ＡＮＧＨＥＬ　ＤＥＬＡ　ＧＵＡＲＤＩＡ
（守護天使）
　
00年：リーガル・エンターテインメント
監督：ウィリアム・Ｇ・マヨ
主演：ジェリク・ラヴァル
　　　 イザベラ・グラナダ
　　　 デレク・ディー
　　　 ブランド・レガスピ
　　　 ジムウェル・スティーヴンス
　　　 モン・コンフィアド
　　 　ボン・ナヴァロ
　　　 パメラ・オルティス
　ルシファーに捧げられるべくして生まれた女の子を守護天使がガードする内容で、タイトル・バックの賛美歌からして宗教っぽい。でも実際はＢ級アクションであり、ただ単純にドンパチを繰り広げるのではなく、ちょっとひねったシチュエーションをと考えたのだろう。
　ジムウェル・スティーヴンス、ブランド・レガスピ、モン・コンフィアド演じるザドキエル、ウリエル、サリエルと名のる悪の化身が黒ずくめの衣装にサングラスをかけ、どことなく『ターミネーター』のアーノルド・シュワルツェネッガーを連想させる。人間の力を越えた敵から、やはり人間の力を上まわる者が一人の人間を守るという意味で、おそらく『ターミネーター２』にヒントを得たんじゃないかとも推測できる。
　とはいってもＳＦＸなど著しく劣るし、比べるのはかわいそう。いかに独自の面白さをだしているかだが…
　ジェリク・ラヴァル演じるガブリエルという天使がジム・ゲモラとベン・ユシ演じる両親が事故死して、カレン・マッゲアチー演じる少女を救いだし、修道院へ預ける。そこで成長してイザベル・グラナダが演じるようになると、三人の悪魔が襲撃してくる。ジェリクが脱出させて、あとは定番の逃亡劇で、クライマックスをどのようにつくるかに興味を抱く。ジェリクがイザベルに恋するのはいうまでもない。天使が人間に特殊な感情を持つとパワーを奪われるわけで、空から雷を鳴らせて神が怒るのだが、どうしょうもなくジェリクがイザベルに引かれていく心理は納得。でも人間と同じ存在になったジェリクが、ジムウェルとの決闘でハンディーをいかに克服するかは、さしてサスペンスを伴わず、かなり空振りの印象。結局はパワーの回復を得て捨て身でやっつけたあと、陰で復活していたなんて、まったくご都合主義なツメだ。
　途中経過ではジェリクがブランドを始末し、警察の安置場からブランドの死体をジムウェルとモンが奪い返すと火葬にするあたりで、そこそこのムードを醸す。ただしジョムウェルとモンが仲たがいするのは、悪魔の使いが割れるかあ、みたいな疑問がもたげて感心しない。デレク・ディー演じる刑事が謎の殺人から悪魔崇拝を調べ、ジェリクが身体の通過能力をみせて自分は天使だとデレクに教えたのに、ほぼ事件が終わったあとに警察が駆けつけるまでデレクが活躍しなくなる構成はどんなものか。ジェリクたちは山奥でノノン・タルヴォ演じる老人の家へやっかいになるも、パメラ・オルティス演じるノノンの孫がジェリクにあこがれ、ジェムウェルがパメラの嫉妬につけ入って魂を奪う。なるほど三角関係が軸になるわけだが、清算のパターンとして安易にパメラを死亡させるなど、ノノンの悲しみからジェリクが不幸を持ちこんだんじゃないかとの皮肉まで起きてくる。ジェリクにはボン・ナヴァロ演じるラファエルという相棒がいて、半分コメディー・リリーフなのに、キャラクターを活用しきったようにも思えない。
　デレクが証拠品として応酬した箱から悪魔のペンダントを発見するとき、ボーイ・ピネダ演じる刑事が同じようなペンダントをさげているから伏線と予想するも、いっさい関係なしという肩透かしもイマイチ。
　なんか、普通のアクション映画にしたほうがよかったんじゃないか、と根底を否定したくなるのがつらい作品だ。
　もちろんセクシーな要素は盛りこまれていて、イサベルは礼拝のあとに部屋でスリップになったり、ジェリクに「のぞいちゃダメよ」といって視線を気にしながら滝のある沼で水浴びするも、お申し訳程度の露出。パメラはヌード要員だろうと期待したが、川原で服のまま濡れるのみ。ジムウェルが養分である血の獲物を求めてディスコ・パブへ行くシーンで、ステージにいるカラ・クリステル、ジョアンナ・アルシラ、ニナ・ヴェラのダンサーたちが水着で挑発し、とくにカラはＴバックのお尻をアップにするのが唯一、満足のいくショットだった。
　女優のパンチ力も不足で、残念ながら楽しめないでき。
　あと斬殺されるティーン・エージャー四名のうち、女性のダイアン・ロレンソとカルラ・ヴェヌスがオッパイをポロリとむかれるかとドキドキするも、着衣のまま吊りさげられるだけ。口紅を持ってくるイザベラの孤児仲間のリザ・ヴィオレタ、ジムウェルたちが乗り移る尼僧のアリス・クルース、ドンナ・ヴァリエンテ、マリフェ・ガトドゥラにもチラチラがほしかった。