ＡＮＤ　Ｉ　ＬＯＶＥ　ＹＯＵ　ＳＯ
　
09年：ＡＢＳ−ＣＢＮフィルム・プロダクションズ／スター・シネマ・プロダクション
監督：ローレンティ・Ｍ・ジョギ
主演：ベア・アロンソ
　　　 サム・ミルビー
　　　 デレク・ラムジー
　　　 ニッキ・ヒル
　　　 キャンディー・パンギリナン
　　　 マリカル・レイエス
　　　 コニー・レイエス
　ベア・アロンソが主演のロマンスもので、監督がローレンティ・ジョギとなると、最初からしょうもない予感が走る。でもベアにビキニのシーンがあると知り、これは無視できない。
　ハイスクール時代にララ（ベア）の前に、同級生のオードリー（ニッキ・ヒル）の兄のオリヴァー（デレク・ラムジー）が現われ、突然に交際を申しこむ。卒業や父の死をへてララがオリヴァーと結婚。幸福の絶頂にあったが、たった五ヶ月の新婚生活で、あまりにもあっけなくオリヴァーが急死。それ以来、ずっとオリヴァーを思い続ける生活を送る。七ヶ月が経ち、ララの前にクリス（サム・ミルビー）が登場。ディスコのＤＪでプレイボーイのクリスをララが嫌うが、クリスはララに関心を抱く。まじめな会社員だったクリスは妻のレーシェル（マリカル・レイエス）の不倫に気づき、相手のパオロ（ルシアノ・コスタ）を情事の現場で殴ると、妻にも殺意をおぼえた過去を引きずっている。やがてオリヴァーの幻想を断ち切れないララにクリスが自立をうながす手助けをおこない、ついに愛を告白。かたくななララがクリスをうけ入れようと感じたタイミングで、クリスのところにレーシェルがやり直しをいってくる。
　よくある恋愛劇の図式ながら、ヴァネッサ・Ｒ・ヴァルデスとジャクリーン・Ｖ・フランケルリの脚本が家族や周囲の人物をからめるあたりがフィリピンっぽい。身内のいないララはオリヴァーが亡くなり、オリヴァーの買ったコンドミニアムの支払いがとどこおったため、業者のチュア氏（ジョージ・リム）にさいそくされる。チュア氏が中国系なのがいかにも。義理の兄のフレッド（マイク・オーストリア）と義理の姉のジェーン（エンジェル・ヤコブ）の夫妻がアメリカ合衆国へ出稼ぎの渡航費がなく、オリヴァーの残したララの学費をあてにする。落ちこむ母（コニー・レイエス）が心配でオードリーがアメリカ合衆国の就労をあきらめる。コンドミニアムを他人に貸すことを決めたララと三人暮らしを歓迎も、ララがクリスとデートをオードリーがみかけて家をでるだろうと察し、母がララの本心をわからずに距離をおきはじめる。クリスは父（ディック・イズラエル）と父の妹の叔母（ジレット・サンディコ）と、そのピーウィー（ニコラス・ダニエル・エルナー）とジュンボ（ニコラス・デーヴィッド・エルナー）の双子の息子と住む騒がしい家庭で、従兄弟の弁護士のマイク（ＲＪ・レデスマ）と仲がよく、いかにも明るい環境。音楽をやりたいと静かな部屋を探していたら、ララのコンドミニアムをみつける図式。さらに幼稚園へ勤務のララには四人の教師仲間がいて、そのうちのパウラ（キャンディー・パンギリナン）がジェット（ラム・サガット）と結婚をひかえ、しばしばララの相談に乗る。
　ちょっと興味を引くのは母が中心になって開く夫や子どもを亡くした女性の悲しみを語り合う会で、未亡人たち（マデリーン・ニコラス、アーリンダ・ヴィリアロボス、マリア・テレサ・ホアキン）の告白をララが聞くカフェをとなりの席からマイクとながめて、クリスがはじめてララをみる。オリヴァーが幼稚園にきて園児とふれ合い、クリスも幼稚園で歌うあたり、子どもうけが好人物の証といえる。サム・ミルビーがギターを手に主題歌を披露に、ラストで同じ曲をガーリー・ヴァレンシアノが熱唱をＢＧＭに流す演出は、ファンへのサーヴィスだろう。ララが自問のたびにオリバーが出現でアドヴァイスも、おまじないのごとく振って答えを占うマジック・ボールは、まあまあ小道具としておもしろい。タガログ語の早口言葉がでてくる点も笑えるかな。
