ＢＡＳＴＡＲＤＯ
（不遜な野郎）
　
(97)年：オクトアーツ・フィルムズ／シネマックス・スタジオス
監督：ペペ・マルコス
主演：イアン・ヴェネラション
　　　 イナ・レームンド
　　　 レーモンド・バガチング
　　　 マーク・ヒル
　　　 ラモン・クリストファー
　　　 エヴァンジェリン・パスクアル
　　　 マンジョー・デル・ムンド
　　　 セリーナ・コルテス
　ペペ・マルコスが変わらず撮り続けているＢ級アクションで、脚本のヘンリー・ナドンとのコンビ作。
　イアン・ヴェネラションがスービック・ベイに勤務するヒーローの警官を演じ、アーチー・ヴェントサ演じるビジネスマンの誘拐事件でラモン・クリストファー演じる犯人を逮捕する。正義漢ながらもイアンは家庭に問題をかかえ、エヴァンジェリン・パスクアル演じる貧民街に暮らす飲んだくれの母は、ヴァンジー・ラバラン演じる隣人とケンカを繰り広げる。レーモンド・バガチング演じる腹違いの弟はビリヤード場で暴れ、ジョニー・ヴィカール演じる父から怒りをうける。手下に命じてカネをとろうとジョニー宅をレーモンドが強盗に押し入らせ、誤ってジョニーが刺殺されたために、レーモンドがマニラへと逃げる。一方、有罪判決がくだったラモンは法廷であがき、護送中にマーク・ヒル演じる兄の手引きで脱走をはたす。ボーイ・ロケ演じる旧友を訪ねたレーモンドは一緒にマンジョー・デル・ムンドがボスを演じる組織を相手にいかさま麻薬取り引きに加担のあと、警察を襲った際にエドガー・マンデ演じる仲間がつかまったことで、弟の関与をイアンが知る。レーモンドを追ったイアンがボーイと撃ち合いになり、ボーイがイアンに向けた弾がレーモンドに当たる。イアンにはイナ・レームンド演じるモデルの恋人がいるのだが、ラモンがイナを拉致したため、イアンが救出に向かう。
　実にシンプルなストーリーで、とりあえずは退屈を呼ばないのが身上といえる。ボーイとの対決では工事現場の板に乗ってクレーンで吊るされながら格闘し、まずまずスタントが頑張っている。イアンがイナに射撃を教える設定がデート中にあって、多くのフィリピン映画だとこの手のシチュエーションはただの雰囲気づくりにすぎなかったりするのだが、ちゃんとイナがクライマックスで銃をとっているのも納得。もっともカー・チェイスのドンパチでイナがハンドルを握り、そんなに運転がうまいかあとあきれるものの…
　焦点はイナのセクシーさがどうかに尽きる。ビーチでの撮影場所へパトリック・デラ・ロサ演じる同僚とイアンがやってくるシーンでイナは数タイプの水着姿を披露し、ワンピースにヒップラインが浮かぶ。セリーナ・コルテス演じる友人のモデルや、もうひとりマヤ・ヴィリアヘルモサ演じるモデルも水着になり、イアンとイナ、パトリックとセリーナのモーター・ボート遊びも水着のまま。ただしセックス描写に挑発を欠くうえ、イナは肩に、セリーナは背中に刺青を入れているのがわかってげっそり。あとでバーのシーンでもビキニのダンサーの太腿に刺青があって、ほとんど気持ち悪さを招く。ラモンにつかまったイナがもてあそばれるとき、服をビリビリッと破られないマイナスや、イナのジーンズが下半身にフィットしたタイプと異なる残念さも考え、期待はずれと指摘せざるをえない。
　結果、満足度の低い内容に終わったようだ。Ｂ級において女優の魅力は非常に大きな要素なのだ。