(全員整列… あとに続け）
00年：ＦＰＪプロダクション
監督：ブーツ・プラタ
主演：フェルナンド・ポー・ジュニア
アラ・ミナ
ジミー・サントス
キャンディー・パンギリナン
マリトニ・フェルナンデス
パキト・ディアス
ロミー・ディアス
ベルティン・ラブラ
チア・プシット
メリー・タガサ
ハイメ・ファブレガス
ヘルマン・モレノ
テレサ・ロイサガ
リッキー・マーティンの『ＬＩＶＩＮ’ ＬＡ ＶＩＤＡ ＬＯＣＡ』をジミー・サントスがタガログ語で歌いながら現われ、線路沿いにあるマニラの下町の住宅街で水浴びをする。彼の歌に合わせて顔にパックをしたマリトニ・フェルナンデス、デデス・ウィテカー、ジョアンヌ・サラザールの三人娘がパンティーもあらわにして踊る。これは庶民の世話話だなと予想させる、まずまずの出だし。さっそくフェルナンド・ポー・ジュニアが、大人の色気たっぷりのテレサ・ロイサガの猛抗議から隠れるジミーを救ってやるシーンへ続き、コメディー・タッチな内容であることも匂わせる。
物語はサン・ミゲルの配達をするフェルナンドとジミーが主人公で、これに犯罪ネタがからんでくるのだが、それほどハデなアクションを展開するわけではない。あくまでお遊び映画の枠をでないものの、どんな構成であれ、おもしろければ文句のないところ。
また、お目当てはアラ・ミナだから、個人的にはアラさえ魅力的なら他の存在はどうでもよいのだが…
アラはクンフー・ポーズを決める男まさりなキャラクターの役で、これまでになかったボーイッシュなイメージを爆発させている。ファンとしては、この点のチャレンジ精神にうなずく。初登場の場面でジミーに男と間違われるも、豊満な胸元をみれば、そりゃあないだろう。さらに市場のシーンでは白い帽子をかぶり、泥棒を捕まえようと暴れまくる。トマトに顔をぶつけて汁だらけになるあたり、ありきたりなギャグながら、ファンにはすごく嬉しい。さらにアラはしばらく続くエピソードでじゃじゃ馬ぶりを発揮しまくるも、太めのヒップをキュッとくるんだジーンズ姿のキュートさは、いつもながらに絶賛もの。
アラの周囲には役たたずの男どもがずらずらくっついている設定で、この男どものおかしさがもうひとつでていないのは、ブーツ・プラタ監督による表現のいたらなさ。
当然、フェルナンドとアラは恋仲になり、いくらなんでも人気スターの共演とはいえ、アラの相手としてフェルナンドは年をとりすぎていないか、と思わせる点がつらい。デートのシーンでは、歌手デビューしているアラの歌声がミュージック・ヴィデオ風の映像でたっぷり『ＡＹ，ＡＹ，ＡＹ ＰＡＧ−ＩＢＩＧ』一曲流れてサーヴィスのテンコ盛りなのに、フェルナンドの老いが目立つばかり、との皮肉がうかがえる。後半、女っぽさを強調するようになってからのアラがあまりに美しいので、余計に落差が気になってしょうがない。
それでもアクション・スターのフェルナンドは、前半に豚小屋や倉庫におけるケンカのシチュエーションで腕っ節を披露し、アラが誘拐されたあとの救出シーンではドンパチを繰り広げ、一応の見せ場を確保している。
とはいっても、この程度の内容で上映時間が二時間を越えるのは、さすがにちょっとつらい。
もちろん興味深い要素はあって、スター・シティーという遊園地がでてきたり、フィエスタの描写には風俗的な関心が盛りあがる。おそらくタイアップなのだろうが、サン・ミゲルの近代的な設備を持つ工場内部が映される冒頭は、ストーリーにあまり関係ないものの、こんなふうなのねと納得。クライマックスでガス欠となったトラックをジミーがサン・ミゲルを入れて動かすアイディアは、こういうタイアップならワザとらしくなくていいかもね、とも認める。まあ、酒を燃料にするのは『ガンヘッド』のパクりじゃないだろうけど… 最後の襲撃戦の前にアエタ族がでてきて、焚き火を囲んで彼らの音楽や踊りを紹介するところはほんわかした雰囲気だし、弓矢と吹き矢で彼らがフェルナンドとアラを応援する描写もユーモラス。
なのだが著しく迫力に欠け、ブーツ監督、もっと頑張ってくれよという印象なので、相当に不満なできではある。
アラ以外の女優では、ジミーがホレる相手のアラと一緒にカインデリャを経営する役のキャンディー・パンギリナンが、パンツ・ルックにやや色気をみせてスタイル良好ながら、あくまでコメディエンヌなので美人とはいえない。もう少しユーモア・センスが欲しい気もするが… マリトニはアラとの女同士のケンカでパンティーをちらつかせての取っ組み合いを演じ、まずまずの容貌なので、正直なところヌードがみたかった。
それにしても最大の不満はアラのヌードがないことにつき、誘拐先で犯されそうになってスカートをビリビリっと破られるが、結局そこどまり。全体を通しても、パンチラ以上の露出を抑えている。
うーん、楽しみにしていたのに…
脱がなくても観客を魅了できるようになったのだから、アラ・ファンとしてはむしろ喜ぶべきなのだろうが…
