“ＢＡＲＩＬ　ＳＡ　ＢＡＲＩＬ”
（銃に銃）
　
97年：ＭＡＱプロダクション
監督：ロミー・Ｖ・スサラ
主演：ゾーレン・レガスピ
　　　 チャック・ペレス
　　　 グライデル・メルカド
　　　 レス・コルテス
　　　 デクスター・ドリア
　　 　ロミー・ロムロ
　実にシンプルな犯罪アクション。シンプルであることはプラスのパターンの場合も多いのだが、ここでは単純すぎて、底の浅さをあきれざるをえない。
　ゾーレン・レガスピ演じる主人公がレス・コルテス演じる義父を殺す冒頭から、まず非常にわかりやすい。デクスター・ドリア演じる母を暴行したためで、ガス・コンロに顔を押しつけるような異常者とホントに結婚するかとの疑問が起きるも、とりあえずはきっかけ。裁判でゾーレンが有罪になり、どう考えても正当防衛のケースだけに、これまた強引な展開。同じ法廷における次の裁判の被告がチャック・ペレス演じる凶悪犯で、チャックは判決後に脱走の準備を整えていた。それでゾーレンがチャックと手錠でつながれた状態だったため、巻きぞえを食うわけである。
　荒っぽい進めかたに苦笑いが生じるものの、とにかくテンポがよく、みせることはみせる。
　チャックがヘンリー・サルセドとテス・ヴィリアラマ演じる金持ち夫婦の息子を誘拐するメイン・ストーリーへと入って、ゾーレンが協力しているのはどんなものか。チャックがクリスマ・ティクマン演じる知り合いの女のレイプにおよんだとき、ゾーレンが母へのヴァイオレンスを思いだしてチャックに殴りかかっているだけに、最初から不信感が芽ばえていたはず。チャックがグライデル・メルカド演じるかつての恋人のところへ押しかけ、ボビー・ベニテス演じる現在のカレを殺してグライデルを同行させる流れで、クリスマの報告を受けてロミー・ロムロ演じる刑事が捜査を開始。ホテルでグライデルと寝ているチャックにゾーレンが警察の到着を知らせるも、勝手に一人で逃げろよといいたくなる。
　山の中へ舞台を移したあとは、ゾーレンとグライデルが結託で子どもを助け、チャックを退治するだけとわかっていて、まったくのストレートな予定調和にうんざり。
　五百万ペソの身代金受け渡しにアイディアが乏しいなら、警察の山狩りにリアルさを欠くうえ、ゾーレンとチャックの対決に迫力を生まないのが致命的。
　あくびばかりを誘う作品だった。
　まあ、グライデルがセクシーなら文句もないところ。チャックが現われるとき、ちょうど部屋で着がえ中。スカートがめくれていて、黒いパンティーがお尻に食いこんだうしろ姿に、思わずスゲーッ。これは期待できると興奮が高まったのだが、直後の愛撫や、ホテルで、山小屋でのセックスで肝心のポロリなし。胸元の大胆なワンピースや赤いタイト・スカートなどファッションは色っぽいものの、かなり不満が残る。小川で水浴びを始めるシーンでは、脱ぐぞ、脱ぐぞと期待したのに、濡れた下着になっても乳首がスケないまま。しかも途中でチャックがきて、やめてしまうじゃないか。
　もう、水浴びすらちゃんとみせないのだから、ハズレもハズレ、大ハズレ。
　クリスマはミニスカが挑発的ながら、いささかブスっぽいし、やはりギリギリまでの露出にとどまっている。
　女優の魅力も失格といわざるをえない。
　なお、金持ちの家のメイドに一人かわいい娘がいて、ちょっと気になった。