ＡＴＥ
（姉）
　
08年：Ａ’マイン・エンターテインメント
監督：ロール・レイエス
主演：アラ・ミナ
　　　 クリスティン・レイエス
　　　 パオロ・パライソ
　　　 イアン・ヴェネラション
　　　 エディー・ガルシア
　アラ・ミナが自ら制作指揮を担当した作品。しかも実妹のクリスティン・レイエスと共演に、セクシー対決への期待がかかる。ペケ・ガリアーガのストーリーによるペケ・ガリアーガ、ジーナ・マリッサ・タガサ、ロール・レイエスの脚本において、久しぶりのロール・レイエスの監督作にもなる。
　冒頭にアラとクリスティンの双方にセックスのショットがインサートされ、まずぞくぞくさせる。
　叔母のマリー（エヴァ・ダレン）、親友のジョイ（ロシェル・バラメダ）と薬局を経営するヘレン（アラ）は、夫のデーヴ（パオロ・パライソ）との間に子どもができないのを悩んでいる。今度こそと赤ん坊のための服を編むも、生理がやってくる。妹のクレオ（クリスティン）は看護の学生で、カネ持ちだけれども不良のミゴ（ジョセフ・マルセロ）とつき合う。それでクレオの同級で学び、友人のカタ（ジャン・マリニ）に状況を知らせてもらい、デーヴを迎えにいかせるなどで守っている。ふたたび妊娠のためにとセックスを求めると、倦怠期に入ったデーヴは勃起しない。以前の恋人のレックス（イアン・ヴェネラション）が就労先の韓国から戻ってバーを開き、「まだ好きだ。夫がいてもかまわない」というも、気持ちの離れが明らか。そんなときにクレオがデーヴを誘惑し、肉体関係に陥る。夫のアタッシュ・ケースの中にコンドームをみつけて浮気に勘づき、悲しみにくれるかたわら、ヘレンがコンドームに針で穴をあけておく。しばらくしてクレオが妊娠し、夫の浮気の相手が妹だとわかる。
　これにほとんど視力を失っているも、クレオとデーヴの情事に気がつき、とくに怒るわけでなく、要所でさとす祖父（エディー・ガルシア）の存在がからむ。
　薬局に入った強盗が家族に絶望したものなのや、薬を買いにくる客に16歳ではらんだ少女がいたり、デーヴがリチャード（ジムウェル・スティーヴンス）から「一回だけだ。カネもちになるぞ」ともちかけられる違法ビジネスが人身売買ごときなうえ、クレオが卒業後に海外へ働きにいく話が産婦人科らしいことのほか、ジョイへバイアグラの話題をだすエロ老人の客など、周囲のさまざまな要素が不妊で悩むヘレンへふりかかる構成をつくる。ロール・レイエスの演出は高速度撮影の風景ショットを何度か挿入に、ディジタル撮影においても映像センスをうかがわせ、ヘレンがデーヴとクレオの不倫を確証するきっかけとなるパンダの検査棒や、かごからヘレンが逃がす小鳥などの小道具をたくみに活用する。ヘレンとデーヴが結婚五周年を祝う食事がイタリア・レストランのスパゲッティーで、デーヴが「身代わりにされるぞ」と友人に忠告をうけるのがゴルフ中になり、アメリカ人のビジネス相手とデーヴが会うときに寿司がおかれていて、家では祖父が紅茶でスマンを食べているなどは、ちょっと階級社会の趣味をのぞかせる。ミゴのパーティーがタバコの煙を充満させ、いかにもバカものたちの集まりとの雰囲気づくりもうまい。
　クレアやカタがレスリングの練習を見学で選手のチンポの動きを雑談は、そういう傾向が女性にあるのかと興味深く、ちょうど男が競泳やフィギュア・スケートにひわいな視線を向けるようなもの（そんなので興奮するあんたは変態だって？　すみません）。クレアの子をヘレンが引きとり、自分の子のごとく育てるラストにおいて、ＭＲＴの中でとなりのおばさん（タニャ・ロペス）に「父親はいない」と話すあたりは、あまりにもシングル・マザーが一般的なフィリピンの生活事情がみえる。
　マリーへ思わず泣き崩れるかと思えば、妊娠中のクレオに栄養剤を与えて「あなたのためでも、私のためでもない。デーヴのためなの」と冷たくいったり、「自己中心的だ」と非難のクレアと涙を流しながら向かい合うなど、ヘレンの内面の起伏を多角的に表現して、この演じがいのためにアラはプロデューサーをつとめたのかもしれない。カタとの会話でクリスティンも「新しい男ができたの」と意味深な表情をみせるといった、演技的な成長は姉に負けじとの頑張りだろうし、エディー・ガルシアやエヴァ・ダレンのヴェテランのうまさの影響だろう。
　セクシー対決はどうかだとアラは、胸の谷間のシャツに、お尻へキュッと食いこみ、お股に生理の血がにじむ白パン。薬をのむベッドで下着のブラ。デーヴとセックス中に電話のジャマが入るベッドで下着のスケた薄い生地のガウン。パンツ一丁のデーヴがムチを手にソフトＳＭのセックスを試みるも、デーヴがなえるベッドで豊満な乳房をこぼしそうに動き、乳首がでる寸前のバス・タオルを巻いたボディー。あきれて黒パンをはき、シャツのボタンをとめてないのでみせたままの黒いブラ。レックスのバーへくるときの黒パン。今晩こそと香水をつけたのに、デーヴが眠っているセックスの準備の鏡台でスリップ。レックスとホテルへいくも、やっぱりダメととめさせるワンピースをまくられ、パンティーが露出寸前の太腿。妊娠でデーヴとこじれてミゴのもとへ当てつけで走ったクレオを連れ帰り、感情をぶつけ合う際のお尻にピタピタの白パン。と太めのプロポーションで迫る。クリスティンのほうはミゴとセックスのベッドでクッションを抱きながら座ると、服を着て胸元のあいたシャツにミニスカ。家でのワンピースのミニスカ。デーヴと初セックスのベッドでシーツにくるまったボディー。出張のデーヴと外で逢いびきで制服の白衣を脱ぎ、ベッドでの黒いビキニ下着。デーヴとの大胆になったセックスで立位のまま抱きつき、四つんばいの女性上位で愛撫のベッドで黒いパンティー。妊娠を知って雨の中を歩き、バストの谷間が濡れるシャツ。妊娠の検査の病院で緑のブラ。とこちらも互角の誘惑ぶり。スタイルのよさは若いころのアラが彷彿となるクリスティンに軍配があがるし、年齢さゆえの魅力にクラクラは否定できないも、容貌の好みと風格の色気でアラの勝ち。なんてのは独断と偏見かな。
　あとジャン・マリニは普通のかっこうのみだが、ロシェル・バラメダにはバストの谷間を強調のシャツがあり、クレオとカタがレスリングをみるシーンでセリフのない友人のひとりの役にかわいいジェード・ロペスが顔をだしている。