ＡＮＧ　ＢＯＹＦＲＩＥＮＤ　ＫＯＮＧ　ＧＡＭＯＬ
（私のボーイフレンドはふしだらもの）
　
93年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：ベン・フェリオ
主演：アリス・ディクソン
　　　 アンドルー・Ｅ
　　　 トントン・グチェレス
　　　 ジャンノ・ギブス
　　　 ルビー・ロドリゲス
　　　 バルバラ・ペレス
　　　 チュッキー・ドライファス
　　　 パトリック・グスマン
　　　 マージョリー・バレート
　　　 ドンナ・クルース
　　　 テレサ・ロイサガ
　アホ・バカ・ナンセンス。フィリピン映画のおマヌケ・パワーを痛感する。
　ベン・フェリオとアンドルー・Ｅのコンビ作。
　貧民街に暮らすトム・クルーズ（アンドルー・Ｅ）が格安のドミトリーを営んでいる。アメリカ合衆国帰りのカネもちであるお嬢さまのマーリン（アリス・ディクソン）が、同じくカネもちのマイケル（トントン・グチェレス）と大規模な開発計画を立案。それで自らが立ち退きを促すため、対象の地区へ貧乏人にバケてあらわれる。なりゆきでトムのドミトリーに滞在で、知らぬ間にトムと恋に落ちる。だんだんと考えがかわって計画が中止かと思いきや、マイケルが強引な作戦にでてとの物語になり、強制撤去は行政を使って荒っぽくが常識なわけで、お嬢さまが貧民たちとなじむなんて現実性がゼロ。このリアリティーの欠如がコメディーの前提をなす。
　アイペ（ジャンノ・ギブス）、ボン（チュッキー・ドライファス）、ロニー（パトリック・グスマン）と四人組のトムは、まずゴミ集めの手押し車によるギャグをスピーディーな応酬でみせ、闘鶏をかわいがるバリーノ（ババルー）の頭に何度も手押し車をぶつける暴力性がすごい。あとでバリーノのニワトリはマーリンが調理で、みんなが食べるアクの強さ。マーリンが様子うかがいに登場に、貧民街の連中が戦争ごっこや海賊ごっこに夢中だったり、猛烈な夫婦ゲンカに遭遇のドタバタが理屈なく迫ってくる。ドミトリーでトムが首吊りみたいなかっこうで眠るのは滑稽さの度がすぎるながら、ボンのボロのズボンにお尻が露出をマーリンがみるシモネタもどきも含まれる。泣き女たちがワンワンと大声をあげ、麻雀にきょうじる連中がいる葬式場がバーになり、幽霊みたいなバーテンがきてメニューにロウソクの火がつき、自殺者が屋根からドズンと落下のパニックにいたっては、くだらさなさをとおりこす。誤ってマーリンが軒先につまれたブロックを壊し、まずいと鉄筋を入れてこっそり修理で、実は空手を習うアイペたちが頭や手でゴツンの特訓用だったので大ケガの低脳さもあきれるばかり。
　トムのグループと一緒にゴミ拾いにでたマーリンが骨董の大きな花瓶をわり、持ち主の男（ルエル・ヴェルナル）が弁償にウソの金額を要求に、カネもちを隠すマーリンには無理だろうとトムがストリートのファイトで対決のシーンは、トムの好意をマーリンがうけるロマンスのきっかけなのでマジっぽい。チャップリンの『街の灯』みたいにいかないも、必死のトムが勝つあたり、さほど笑えないご都合主義。ドミトリーの向かいに建つ屋敷に住む有力者のドン・カルロ（デンショ・パディーリア）にマイケルがショッピング・センターのプランをもちかけ、合意のドン・カルロに対し、マイケルとの競りでマーリンが土地を買って現状維持を決める。マイケルがマーリンを誘拐で、いよいよクライマックスをむかえる。マーリンの部下のエマ（ルビー・ロドリゲス）がトムたちに連絡で他人の車を借用にはじまり、ら致の現場の工場を爆破や、マーリンを連れ去る車に丸太が激突のスタントが驚くほど本格的。ワイヤーなしの生身のアクションはボンネットにトムを乗せたまま疾走の車がどんどん対向車や障害物を破壊し、最後はどぶ川のパシグにトムがドボン。もう一般的なアクション映画に匹敵の内容は、ほぼ命がけといえる。
