ＢＡＫＩＴ　ＩＫＡＷ　ＰＡ　ＲＩＮ？
（どうしてあなたまで？）
　
90年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：エマヌエル・Ｈ・ボルラサ
主演：シャーロン・コネータ
　　　 ガビー・コンセプション
　　　 グロリア・ロメロ
　　　 チェリー・ヒル
　　　 チャンダ・ロメロ
　　　 ローリス・ギリエン
　　　 ララ・メリッサ・デ・レオン
　　　 ナネット・メドヴェド
　　　 リチャード・レイノソ
　　　 ティト・アレヴァロ
　　　 アビゲール・イカサス
　　　 レイ・“ＰＪ”・アベリアーナ
　　　 オレステス・オヘダ
　　　 ローズマリー・ヒル
　シャーロン・コネータとガビー・コンセプションが離婚後にコンビを組んだ作品。十年間にわたるカップルの生活劇になっている。
　シャーロン演じる女学生が妊娠するのが冒頭で、ティト・アレヴァロとグロリア・ロメロ演じるガビーの両親が十七歳のシャーロンとの結婚に反対し、ローリス・ギリエン演じるシャーロンの母がオレステス・オヘダ演じる愛人をつくっていて、アメリカ滞在を計画中。堕胎のうえにシャーロンを同行させようとしたため、シャーロンが家出。ララ・メリッサ・デ・レオンとミゲル・ヴェラ演じるお互いの親友だけを見届け人にガビーと結婚式をあげて二人暮らしを始める。質屋をまわってカネをつくり、デクスター・ドリア演じる大家に契約金を払う。ガビーがスーパー・マーケットの顧客手伝いやウェイターの仕事に励むも、お産の資金が足りずにシャーロンがブティックを経営するローリスへねだる。多少のいざこざは関係なく、だしてあげるのが母親。無事にガビーの機転によって部屋で出産をすますながら、今度は赤ん坊の手術が必要になる。ローリスがアメリカへ出発後だったので、ガビーがグロリアに頼み、赤ん坊のためならとだしてあげるのがやっぱり母親。スーパーで知り合ったチャンダ・ロメロ演じる女性に気に入られ、二枚目をいかした仕事に活路を開いたガビーがアルマ・レルマ演じるおばさんなどを相手におだててセールスへ能力を発揮する。ガビーがチャンダに相談で不動産販売をもちかけ、アメリカへ長期にでかける前に投資してもらう。どんどん業績を伸ばして会社を大きくし、シャーロンのほうは料理学校へかよってララとレストランを始める。ティトと和解のあと、自分たちの家を建てると、フローラ・ガセル演じる家政婦を雇うまでになるのが前半。ララにガビーがこれまでの歩みを「ＳＡ　ＨＩＲＡＰ　ＡＴ　ＧＩＮＨＡＷＡ（つらさと喜び）だった」といっていて、これはシャーロンとガビーが私生活で結婚のきっかけとなった作品の題名と同じ。内容的にも『ＳＡ　ＨＩＲＡＰ　ＡＴ　ＧＩＮＨＡＷＡ』を簡潔に繰り返したような印象が残る。
　後半は新たなトラブルがどんどんもちあがり、二人へかぶさってくる展開。ローズマリー・ヒルとナネット・メドヴェド演じる母子に土地を売ったとき、ナネットがガビーに引かれる。ナネットからの誘惑をガビーがかわしながらも、シャーロンの知るところとなって嫉妬を買う。ティトが亡くなるに前後してガビーの実家からもゆがみが目だってくる。チェリー・ヒル演じるガビーの姉はすでに子どもがいて、レイ・“ＰＪ”・アベリアーナ演じる元夫と仲が悪い。シャーロンの店の仕切りをまかされると、しょっちゅう仕事をおざなりにし、従業員にはヒステリックに応対。たまたまレイとのケンカのうっぷんをベルト・マンスエト演じる厨房の料理長にぶつけ、ベルトが辞めたため「彼は必要な人物だ」とシャーロンが怒る。アビゲール・イカサス演じる娘の養育をめぐってシャーロンとグロリアがもめたうえ、レストラン事件でグロリアとチェリーが猛抗議にきて、シャーロンが「冗談じゃない」と反論。ついにどつき合うのをリチャード・レイノソ演じる弟と一緒にガビーがなだめとめるしか能がなく、この女性パワーを前に男たちがオロオロとの図式がフィリピンっぽい。ガビーがやっかいもののレストランを閉店して売りにだし、レストラン・ビジネスが生きがいだったシャーロンと大ゲンカ。アメリカから帰ったローリスはオレステスが若い女とつき合っている現場を目撃で、自殺未遂を起こす。チェリーが不満をナネットに打ちあけ、ナネットがレストランを買うも、チェリーをスタッフからしめだしたのでののしり合う。シャーロンの二人目の妊娠に伴い、グロリアとローリスも意見が対立。よくもまあ、これでもかと女同士がいさかいを繰り広げることよ。
　いつの間にか帰国していたチャンダとの再会でしめて、シャーロンとガビーが愛を再確認するほろ苦い物語。エマヌエル・Ｈ・ボルラサのストーリーをもとにアルマンド・ラオの脚本が人生の泣き笑いを表わすながら、エマヌエルのたんたんとした語り口が単調で、さすがに二時間十五分は退屈を招く。ヘタにドラマティックにしようとしないあたりが好印象なものの…
　シャーロンとガビーへ大人の夫婦を配したスター企画としては、まあまあかもしれない。
　個人的にはチェリーとナネットの出演に注目だったのだが、大ファンのチェリーは得意の気の強いわがまま女役でうまいとはいえ、セクシーなシチューションを欠くのが残念。ナネットはガビーに迫るときのヘソだし衣装がぞくぞくとそそり、キュッとスリムなウェストがキュート。でも大胆さ不足なのがイマイチかな。おばさんのローリスがエアロビクスのジムでレオタードの若いギャルたちと運動するシーンでは、さすがにショート・パンツをはいている。
　やっぱりチェリーの魅力が控えめに終わった点が不満の第一と指摘したい。