ＢＡＳＡＧ　ＡＮＧ　ＰＵＬＡ
（赤い割れ目）
　
84年：シネ・スエルテ／Ｍ−７
監督：ベン・Ｇ・ヤルン
主演：エース・ヴェルヘル
　　　 マリア・“スヌーキー”・セルナ
　　　 リザ・ロレナ
　　　 アルミナ・シギオン・レイナ
　　　 アンジェラ・ペレス
　　　 ジェージ・エストレガン
　　　 ボンバー・モラン
　　　 アーノルド・メンドーサ
　　　 マリッサ・メンデス
　　　 マリテス・サムソン
　　　 デブラリス・ヴァラソテ
　　　 マルタ・セヴィーリア
　　　 ジェニー・リン
　　　 レア・レイエス
　　　 ラヴェーリア・デ・コルドヴァ
　　　 クリセルダ・“ダン”・セシリオ
　　　 ヴィク・シラヤン
　サイコ・スリラーの形をとる連続殺人もの。
　冒頭に異常者のフェルナンド（エース・ヴェルヘル）が、深夜にガス欠で車のとまったアバド弁護士（ヴィク・シラヤン）と娘のダイアン（ダン・セシリオ）を残酷に殺すエピソードがおかれる。フェルナンドの頭がおかしいのは、どぶネズミを焼くのにあらわし、実際に生きたまま火をつけている。少年時代に母（ルシタ・ソリアノ）が男とイチャつくのをながめ、子どものフェルナンド（ジョコ・ディアス）が母にぶたれた体験を盛りこみ、狂った原因のひとつを示す。それで男女がイチャつくのが大嫌いなのか、夜の路肩に駐車した車にいたカップルを襲い、男を刺殺で女が逃げる。女を追いかけるのを警察にみつかり、今度は自分が逃げるうちに、たまたま貸しきりバスの運転手を殺すや、うまく運転手におさまるまでがたくみに描かれる。血の流れかたなどのリアルさに乏しいが、けっこう暗い画面でベン・Ｇ・ヤルンの演出が導入をハラハラとあおる。
　バスは女子大生が研修旅行でバギオの宿泊施設へ向かうもので、ぞろぞろと女の子たちがそろっているのがうれしい設定。このうちのチキ（スヌーキー・セルナ）がフェルナンドの恋人のシエロと瓜二つとは、よく安手の映画のとりがちなフィクションになり、あとでフェルナンドがチキをシエロと思いこむ心理の混乱がでてきて、さほど感心しない。またシエロが荒くれ男（レネ・ホーキンス）にレイプのうえに殺され、自分も撃たれて生死をさまよったのを精神破綻の第二の理由にあげている。
　宿泊施設には悪党ずらの使用人のジェーゴ（ボンバー・モラン）がいて、女子大生たちが驚くも、実は純粋な人物との構図は定番ながら、まったくジェーゴに活躍の場がないのは意外かな。
　女子大生たちは厳格なおばさん教師のリヴェラ（アルミナ・シギオン・レイナ）の管理下にあるが、リヴァラはレズなのを隠し、美人学生のレミー（アンジェラ・ペレス）を愛撫するのをフェルナンドがのぞく。宿泊施設の美人オーナーはフェルナンドを誘惑にかかり、抱き合う最中に刺殺で最初の犠牲者になる。バギオに恋人（リッキー・ダヴァオ）がいるので、夜に抜けだした学生のマース（マリテス・サムソン）が逢い引きのあとに殺され、第二の犠牲者に。
　行方不明者がふたりもでたのに、みんなが騒がないのがヘンと思わせつつ、マースを探すときに第三の犠牲者が襲われ、それでも平穏に林間学校の最終夜のキャンプ・ファイヤーをむかえる。ひそかにリヴェラがチキにレズの愛撫をしようとしたとき、フェルナンドがリヴェラを刺し、捜査にきた警官（ノノイ・デ・グスマン）も殺害を女教師のパトリア（リザ・モレナ）が目撃でパニックが起こり、レミーがやられる。
　スワットが出動後のつめは、ほとんどありきたりでつまらないうえ、フェルナンドが運転のバスへ射撃なんて『ガントレット』かと思わせる。
　女子学生たちがリヴェラの目を盗んでマリファナでラリったり、こっくりさんをしたりには、当時の学生の姿がうかがえる。デブの女学生のエリザベット（デブラリス・ヴァラソテ）をコメディエンヌとしておき、あちこちでズッコけをプラスはパターンの図式。
　さすがに刑事のミランダ（ジョージ・エストレガン）が手描きの顔のパーツを組み合わせて目撃者の証言でモンタージュをつくる過程は、シンプルゆえに興味深かったかな。
　バギオへの途中でバスがビーチとプールの施設により、リヴェラをのぞく全員の水着姿の登場がウハウハのシーン。リザ・ロレナの黒いワンピースが大人の色気で、スヌーキー・セルナの暖色系ワンピースもキュートだが、濡れてヒップラインをくっきりにプールをあがるショットが遠景で残念。女子大生のアンジー役のメリッサ・メンデスなど、有名どころの水着が隠れがちなうえ、デブラリスのお尻のドアップが余計と撮りかたはヘタなものの、メアリー・ブランカ、ロサナ・アチェンサ、メラニー・オロ、シェリル・ラ・セルナなどが演じる女子大生たちに大胆な黒いビキニや赤いビキニ、青いワンピースや黒いワンピースがいて視線を奪う。
　またフェルナンドに恋人を殺される車でイチャついた女性のほうが、ブラをあわらに走って逃げるのがそそるし、オーナーの女性がフェルナンドを誘惑で乳首がポロリ寸前まで脱ぎ、雷雨の中で第三の犠牲者が濡れてボディーにジャージーの貼りつく状態で殺される。マルタ・セヴィーリア、ジェニー・リン、レア・レイエス、ラヴェーリア（ロエーリア）・デ・コルドヴァのうちの誰かだろうが、いずれも美人でも肝心の露出なしに落胆。マリテス・サムソンやアンジェラ・ペレスも、とくにマリテスはきわどいまでに上半身の肌をみせるのに、オッパイの全開にいたらない。美貌のダン・セシーリオはそそる要素が皆無だから、セクシーさの表現は落第といえる。
　まあ、リザ・ロレナのジーンズで鼻息が荒くなり、バツグンのプロポーションにまいった次第。