ＢＡＮＹＯ　ＱＵＥＥＮ
（トイレの女王様）
　
01年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：ドワイト・ガストン
主演：アンドルー・Ｅ
　　 　リカ・ペラレホ
　　 　ヴォン・ナヴァロ
　　 　ミスティカ
　　 　チョロ・エスカーニョ
　　 　ジミー・ファブレガス
　　 　セス・ケサダ
　　　 ベルナルド・パランカ
　強烈な個性で人を食った内容のコメディー演技をみせるアンドルー・Ｅだが、ここではなんと吸血鬼を題材にとっている。
　冒頭のショッピング・モールで全裸になって大暴れのエピソードや、バーでジャッキー・クラウク演じる女性を偶然からボコボコにしたり、そのジャッキーを見舞った病院で医者や患者をのしてしまうエピソードなど、悪気はないのに失敗の連続がアクシデントを生むという、いつものアンドルーで笑わせてくれる。車椅子のケガ人や呼吸困難の病人相手にトラブルを引き起こすパワーは、相変わらずさすが。反面、安ホテルの雑用係でさえない生活ぶりや、失敗に落ちこむあたりも、おなじみのキャラクターといえる。
　なぜか意外とモテるのもパターン通り。今回は相手がリカ・ペラレホだから、まさかこんな美人に？　とも感じるのだが、そこはおとぎ話ということで…
　リカ演じるのは吸血鬼の一族にあたり、十八歳までに誰かの血を吸うという、処女を捧げる行為をしなければならないとの設定。それでミスティカ演じる叔母にガイドされて相手を探しているものの…
　まずミスティカの吸血鬼ぶりが、いかにも適役。ひょっとしてミスティカが吸血鬼だったら面白いだろうなあ、というのが企画の前提だったんじゃないかとの推測が成り立つほど。男を前にＳＦＸで顔が怪物に変化すると、チンポにガブッ、なんてピッタリさまにおさまっている。リカに百八十度の開脚を強要や、バナナ、なす、キュウリを飲みこむ訓練をほどこしたり、頭に火がついて真っ黒になるあたりは、やっぱり悪のりコメディエンヌぶり。得意のミュージカル的な要素もちゃんと盛りこんでいる。
　物語は自分の処女を捧げる、つまり噛みついて吸血鬼の仲間に引き入れる相手としてリカがアンドルーを選ぶのだが、本気で好きになって、吸血鬼にはできないと悩むあたりが核。ファースト・キスの直後、リカの口に吸血用の八重歯が生えてきて、鏡をみながら「ああ、ついに」と悔しがるシーンが実におかしい。
　これにヴァンパイア・キラーとの対決がからみ、キラーたちはほとんど『メン・イン・ブラック』を意識したなと思わせる格好。しかもジャッキー・カスティリエホ演じる女性を含む三人組で、矢を放つ鉄砲をすべてはずしたりといった、やることなすことドジばかりなのが定番のコメディー・キャラクター。さらにミスティカなど、リカとアンドルーを合体させようとしむけるティームもからんで大混戦をまねき、カレッサが逆行で馬がしゃべるギャグはまずまずなものの、クライマックスのカー・チェイスはいささか長い。マジメなアクションならハラハラ・ドキドキに匹敵する、すごくスタントが頑張っているカー・チェイスだけに、もう少し編集で凝縮がよかったんじゃないか、とすごく残念。
　それにしてもアンドルー、ミスティカに加えて、リカの両親を演じるジミー（ハイメ）・ファブレガスとセス・ケサダといったアクの強い役者がそろう中、リカが負けていないのには感心するのみ。ひょうきんな表情をつくったり、ミスティカとダンス演技を披露したり、ファンとしては嬉しい限り。
　まあラストはハッピー・エンドに決まっているから、幸福な吸血鬼カップルが誕生にメデタシ、メデタシである。
　余談ながら、リカのベッドにアンドルーが寝かされるシーンでぬいぐるみがいっぱいあり、吸血鬼のピカチューやキティーちゃんがいるのにはニヤッ。
　さて、個人的に肝心なのはリカのセクシーさがどうかだが、もちろん合格点。ミスティカに吸血レクチャーを受ける自分をイメージするシーンで、ブラとホット・パンツという姿になってお尻フリフリのダンスを繰り広げ、ワンワンのポーズをとるからたまらない。ミスティカのおなじみボンデージ・ファッションもかすんでしまうほど。最大のハイライトはオロンガポへ海水浴に行くシーンで、リカは水着を買うべく試着する。最初は青いスカートっぽいボトムのタイプで、次に青いブラの部分がキャミになっているもの。さらに白いビキニとだんだん露出が大胆になってくるや、結局選んだのがニットの紐ビキニ。しかもブラなど、今にも乳房がこぼれでそうなほどの危なっかしさ。これで海岸をくるくるまわりながら歩くし、浅瀬でペチャペチャ泳ぐから、アンドルーのみならず興奮が頂点に達するじゃないか。
　リカって、キュートすぎる。
　他に路上でアンドルーと視線をかわしたがために泥沼に落ちてしまう女性を演じたダイアン・デルフィンや、浮気の現場をみつかりそうになる情婦を演じたビアンカ・リヴェラなど、セクシーな脇役も楽しませてくれた。