ＢＡＢＥ，　Ｉ　ＬＯＶＥ　ＹＯＵ
　
10年：ＡＢＳ−ＣＢＮプロダクションズ／ＶＩＶＡフィルムズ／スター・シネマ・プロダクション
監督：メエ・サリーナ・クルース
主演：サム・ミルビー
　　 　アン・カーティス
　　 　ローリス・ギリエン
　　 　メーガン・ヤング
　　　 リカルド・セペダ
　これぞ大衆向けのスター企画による、もっともくだらないロマンスもの。実際にはありえない夢物語を現実っぽく語る。
　大学で建築学を教えるニコ（サム・ミルビー）とキャンペーン・ガールのササ（アン・カーティス）が恋に落ちる。出会いのきっかけが悪くてお互いを嫌うも、だんだんとひかれあう定番の流れ。
　大学の学部長のキンタナー（レオ・リアルプ）にニコが副学部長におされる修才ながら、かつて偉大な建築家だった亡き父に反抗の過去を引きずり、今も母のイサベル（ローリス・ギリエン）が妹のガイタ（メーガン・ヤング）や弟のジャン（ＡＪ・ペレス）に目をかけ、ニコに距離をおく状況にある。オカマで黒人の弟のベンベン（トウ・レイエス）、妹のケンケン（ニッキ・バコロド）、まだ幼い妹のタムタム（エンジェル・サイ）と母のララ（テッチー・アグバヤニ）が次々とアメリカ兵とつくった異父兄弟とササが暮らす。ハイセンスな屋敷に住む上流のニコより、猥雑なトンドの貧民街で生活のササのほうが人間味にあふれるあたりがいかにも。
　当然、無学で下品なササにニコの周辺から偏見がおき、ニコの同僚のクリシー（ニッキ・ヴァルデス）が「キャンペーン・ガールでしょ」と忠告し、イサベルはササのヘソだしファッションにお里をうかがう。まあ、大学教授がキャンペーン・ガールをめかけに雇えど、ちゃんと結婚なんて映画ゆえのフィクションだからしょうがないか。
　しかもパターンの障害をドラマティックに用意し、ササが前に愛人だった相手のボビー（リカルド・セペダ）がニコの叔母にあたるマルガリータ（シャーマイン・ブエンカミノ）の夫で、娘のクロエ（ニコル・ウイシウセン）ともどもにササを恨んでいる。まさにありがちな作劇の偶然は、本当なら関係の修復が不可能なシチュエーションのはず。ミア・バカロ、マルガレッテ・ラブラドル、キング・バリソクのストーリーにリカルド・フェルナンド・三世、ジェネリサ・Ｆ・レイエスがくわわっての五人がかりの脚本がこれかよとあきれる。ローレス・ギリエンの演技がうまいゆえのイサベルのニコをながめる目つきや、安易なイサベルとニコの和解など、メエ・サリーナ・クルースの演出が人間を類型的に描き、レヴェルの低下に拍車をかける。
　もっとも、ササがニコに水牛を食わせるおかしさとか、トンドの町の雰囲気がまずまずだし、みている自分が単細胞なため、一年後の再会における定石のハッピー・エンドについ、ホロりとしたしだいです、ハイ。
　キャンペーン・ガールなのでアン・カーティスがササの親友のアグネス役のキットカットとモニク役のニーニャ・ドリーノと三人でブラと短パンのセクシーなかっこうを四種類ほど披露が見せ場はずで、ほかのプロモーション・モデル役のジェーン・マリリン、ハンナ・シマフランカ、ヴァネッサ・ラサノ、ジェーン・ダディス、ミシェル・ダンテスとロデオのときはモニクだけがロデオ・マシーンに乗ってお尻の割れ目がでる寸前なうえ、ササがニコを誘って遊園地で水上の透明なボールにはいる遊びでアンもお尻の割れ目がでそうなものの、キャラの必要で厚化粧に喫煙が失望を招く。さらにビキニのシーンが最大の落胆ポイントになり、ビキニ・コンテスト用の写真撮影で全身のショットが短い立ちポーズのみ。コンテスト当日の会場はササを含む候補者全員がボトムにパレオを巻く。女性監督はエロスの感覚がないので、スケベなファンには困る。
　脚の美しさはさすがにアン・カーティスと感嘆にあたいし、最初の酒をキャペーンのバーでニーニャ・ドリーノも美脚だが、アンの長くて細いラインにうっとり。自宅のベッドに寝転んでパンティーがチラつく短パンに伸びる脚や、しゃがんだときに浮かぶ腰のラインと短パンのヒップラインもそそり、ニコが脚でササと気がつくラストに納得がいく。
　妊娠の設定のニッキ・ヴァルデスをはじめ、メーガン・ヤング、ニコル・ウイシウセン、ニッキ・バコロド、ニコの親友のジェット（ゲジ・ロレサナ）と結婚するテレ役のＣＪ・ジャラヴァタ、授業中のメールでニコに注意をうける学生のヴィニェス役のチェスカ・オルテガとキュートな女優が脇に盛りだくさんは嬉しいが、いずれも肌の露出を欠いて残念。
　個人的にはニコル・ウイシウセンが好みで、アンなど比較対象にならないかわいさといえる。