ＢＡＨＩＤ
（汚点）
　
02年：リーガル・エンターテインメント
監督：ジョエル・Ｃ・ラマンガン
主演：アスンタ・デ・ロッシ
　　　 エディー・ガルシア
　　　 ディーナ・ボネヴィー
　　　 ディーテル・オカンポ
　　　 パオロ・リヴェロ
　　　 チンゴイ・アロンソ
　　　 グライサ・デ・カストロ
　　　 マニー・カスタニェーダ
　　　 アントニー・テーラー
　　　 ジョルジナ・サンディコ
　まずまず丁寧につくった変態ドラマ、といった印象である。
　エディー・ガルシアがいつもの人を食ったような独特の演技による味わいのあるキャラクターではなく、冷酷なスケベ野郎を通した点がユニーク。悪を一人に固定したために深みを欠く、意外と単細胞な内容になったことは否めないが、映像づくりに凝ったジョエル・Ｃ・ラマンガンの演出姿勢は評価できる。
　それにアスンタ・デ・ロッシが人気の高いモデルというセクシーな役柄を引き受けているため、ウハウハと興奮できて、とりあえずは満足のいく仕上がりといえよう。
　まずはタイトル・バックでビキニのアスンタが海岸を四輪バイクで滑走のシーンからして、これは期待通りだぞとの予感。夜の高速道路の光景からカメラが引くと、街中に大きなアスンタのオッパイにニプレスをしたセミ・ヌードの看板が視界に飛びこんできて、ウッ、すごい。やたら短気で周囲に当り散らすわがまま娘ぶりは、傲慢な性格の表現が得意なだけに、けっこう好演。
　政界にも多大な影響力を持つ実力者との設定でエディーが貫禄を示し、ラクエル・ヴィリアヴィセンショなどが演じる複数の有能な弁護士を抱えている。エディーにはディーナ・ボネヴィー演じる年齢の離れた後妻がいて、アスンタがディーナの妹との人間関係。しかもディーテル・オカンポ演じるエディーの先妻との息子と恋仲で、アスンタとディーテルが結婚するのだから、ねじれた構図が波紋を呼ぶことは容易に予想がつく。
　精神的に歪んでいるなあ、と余計な想像を誘発させるあたりがよい。
　アスンタはパオロ・リヴェロ演じる用心棒兼つき人ともできている。
　とにかくディーナはエディーの奴隷同然であり、エディーと出会ったときに、自分を襲った男をエディーがその場で私刑に処した思い出にとりつかれ状態。当然、エディーはアスンタにも手をだし、グライサ・デ・カストロ演じる少女時代に、早くも無理やりレイプされたアスンタの衝撃が何度となくでてくる。この姉妹のトラウマ的な要素が行動にも影響を与え、アスンタは家出を繰り返し、ディーナが連れ戻す。でも雑誌記者がエディーの裏の顔を暴こうと姉妹の二人にインタビューを敢行も、つくり笑いでごまかすなど、反抗できない。ディーナはアルコール中毒に陥っているが、このあたりの心理描写は定石の範囲内といえる。
　アメリカへ渡航中のディーテルとアスンタがＴＶモニターで映像を送りながらチャットは、ハイテクの流行を盛りこみたかった意図だろう。ディーテルが帰国で結婚式を挙げたのにアスンタがパオロとセックスにおよび、ディーテルがアスンタとケンカ後にへべれけのディーナを誘惑する不道徳さなど、乱れた生活ぶりを表出はわかるが、ややとう突感を伴うため、イマイチ説得力の不足が残念。アスンタのエディーに襲われた過去の告白にディーテルがショックを受け、ディーナがエディーの殺人をアスンタに語ると、成長してからも再び犯された事実をアスンタが暴露との経過も、もっとインパクトがほしかったところ。だからこそアスンタが自らエディーに身を捧げる罠や、そこへディーナがディーテルを連れてきて親子ゲンカとなり、ピストルを振りまわすエディーを居あわせた雑誌記者が写真に撮影、とのたたみかけるようなツメのテンポに緊張感が弱まった感じなのが惜しい。
　人間をとらえる焦点が多様性を指向したわけじゃなく、絞りきれなかったのではないか。
　雑誌記者が殺害のふりだしへの戻しかたは、相当にありきたりとも思わせる。
　でも適度にウハウハのシーンをプラスによって、中盤にあきさせない構成がさすが。
　帰国のディーテルとアスンタが再会はファッション・ショーの真っ最中で、赤いビキニのアスンタがステージからムンムンとフェロモンを放っている。長身でスレンダーのアスンタは、まさにモデル体型。ジョエルは『ＢＵＬＡＫＬＡＫ　ＮＧ　ＭＡＹＮＩＬＡ』のアンジェルー・デ・レオンのストリップ・シーンでも使ったストロボ・ライトを途中でボッと何度もはさむ演出で妙に気どっているも、十分にドキドキを生む。ショーが終わってビルの廊下の陰でセックスになると、パンティーを脱いだはずのアスンタが直後のショットではいていたりのアレッというつなぎがあるし、顔やボディーのアップがネガに反転という、オイオイこんなところでまたかよ、との気どりが余計なものの、オッパイが丸みえだからウヒャヒャヒャ。
　アスンタとパオロのセックスは赤いライトを生っぽくあて、濃淡を強調の画面づくりがアートなタッチを取り入れたようで好みとはずれるながら、やはりオッパイ全開で、うーん、吸いつきたい。
　ジョエルの性表現はスケベじゃないが、センスがよい。
　一方でディーナはスリップまでの露出にどどまるも、熟女の色気たっぷりなうえ、アスンタよりも美人だし、ますますファンになる。
　エディーがアスンタを誘拐で、映画はいよいよクライマックスへ突入。ラスト前の十分ほどのこのエピソードは、文句なく最大の見せ場。ライフルで猟が趣味のエディーが、アスンタをターゲットに人間狩りを楽しむアブノーマルな展開に、獲物となるアスンタをいったん逃がす前にビリビリビリッと服を裂く。恥ずかしそうに薄いピンクの紐なしブラとパンティーの下着姿にむかれたアスンタは、ホントそそるプロポーションをしていて、よだれダラダラもの。スラッと長いカモシカのような脚をのばして森の中や草っ原を駆ける姿など、男を惑わすニンフだなあ、と鼻息が荒くなる。
　野外で半裸という変態っぽいシチュエーションにも、心臓がドキドキ。
　ついに追いつめたエディーが銃のスコープで狙いをつけると、カメラがアスンタのボディーをブラからパンティーへとアップのティルト・ダウンでとらえ、イキそうなくらいに燃える。
　ビンビン！
　このあとどうなるかはともかく、アスンタの魅力にクラクラ。ほぼ間違いなく大満足の作品である。
　アスンタに舌なめずりを…