ＡＮＩＭＡＬ
　
(00?)/04年：ワールド・アーツ・シネマ
監督：トト・ナティヴィダッド
主演：ヴィア・ヴェロソ
　　 　ジョン・レガラ
　　　 ガルド・ヴェルソサ
　　　 パトリック・デラ・ロサ
　　　 エドガー・マンデ
　　　 ロンメル・モンタノ
　　　 ブランド・レガスピ
　　　 エミール・サンドヴァル
　　　 ピアール・ミラソル
　　　 マイク・カスティーリオ
　　　 ブランドン・ラミレス
　ピアール・ミラソルに新人とのクレジットが入る作品。ヴィア・ヴェロソと姉妹を演じていて、おそらく『ＳＡＲＡＮＧＧＡＮＩ』の一本前にあたり、１９９９年か２０００年の制作だろう。当時、劇場公開されず、２００４年にＶＣＤ発売で日の目をみたから、なんらかの理由でおくらだったと思われる。
　内容は残忍なレイプの非人間性を問うドラマ。ジョン・レガラ演じる街の有力者の息子をリーダーにする不良グループがマリキット演じる娘へ集団暴行におよぶが、カリダッド・サンチェス演じるジョンの母の影響力で逮捕をまぬがれ、マリキットが自殺する。今度はヴィアとピアールの姉妹に狙いを定め、まともにくどいてもヴィアが相手にしなかったため、誘拐監禁のうえに輪姦。さらに外へ連れだしてボコボコに殴ってもてあそび、二人が逃げたのでピアールを冷酷に射殺。ヴィアを意識不明の重体にして道に放り投げる。ポチョロ・モンテスとマリタ・ソベル演じるヴィアとピアールの両親が捜索願いをだしていたのだが、ピアールの死体があがり、あまりの無残さにブランド・レガスピ演じる警官が憤りを感じる。そして目撃者の証言を集めて全員を逮捕。ただひとり、ガルド・ヴェルソサ演じるメンバーだけ良心の呵責に耐えかねて自殺の衝動にかられたものの、ブランドの説得で裁判の証言台に立つ。しかも病院へ担ぎこまれていたヴィアが奇跡的に意識を取り戻し、法廷に証人として出廷したため、もはや動かぬ証拠にジョンたちへ死刑判決がくだるとのストーリー。
　とにかくジョンが主役となると、発狂寸前の大げさな演技ばかりの役者だし、ものすごい駄作かもよとの予感が走る。冒頭のマリキットを追いかけるところからして、早くも異常者ぶりにあきれが起きる。パトリック・デラ・ソサ、ロンメル・モンタノ、エミール・サンドヴァル演じる仲間も精神病的で過剰アクトが気になる。教会でミサのシーンへと続き、賛美歌をわざとらしく歌うジョンがバカバカしさを倍増させる。ホント、これほどヘタな役者もめずらしい印象だが、いったいトト・ナティヴィダッドはどういう指導意図なのだろうか。しょうもないケンカでガルドへピストルをつきつけ、内部分裂しそうなあたりの単細胞ぶりなど、ただのアホにしか思えない。
　またヴィアとピアールを全員でずっと殴りまくっている強姦は残酷な凶悪犯の告発というより、それじゃとっくに女の子なら死んじゃうよと指摘したくなる。ロンメルがピアールに無理やりフェラさせるのも、チンポを噛まないのはなぜとの疑問が生じる。驚くほど表現がチンプなのに落胆が盛りあがるばかり。極めつけはヴィアが法廷にやってきてジョンたちが呆然としたのに、パトリックが指で銃を撃つマネを向け、ジョンが舌をペロペロっと挑発だから、およそ人間の心理というものをわかっていない。
　マジでトトってこんなにも無能だったっけ、と信じがたいほど。
　ジョシー・タグレ演じるパトリックの母や、カリダッドの息子への偏愛も、普通レイプには怒るだろうみたいな説得力の乏しさが致命的。
　街に抗議のデモが広がり、死刑判決にヴィアの両親だけでなく、エルニー・サラテとルーシー・キント演じるマリキットの両親も喜んで、極刑が被害者の癒しに通じることを教えてくれるが、こうも犯人たちが人間のクズならば、死刑に賛同がわきあがるは当然じゃないか。
　いやはや、駄作の見本とも評したい。
　もっともおくらに終わらなくてよかったなとの感謝にたえないのは、ヴィアとピアールのヌードに尽きる。一回目のレイプで、まずピアールのオッパイが丸だし。シクシク全裸で泣く二人の姿は影でオッパイの部分が隠れているものの、二回目のレイプでまたもピアールのオッパイが堂々のモロになる。ヴィアは素っ裸にむかれ、もう陰毛のあたり以外、ほとんど全身がみえちゃってる。臨場感をつくるためにカメラがクルクルまわるのは余計だが、ヴィアのボリュームあふれるボディーに圧倒される。ほかにマリキットもパンティーをはぎとられた横からの裸身と、オッパイのポロリを披露してくれる。ジョンが夜中にヴィアへ電話をかけ、ミニスカにパンティーをチラつかせてヴィアがうけるとき、ジョンの横にいるガール・フレンド役のアズカルがオッパイをだしたままのかっこう。
　トトのマヌケな演出とジョンの失笑もの怪演によるカス映画とはいえ、ヴィアの全裸とピアールのオッパイに存在価値があったようだ。