ＢＡＬＡ　ＰＡＲＡ　ＳＡ　ＫＡＴＡＲＵＮＧＡＮ
（正義のための弾丸）
　
97年：リーガル・フィルムズ
監督：ソニー・パルソンズ
主演：ソニー・パルソンズ
　　　 ジョアンヌ・キンタス
　　 　エリザベット・オロペッザ
　　　 ベルナルド・ボニン
　　 　グロリア・セヴィーリア
　　 　パキト・ディアス
　　 　ビン・ダヴァオ
　　　 イズラエル・サロンガ
　　　 ザンドロ・ザモラ
　　　 クロイド・ロビンソン
　ソニー・パルソンズが自ら監督したアクション映画で、予算がないからかスケールが小さいのはしょうがないにしても、いろいろな点で中途半端なできである。
　最初に警察官が殺され、捜査するソニーのところへジョアンヌ・キンタス演じるＴＶレポーターが取材にくるのだが、その寒々とした画面づくりに、これはすごいハズれ作品だぞと予感させる。
　ソニー演じるのは徹底して悪を嫌うスーパー・コップで、エリザベット・オロペッザ演じる姉がベルナルド・ボニン演じる警官と交際していて、このベルナルドが、パキト・ディアス演じるボスを頂点とする犯罪シンジケートに通じている設定。エリザベット自身も悪の仲間に加わり、ソニーと対立になるのだが、当然、弟を裏切れない。それでシンジケートに反抗で殺されてしまうわけで、せっかくのこうしたドラマティックな構図を生かしきっていないため、さっぱり盛りあがらないのが困ったもの。
　グロリア・セヴィーリア演じる母と幼い弟がいるソニーの家庭描写はまずまずながら、弟が犠牲になるという展開も疑問ありで、他にも部下が安易に虐殺されるなど、暴力描写によって悪の迫力をだそうという意図に疑問が生じる。
　クライマックスで単身ソニーが組織のアジトへ乗りこむあたりは、もはや無理のダメ押しといえ、ただただアーア。撃たれても殴り合う超人ぶりは、へたなマンガ以下といってよいかもしれない。パキトをやっつけるときのヘリコプターの爆発など、もうちょっと描きかたがあったんじゃないか。
　ジョアンヌとソニーは恋仲になり、このロマンスの部分も中途半端。
　しかもせっかくジョアンヌ、エリザベットともにベッド・シーンがあるにもかかわらず、不自然にボディーにタオルを巻いていて、露出の期待も泡と消える。プールの描写でエリザベットは熟女の豊満な胸元をみせるが、水着にならず、ジョアンヌはワンピース水着なものの、下に布を巻いていて、まあ、実際にフィリピンでプールへ行けばビキニなんてみかけることは99％ないから、他の映画の同様のシーンのほうが不自然なのであって、こちらのほうが現実にそくしているといえばそれまででも、 サーヴィス不足にイライラ。
　スーパー・マーケットの強盗を退治のエピソードでは、犯人の一人にレイプされそうになる女性をエリカ・ダヴァンテス（ここではエリカ・ダウォンテスとクレジットされている）と名乗っていた頃のヘーゼル・エスピノサが演じているが、まったく脱がされないままに、セクシーな表現も不満しか残らない。
　もう半端、半端、半端、半端。
　とんでもない駄作である。