　美人のアリス・ディクソンまで真っ黒のススまみれが、やる気満々のいきおい。
　よーやるよ、と感嘆。
　全編にコマ落としによるチョコマカな動きを適用で無声映画タッチがにじみ、前進で停まらない車をさえぎる対象になる壁の左右の動きや上下の動き、静止の状態がサイレントのスラプスティックを彷彿で、ベン・フェリオが勉強してるなとうかがわせる。
　ピーター・ボグダノヴィッチの『おかしなおかしな大追跡』に負けないレヴェル。
　空港に到着のマーリンを母（バルバラ・ペレス）とマイケルが出迎えのとき、パトカーでリムジンを護送がフィリピンのカネもちなら、マーリンに提供の高級コンドミニアムの名前がペントハウスで、アメリカ合衆国のアイテムをもじるのがフィリピン流。トムの部屋にはトム・クルーズのポスターが貼られ、ドン・カルロに料理をこぼしたりのドジな使用人（ジョシ・イスラ）の役名は、クレジットにクリントンと書かれる。トムとマーリンが風邪をひく原因の、雨に濡れての踊りは『雨に唄えば』。トムが対戦のストリート・ファイターがゴライアットとの名前は旧約聖書のゴリアテのことで、キリスト教国らしい遊びかな。トムがデートでマーリンに「ＳＭへ案内する」といってシュー・マートと思いきや、スモーキー・マウンテンの略のフィリピンを皮肉るギャグにおいて、ＳＭのロゴをスモーキー・マウンテンに適用のデザインがおかしい。
　もちろんセクシーなシチュエーションも用意される。ドン・カルロの娘たちにドンナ・クルースやマージョリー・バレートなどが扮し、ドンナが両腕を伸ばして左右にいる娘を偶然に叩く朝の起床で、左右の娘が下着のままベッドをでてくる。窓からトムたちへ挑発的なあいさつでドンナはスリップを着るし、マージョリーはローブをはおるが、残りの三人のうちのひとりはパジャマながら、ふたりはパンティーのお尻をフリフリ。ドン・カルロが外出のすきにビーチへ旅行とハシャグ際に娘が四名なのは人数が合わないも、ビーチには水着軍団が集まり、ロニーと恋仲のマージョリーがワンピースの花柄水着を、おそらくジョイ・オルテガとアウドラ・ビオが演じるふたりが前面の切れこみが大胆なブラウンのワンピース水着と花柄セパレーツの水着を披露し、お尻にキュッとくいこませる。アイペたちが一緒にボートに乗る四名はドンナとマージョリーに、ジョイとアウドラと思うが、たまたま愛人と同じビーチに来訪のドン・カルロが慌てて砂にもぐって隠れ、顔をだせば娘たちが座るテーブルの下の状況から判断に、アイペと輪投げ型のフリスビーを楽しむ黄色と柄のセパレーツ水着が残りの娘で、たぶん演じるのがパトリシア・ヘルナンデス。ほかに赤と黄色のセパレーツ水着、黒いビキニ水着、黒いワンピース水着にくわえ、クリントンがカップルのふりのセパレーツ水着の女性などが登場し、ドン・カルロの愛人役にテレサ・ロイサガの出演が嬉しく、黒いビキニの誘惑をくれる。ドンナだけが水着でなくて体操服ふうなれど、けっこうボディーにフィットの形状。全員でノリノリのダンスで身体のラインをくっきりに各人が水着姿をくねらせ、ジョイとアウドラと推測のふたりがお尻をアップでアイペのしゃがむ顔に両サイドから腰をぶつける。アリス・ディクソンにも水着がちゃんとあって、青いワンピースにライフ・ジャケットをはおり、水上スキーを実践。濡れたボトムの部分がお尻にペッタリに、うーーん、さわりたい。さすがにダンスは水着のうえに短パンをはく。さらにトムの幻想でマーリンが人魚に変身は、アリスが『ＤＹＥＳＥＢＥＬ』を演じたパロディーだろう。個人的に人魚のキャラクターはタイプでないも、トムたちが目かくしでジョウロの水をかけるシャワーがキュートだし、紫のパジャマが色っぽく、アリスにキュンとときめく。
　肥満のルビー・ロドリゲスがタイツで暴れるのは、デブ専にいいかもしれない。
　なお、ストリート・ファイトのアナウンサーでベン・ペポト、レフリーでエロル・ジョニショが顔をだしている。