ＡＲＭＡＤＯＮＧ　ＨＵＤＡＳ
（武装したユダ）
　
98年：オクトアーツ・フィルムズ／ＧＭＡフィルムズ
監督：アウグスト・サルヴァドル
主演：イアン・ヴェネラション
　　　 ジェッサ・サラゴサ
　　　 ロナルド・ヴァルデス
　　　 トントン・グチェレス
　　　 リト・レガスピ
　　　 ラモナ・リヴィーリア
　　　 ロベルト・リヴェラ
　　　 エドガー・マンデ
　奇想天外な面白さとまではいかないものの、ちょっと楽しめるアクション映画。
　ロナルド・ヴァルデスとカルメラ・バナアグが夫婦を演じる幸福の絶頂の家庭が、リト・レガスピとロベルト・リヴェラ演じるビジネス・パートナーによって破壊される。十五年たち、あやうく殺害を逃れたラモン・レクトとイアン・ヴェネラション演じる成長後の息子が復讐を開始なわけである。下半身不随の兄ラモンとホセ・ロムロ演じる叔父の協力を得て、まずイアンがロベルトを射殺。そのあとリトも襲撃だが、全身火傷を負いながらも、リトは一命をとりとめる。しかもエドガー・マンデ演じる友人の整形外科医に頼んで顔を変えてみれば、ロナルドになっていた…
　と完全にそっくりさんがつくれるわけないから、当然フィクション。ジョン・ウーの『フェイス／オフ』からヒントを得たかな、という気がする。
　まあ、ちゃんとイアンが両親の仇へ銃を向けたとき、亡き父の顔だから、まさかとたじろぐシチュエーションが用意されていて、まずはいいんじゃないか。
　情報を得るためにジェッサ・サラゴサ演じるリトの娘へ接近も、本気で愛するようになるのはパターンの人間関係だし、ジェッサが会ってすぐにイアンへ好意を抱いているのは、安易な展開。とっさにイアンがジェッサをさらって逃げるシーンがくるや、父を狙う犯人がイアンだと知り、ジェッサが対立と悩みを繰り広げることでドラマをふくらませるんだなと予想するも、あっさりリト（今はロナルド）が本当の娘じゃないといいだして葛藤を避けるから、相当にご都合主義。トントン・グチェレス演じるリトの片腕が率いる大勢の手下をイアンが一人でやっつけていく銃撃戦の描写も、敵の弾が当たらなさすぎて、まさかまさか。イアンにはラモナ・リヴィーリア演じる恋人がいたから、ジェッサとの三角関係もうまく決着をむかえていない。
　など、欠点をあげれば数知れず。それでも廃墟での宙吊りになったイアンとトントンの格闘をはじめ、いろいろとアイディアを盛りこもうとしたアウグスト・サルヴァドルの演出姿勢に好感触。
　とりあえずは退屈抜きにみせてくれて、水準に達したようだ。
　ただし、ジェッサにセクシーな要素を欠いたのは、さすがにサーヴィス不足と不満。イアンとのデートのエピソードで水着くらいは披露してほしかったところ。そのぶん、ラモナが台所で抱き合ってセックスになるシーンでシャツを脱がされ、オッパイをモロみえにするのが嬉しい。
　エドガーの助手を演じたマリキット・タグレがほんの少しかわいいのも、気になる存在。
　なお、どうでもいいことだが、リトの手術の際に時間の経過を示すショットで、ＮＩＫＯＮの時計を何度も挿入には、ニヤニヤしてしまった。ＮＩＫＯＮの時計の写真は、このホームページにある別のコーナーをご覧ください。