、下からスカートの中をのぞいてチャンダに怒られる。夜にチャンダが二階から外へでてみると、庭で水浴びの最中で、チャンダにみられていることがわかるや、わざとパンツまで脱ぐあたりに、いかにもスキモノ男の感じがムンムン。あとでチャンダが寝ているところを襲って発砲され、逃げてしまうキャラに、適役である。
　また印刷工場の、日本では最近みなくなったが、金属の文字の型を植字で活版を組んでいく風景が興味深い。
　トフィーは相変わらずのひ弱なダメ男役で、アヤと海岸の船の陰で愛撫の現場をチャンダにみつかりオロオロ。ここはアヤが上半身裸にされると、トフィーに抱かれながらも、ピッタリくっついた体の間に手をはさんでいて、アヤが自分の乳房を触っているポースが妙にそそる。手がジャマで乳首がみえないも、かえって興奮をかきたてる。トフィーが両乳房の谷間を舌でペローーンとなめるとき、瞬時だが乳首がバッチリと露出し、もーーーう、キスしたい。このあと家に連れ帰らされ、チャンダに汚らわしいと全身を洗われるシーンでも、アヤはパンティー一枚にむかれ、石鹸をこする動きに乳房がタプタプ。
　いやはやみごたえのあるボディーに感激のしすぎで、うれし泣きが起きる。
　チャンダが怖くてトフィーはアヤと別れ、この情けなさは、いかにもフィリピーノっぽい。
　ガルド・ヴェルソサはトフィーと対照的な人物を演じていて、印刷所の職工仲間の一人で、マリア・イザベル・ロペス演じるオバサンのパトロンを持つが、マリアがくるとわかるとわざとジーンズのジッパーをおろし、ベッドで横に転がり、狡猾なヒモの典型のように登場。マリアは往年のセクシー・スターながら、ややブスだし、さすがに抱っこの場面でも脱がない。レオにかわって印刷所の技師に昇進で、今度はアヤと引かれ合う。二人のデートの部分では、ロケ地にとるミンダナオ島の西側の北海岸に位置するミサミス・オクシデンタル州のヒメネスが紹介され、観光的な面白さを感じさせる。
　ガルドとアヤには工場と二階の部屋でのラヴ・シーンをおき、またもアヤは上半身ハダカで、乳首はみえないが、前かがみになってバックからの愛撫にカッカ血をたぎらせる。ピアノの上では、グランドではないものの、ピアノのあること自体が中流のシンボルのようにもとれてハハーンとうなずかせる表現で、めくれたシャツにアヤの半乳首がのぞく。大胆にポロッと露出もいいが、この半乳首というのが異様になまめかしく、ダメ押しのように興奮。
　実はガルドは本気で愛のあるイイ奴だったわけで…
　チャンダの脳裏に義父の顔がフラッシュ・バックで登場し、悪夢のあと神に祈るも、アヤの妊娠に気がつくや、いよいよトラウマが精神病を引き起こす。
　アヤをとらえて寝かせ、縛りつけて全裸にむき、ロウソクを周囲に立てて黒ミサみたいな儀式を行う。アヤのボディーにもロウをたらせ、これじゃＳＭじゃないか。
　個人的にその趣味はありません。
　アヤは乳房どころか陰毛までモロみせに、ドヒャー、まいった、降参。ダメ押しのダメ押しで、20対0の野球の試合のように、もはや打つ手なし。全身は脱力感で、アヤを女神として拝むばかり。
　すごいサーヴィス精神だ。
　愛するガルドが助けにくるや、台所で包丁をとったチャンダと格闘になり、セコいアクション・シーンながらも、そこそこ迫力がある。
　結局、チャンダを入院させ、無事に結ばれたガルドとアヤが退院後も治療の面倒をみるわけだから、ハッピー・エンドといえよう。サスペンス劇としては、それほどハラハラを呼ばないわけで、二流以下と指摘せざるをえないし、トラウマのドラマへの生かしかたもヘタだなあ、との印象。
　もっとも、そんなことよりもアヤの魅力がウルトラ爆発なのに、セザール・エヴァンゲリスタ監督への感謝の気持ちに絶えない。