ＢＡＬＩＫＴＡＲＡＮ
（裏の裏）
　
00/01年：リーガル・エンターテインメント
監督：バルド・マーロ
主演：ゾーレン・レガスピ
　　　 トントン・グチェレス
　　　 アスンタ・デ・ロッシ
　　　 ダン・フェルナンデス
　　　 マイク・マガット
　　　 エルニー・サラテ
　バルド・マーロ監督の凡庸な演出によるアクション映画だが、ホヴェン・Ｍ・タンの脚本によって楽しめる。バルドはファイティング・ディレクターとしてクレジットされることが多いから、マジで技斗に終始して、語り口のうまい演出家がドラマを担当すれば、もっと面白くなったかもしれない。
　四人の警察官の物語で、ゾーレン・レガスピとトントン・グチェレス演じる仲よしコンビが主人公。強盗を退治でエルニー・サラテ演じる署長からほめられる。マイク・マガット演じる、やたら怒られている警官とは今にもケンカしそう。その様子をダン・フェルナンデス演じるおとなしい警官がながめている。
　バーでダンのテーブルにいるアスンタ・デ・ロッシ演じる女性をめぐって客とトラブルになり、ダンがあっさりやられ、居合わせたゾーレンが助ける。アスンタがダンの恋人でないとわかるとゾーレンは交際を始め、すぐにゴール・イン。でもプールで水着のアスンタにトントンがイヤらしい視線を送っていたし、結婚式でトントンからの質問にアスンタが不自然に答えるなど、意味深な伏線を張る。一連のようすをダンが口をはさまずに、いつもながめているのも怪しい。
　アスンタが出産するや、育児にヒステリックになるあたりに、普通じゃない性格を匂わせる。
　映画は署長になる欲望がトントンにわきあがったことを示したあと、赤ん坊が大病で多額のカネが必要になり、困っているゾーレンの元へ署長の暗殺の話が持ちこまれる。悩んだ末に引き受けるも、射撃に失敗し、マイクによってつかまる。ゾーレンが刑務所へ入ったあと、トントンはアスンタと一緒になり、それをまたダンがみている。
　謎の人物によって署長が殺され、トントンが昇進し、アスンタと同棲する。これらの状況をダンやマイクが面会でゾーレンに伝えるのだが、アスンタから刑務所に直接別れの連絡があったときにゾーレンがキレて、ついに脱獄。
　アスンタが不明の電話をごまかす伏線のあと、ゾーレンとトントンが対決。その場にかけつけたマイクらを先にやっつけ、感情のままに正面から発砲し合って相打ち。ダンが現れてアスンタを抱く。署長を殺した犯人も明らかに…
　もちろんこれで終わらないのは、容易に予想がつくだろう。
　まあ退屈させない展開だし、けっこういいんじゃないか。
　ただし脱獄がオイオイとあきれるくらいに容易すぎて唖然としたり、ゾーレンとトントンの決闘がどう考えてもお互いが自殺し合っているようなバカさ加減であったり、実は生きていたゾーレンがバスに乗っているラストで、なんで逮捕されないの、といった疑問が起きて、ホント演出はヘタだなあ、との印象。
　もっともアスンタの魅力がそのマイナス要因をはね返して余りある。悪魔的な微笑など、悪女ぶりを鮮やかに表出している。セクシー女優に転身する直前だからゾーレンやトントンとの三度あるベッド・シーンで、まだヌードにはなっていなし、プールでの水着もオッパイが半分以上隠れたブラに、ホット・パンツふうのボトムという大胆さに欠けるタイプながらも、実にゾクゾクさせる。
　まさに、アスンタがいてこその映画だといえよう。