ＡＮＤＲＥＷ　ＦＯＲＤ　ＭＥＤＩＮＡ　(’ＷＡＧ　ＫＡＮＧ　ＧＡＭＯＬ！）
（アンドルー・フォード・メジナ　ワガママはダメ！）
　
91年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：ベン・フェレオ
主演：アンドルー・Ｅ
　　　 エディー・グチェレス
　　　 ピリータ・コラレス
　　　 デニス・パディーリア
　　　 クリスティナ・ゴンサレス
　　　 ジェリー・デ・ベレン
　　　 ナネット・メドヴェド
　　　 ハイメ・ガルチトレナ
　　　 ドンナ・クルース
　アンドルー・Ｅとデニス・パディーリアのコンビによる、いかにもベン・フェレオらしいナンセンス・コメディー。
　ピリータ・コラレス演じる叔母と同居するアンドルーとデニスが、ピリータのはからいでホテルの美容室へつとめるのが冒頭。オカマの美容師をよそおうデニスが、フローラ・ガセル演じるおばさん客の髪の毛を抜いてしまうバカぶりはよいものの、アンドルーがベン・ペポト演じる床屋の客の顔を間違った薬品ではがし、目と口が逆さまになるのは突飛すぎて笑えない。
　ルーム・メイキング係に転じたアンドルーとデニスが、ハイメ・ガルチトレナ演じる人気ラップ歌手の宿泊を知り、アンドルーがラップ歌手を夢みている設定。ハイメをアイドルとあこがれていて、クリスティナ・ゴンサレス演じる浮気相手とハイメが食事しようとしているときに、ナネット・メドヴェド演じる恋人が現れて大あわて。クリスティナがテーブルの下に隠れるや、たまたま忍んでいたアンドルーとデニスとはち合わせ、なんてあたりからメイン・ストーリーへ入る。
　とはいっても、とくにドラマのようなものはない。
　アンドルーがクリスティナにときめきを感じ、今度はナネットにモテる幻想を抱く。これにレミー・コロネル演じるカネ持ち女が海外出張の間、トリシャ・コロネル演じる少女をジンキー・オダ演じる子守りがあやし、コミカルなジンキーと、ルビー・ロドリゲス演じる太ったおばさんのホテル事務員を同時にデニスがたくみな同情作戦で口説いてこづかいをせびり、二人から逃げられなくなるエピソードが登場。パトリック・デ・グスマン演じるアメリカ育ちの青年が、エディー・グチェレス演じる父とともにフィリピンへ帰国すると、いきなりシェーキーズでジェリー・デ・ベレン演じる店員と恋に陥る。エディーはフィリピンで映画スターだったのだが、パトリックはショー・ビズに興味がなく、コンピューター・エンジニアを目ざしている。ジェリーがピリータの娘で、アンドルーにも「歌手なんか、あきらめなさい」というほどピリータがショー・ビズ嫌いなため、ジェリーの恋愛に猛反対。実はかつてエディーとピリータが将来を近い合った仲だったものの、映画会社の宣伝作戦で引き裂かれた過去をもつと明らかになる。エディーとピリータが結ばれ、子ども同士のパトリックとジェリーもゴール・インのエピソードがからむ。
　ハイメがアンドルーのオリジナルによるラップを録音で盗み、テレヴィ番組で自分の曲のように歌ったからアンドルーがショックをうけ、ハイメに抗議すると、ボコボコなめに合わされる。アンドルー側に転じたナネットの協力で、ピリータとエディーの仲間たちが一致団結。ハイメに変わってアンドルーをトップの座へと押しあげるクライマックスを迎える。
　全体的にギャグがふるわず、ピリータの一家が線路沿いに住んでいて、ヨヨイ・ヴィリアーメ演じるピリータの弟が列車通過の揺れでヒゲ剃り中によろけ、血だらけになったり、クスクスできる部分はあるものの、パトリックがシェーキーズで大量のオーダーをすべてたいらげるなど、相当にはずしている。アンドルーとデニスが鼻の下を伸ばして電話でナンパした相手の家へでかけてみれば、現われたのがベヴァリー・ サルヴィエホとイヴリン・ヴァルガス演じるウルトラ・ブス。必死になって逃げるあたりも、予想のつくありきたりさ。
　音楽のほうはどうかだが、貧民街やビーチでの踊りをまじえながらの挿入といった、何度もでてくるアンドルーのラップがイマイチ冴えない。むしろトリシャのほしがっている人形のキャラに扮してアンドルー、デニス、ジンキーが『ロンドン橋』の節で替え歌のラップを歌ったり、ジェリーとパトリックが『ウェスト・サイド物語』の『サムウェア』を歌いながらダンスが耳になじんで、心地よいくらい。
　でも女優陣のセクシーさが、予想以上のパワーで炸裂しまくるのが嬉しい。
　クリスティナは朝のベッドでハイメに下着姿で抱きあげられ、テーブルまで運ばれるとき、パンティーがフィットしたタイプじゃないから、股間のすき間にオマンコがのぞきそうで全視神経を奪う。アンドルーとラップのイメージにおいてディスコで出会い、一緒に駐車場でスリップのまま踊るのもウハウハ。プールへやってくるシーンでは、ビキニのそそるプロポーションの披露をくれる。ディスコにはミシェル・アドリアノ演じるかわいこちゃんを含む四名のギャルが顔をだし、ミシェルはクリスティナともう一人とともにプール・サイドを歩くビキニがキュート。もう一人のワンピースも捨てがたい。ナネットは水着の誘惑で上まわり、プール・サイドにハイメと座るポーズと、アンドルーを追いかける夢想でのパレオを巻いたビキニで盛りあげたうえ、アンドルーがモテモテになる願望のシーンでクリスティナとミシェルもいる数名の水着女性とともにヒョウ柄のハイレグ・ビキニで走ってきて、アンドルーに抱きつく。スリムなボディーが誘惑光線を振りまき、オッパイがやや小さめなのが、かえっておいしそう。ヒップの形はほぼ理想に近く、アンドルーと泡風呂へ入る際のビキニでお尻を突きだしたかっこうで興奮が頂点に達する。ゲストのドンナ・クルースがワンピース水着にショート・パンツをはいたファッションで歌い、ソリッド・ダンサーズ、ヴィクトル・ダンサーズのメンバーたちが水着で踊るのに続き、ジェリーもビーチでビキニになってパトリックとたわむれる。
　ほかにデニスを公園で挑発のジェニー・ロラ、マーリン・エリクソン、キャロリン・ハシント演じる女たちが胸のボタンをはだけたり、スカートをまくってみせ、アンドルーとデニスの乗る車がラヴ・ホテルを壊し、ドリービー・リー演じるシーツを巻いた半裸の女性をボンネットにあげて走るのはオマケ。
　いやはや笑いがダメでも、美女にかなうところなし、といった印象じゃないか。とくにナネットのセクシーさを痛烈に思い知った作品だった。
　なお、ヴェテラン歌手のピリータに歌声がないのは、ちょっと残念かな。