ＡＮＧ　ＥＲＰＡＴ　ＫＯＮＧ　ＡＳＴＩＧ
（厳しい父）
　
98年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：フェリックス・Ｅ・ダライ
主演：ジンゴイ・エストラダ
　　　 カルミナ・ヴィリアロエル
　　　 ルーファ・メエ・キント
　　　 ベア・ブエノ
　　　 エフレン・レイエス
　　　 カリダッド・サンチェス
　　　 ディック・イズラエル
　　　 ベルティン・ラブラ
　　　 メリッセ・“ムマイ”・サンチャゴ
　　　 ティントイ
　最初にジンゴイ・エストラダの友人たちへの謝辞が入り、ヴィルマ・サントス、エドゥ・マンザノ、エドガー・モルティス、ルディー・フェルナンデス、フィリップ・サルヴァドル、ラモン・“ボン”・レヴィーリア・ジュニアといった大物俳優が名を連ねる。主人公のジンゴイがデクスター・ドリア演じる母の家からベア・ブエノ演じるまだ幼い自分の娘を誘拐するシーンが冒頭。つかまって裁判になり、ヴィルマが裁判長で、エドゥとエドガーが双方の弁護士だから、豪華なゲスト出演だなあとびっくり。誘拐も裁判もコメディー・タッチだし、ジンゴイと一緒に暮らすことを許されたベアに対し、ジンゴイが「私の夢、希望」とつぶやく台詞があって、人情喜劇と推測するも…
　無理して私立学校へ入学させ、その費用を稼ぐためにあたふたなのに、運送の職場をクビになるドタバタぶりはやはりお笑い優先。やたらケンカは強く、新たにもらった仕事が、カリダッド・サンチェス演じる金持ちのおばさんの警護。本当は暗殺指令のはずが、ガードと勘違いしたから、ディック・イズラエル演じるもう一人の殺し屋が攻撃してくるわけである。ディックがことごとく失敗を繰り返す展開は、スラプスティックともいえ、ますますおふざけがヒート・アップ。カリダッドのメイド二人がリタとマグダレナという名前なのも、人気女優からとったギャグで、ニヤニヤを誘う。この間にベアとのほのぼのとした親子交流が語られ、カルミナ・ヴィリアロエル演じるベアの担任教師とのロマンスが生まれ、となりに住むルーファ・メエ・キント演じるバーのダンサーがジンゴイにほれるから、典型的な下町ものだったのだが…
　エフレン・レイエス演じるカリダッドの息子がカネをむしんするあたりから雰囲気が変わってくる。エフレンが警官だったのでジンゴイが一連の犯罪の件を相談するも、すぐに映画はエフレンが黒幕とバラす。ルーファを誘拐してボコボコにする描写のリアルさなど、もはやコメディーではない。
　暴力のすぐあとに、カリダッドが経営するレストハウスのジェラルド・エヘルシオやボーイ・ゴメス演じる歌う従業員たちが登場し、また楽しさを前面にだして、いったい何がやりたいの、との困惑がもたげるばかり。
　カルミナとベアも誘拐され、メリッセ・“ムマイ”・サンチャゴ演じるカルミナの妹がいないのはなぜ？
　などの首をひねりたい中途半端さを伴いながらクライマックスへ。ディックが味方に転じるのはよいにしても、エフレンの襲撃がドジっぽいのに、人質の声を聞かせるあたりなどマジで、ホントよく狙いのわからない演出の作品だ。フェリックス・Ｅ・ダライ監督は、ちゃんと計算したのだろうか？
　あとでベアの名づけ親だったとわかるラモン、ルディー、フィリップのゲスト出演三人が装甲車で助太刀にきて、結局アクションものだったのねと判明するも、もう少し構成を練ってほしかったところ。失敗作というより、フェリックスの力量不足を痛感する。
　まあ、ディックとルーファができてるようにほのめかし、ジンゴイとカルミナとの三角関係を清算させるオチは、納得できる点かなとも思う。
　女優陣の魅力だとカルミナはかわいいが、とくにファンではなく、それなりの印象。本来はルーファが目的だったのだが、二度あるステージはビキニのボトムにパレオを巻いていたり、ホット・パンツ型の水着で衣装がイマイチ。風邪を引いてジンゴイにマッサージを頼むときも、シーツの中で下着を脱ぐのに、オッパイがみえないまま。ホテルでパス・タオルをボディーに巻いてジンゴイに迫っていると、いきなり敵が襲ってくるシーンで、タオルが落ちて黒いパンティー一枚。全裸じゃないんだと落胆するうえ、手でオッパイを隠したり、バックからのアングルで乳首の露出なしなのだが、とりあえずはウハウハと興奮できた。
　さすが、ルーファ。
　あとカリダッドの看護婦を演じるヴェロニカ・ヴェロンが、白衣をはだけてバストの谷間を強調するのが色っぽい。海で水浴びするのをジェラルドたちがのぞき見するシーンや、ジーンズの短パンで体操するポーズでのプロポーションもそそり、さして美人でないものの、一応、拍手を贈りたい。エフレンの妻役のアリシア・レーンは太ったオバサンで、かつてのセクシーさの面影ゼロだった。