ＢＡＬＡ　ＡＴ　ＬＩＰＩＳＴＩＫ
（弾丸と口紅）
　
94年：リーガル・フィルムズ
監督：マリオ・Ｊ・デロス・レイエス
主演：ロデリック・パウラテ
　　　 ゾーレン・レガスピ
　　　 ディンディ・ガリアールド
　　　 ミゲル・ロドリゲス
　　　 ナネット・インヴェントル
　　　 ミッチ・ヴァルデス
　　　 ジョジ・イスラ
　　　 サミー・ラグマイ
　　　 チェスカ・ディアス
　　　 ルシタ・ソリアノ
　　　 シンタロ・ヴァルデス
　　　 ジョルダン・カスティーリオ
　　　 エリック・カエタノ
　　　 ダニエル・フィゲロア
　　　 カルラ・エストラダ
　　　 テッシー・トマス
　　　 ノエル・トリニダッド
　ロデリック・パウラテの芸達者な面を引きだしたコメディー。
　嵐の夜に車の中でナネット・インヴェントル演じる女性が産気づき、男の子を出産で気絶。たまたま通りかかったリリア・クンタパイ演じるおばあちゃんとアレン・モルガン演じる少年が赤ん坊をもち帰る。ナネットは死んでなくて、双子でもうひとりを出産。二十年以上の時間が流れ、オカマのロデリックが近所でケンカしまくって気性の荒い性格をうかがわせ、テッシー・トマス演じる議員夫人に指輪を売りつけるちゃっかりした面をあわせもつ。ギャングのロデリックが組織の秘密を握るマイクロ・フィルムを所持し、ミゲル・ロドリゲス演じるボスの指令で殺し屋の追跡をうけている。オカマのロデリックはゾーレン・レガスピ演じるハンサムにほれていて、ゾーレンはそれを利用し、カネをたかる。シンタロ・ヴァルデス演じる友人からゾーレンが新しい仕事をもらうと、これがミゲルの部下。なんてシチュエーションで、自分のそっくりさんがいることを知らない二人のロデリックが同じデパートやホテルをうろつき、はち合わせしないままにミゲルの手下やゾーレンが勘違いで、ドタバタ騒動を繰り広げる。チェスカ・ディアス演じる女性と会っているのをオカマのロデリックが嫉妬し、言い訳でゾーレンが追いかけ、それにチェスカがつきまとい、ディンディ・ガリアールド演じるギャングのロデリックの愛人も入り乱れてのバカバカしさはホセ・ハヴィエール・レイエスの脚本がたくみに構成をまとめたもの。似顔絵を活用しきれないといったイマイチなところもあるが、とりあえずはうまい。
　ジョシ・イスラなどが演じるドジ秘密警察もからみ、ジョルダン・カスティーリオとランド・アルマンソル演じる手下がディンディとともにオカマのロデリックをら致してきて、ミゲルが人違いを怒る。ゾーレンの連絡でミゲルの本拠へ秘密警察が乗りこみ、ギャングのロデリックがディンディとマイクロ・フィルムの交換に応じて…　とマリオ・Ｊ・デロス・レイエスがテンポよくみせるので、ギャグは貧困でも、まずはあきない。
　ませた子どもやオカマの仲間がうろつくオカマのロデリックの家庭や、葉巻をくわえてビッグ・バッド・ママっぽいナネットのいるギャングのロデリックの家庭など、周辺にもヘンな人物を配し、それぞれミッチ・ヴァルデス演じる叔母、ダニエル・フィゲロア演じる弟とまともなものをおくあたりに妙な配色をほどこす。ミゲルの部下の誤射で亡くなるウィニー・コルデロ演じるデパートの売り子や、ボディコン・ミニでセクシーさを気どりながらも、アクシデントでいつもボコボコになるフレデリカ・モランディ（？）演じるミゲルの情婦など、脇でも強烈なキャラクターに芝居をさせる。ルシタ・ソリアノ演じる母のいるゾーレンの家庭描写や、デパートで事件の目撃をのべるネルシー・ゲヴァラ演じる売り子のあつかいはイマイチかな。ゾーレンがつとめるガラス瓶の工場風景には、じゃっかん興味が起きる。チャンダ・エスピリトゥ演じる友人の妻を訪ねてギャングのロデリックが葬式でずっこけるエピソードは、さすがにハズしすぎ。
　でもアクの強いオカマとニヒルに決めきれないギャングの対照的な設定をロデリックが楽しそうに演じていて、嫌らしさを抑えた点は評価したい。
　まあ、最後は海外へ出稼ぎにいっていたエリック・カエタノ演じるオカマのロデリックの兄が戻り、オカマとギャングが兄弟と判明。ハッピー・エンドかと思いきや、エピローグがついている。ゾーレンが突然に婚約者を連れてきて、結婚式になる。オカマのロデリクも祝福し、めでたし、めでたし。
　なんといっても個人的にはディンディの美人ぶりに引かれる。ジーンズがそそり、Ｙシャツをはおっただけのかっこうから長い脚が伸び、ギリギリでパンティーがのぞくか、のぞかないか。しかも主題歌が入るビーチでのギャングのロデリックのイメージ・シーンでビキニを披露し、抱きあげられて白いパンティーのお尻がアップになる。ディンディ・ファンには歓喜の興奮。
　あとゾーレンの花嫁役で登場のカルラ・エストラダが相変わらずの美貌で、うっとりと魅力を放っている。