　クリスがバイクに乗るのを父が心配や、運転のヘタなララにクリスが車庫入れを特訓は、交通事故の伏線かと感じたが、違っていた。
　パウラの結婚式に出席の前に母と和解のララが、式場にまぎれるクリスに会い、クリスのプロポーズに「愛してくれてありがとう」と答えて別れる。失意のクリスがアメリカ合衆国へ働きにいき、クリスが部屋を別の家族に貸す。
　このまま終わればヨーロッパふうの大人のドラマかもしれないが、そこは低脳なアメリカ合衆国の影響が大きなフィリピン。ちゃんとハッピー・エンドのエピローグを用意する。いったんフェード・アウトで、またフェード・インによって、きたぞ、きたぞ、再会だぞと小バカしたものの、意外といけるラストだった。
　世話焼きのパウラがベアとジョナタン（ホセ・サラソラ）のデートをセットのとき、クリスの友人のＭＪ（ヒュブス・アサルコン）が経営のレコード店でクリスがアルバムをリリースとララが知り、帰国でそこにいると聞く。ララの車が小型になったので経済的変化を示しつつ、クリスのバイクが駐輪も、ヘルメットをかぶった人物が発進させる。あわてて靴を脱ぐや、裸足で走って追いかけるララをパウラばかりか、ジョナタンまで「いけ、いけ」と応援が愉快。やっと追いつけば、乗っていたのがマイクで、となりの車から妊娠の女性を気づかいながら、クリスが降りてくる。実はマイクの妻のリアンヌを勘違いしたにすぎず、裸足に驚いたクリスがララを抱きあげる。さっとにわか雨がやさしく包むセンスがよく、いつもわざとらしいロマンティックさのプラスが鼻につくローレンティ・ジョギにすれば、けっこういける。
　大衆娯楽作のレヴェルをクリアーと評価できる。
　オリヴァーの遺灰を入れたハートのペンダントをララが海へ沈めるのは『タイタニック』の宝石のマネっぽいも、父の葬儀と同じくフィリピンも火葬が増えたとわかる。
　それでベア・アロンソの魅力がどうかだが、ビキニのシーンは二回あり、オリヴァーとの海は黒いセパレーツでボートから飛びこむのみ。クリスの手配でザンバレスへひとり旅で、こっそりクリスが同行の隠れリゾート的な手つかずの自然の海は玉模様の白いセパレーツで浅瀬を歩き、ビーチでお尻を突きだすポーズがドキドキなようでも、さほど肌に貼りつかずに興奮をさげる。個人的にベアは美人とはいえ、あまりタイプじゃないが、オリヴァーをマッサージのベッドで薄くスケたスリップが下半身にドキドキと刺激をくれて、オリヴァーの遺灰をペンダントに入れる際の白いドレスで前かがみの胸元が視線を奪う。悲しみを語り合う会の黒パンや、クリスに部屋を貸したのにベッドで寝て、はっと朝の起床で胸に手をあてるシャツのほか、クリスが住みはじめた部屋でベッドのまわりを探しものでお尻を突きだすかっこうの貼りつきがゆるい白パンに、部屋を塗りかえのときのジーンズ、オープンのレストラン街の広場でクリスとダンスで拍手を浴びるブラが少しスケてみえる白いドレス、ザンバレスへバス旅行のジーンズ、ザンバレスの夜に屋外で月明かりに脚がスケて浮きあがる白いワンピース、オリヴァーの亡霊にからみ、ひとりで荒れるシチュエーションでの黒いジーンズ、パウラの結婚式に出席のドレスと、まだファッションの着こなしのほうがチャーミングなくらい。クリスとセックスは顔などのアップのみで、乳首の露出のあやうさを欠く。
　女優陣だと、以前に『ＭＵＬＩＮＧ　ＢＵＫＳＡＮ　ＡＮＧ　ＰＵＳＯ』でセクシーさに悩殺をうけた美貌のコニー・レイエスが上品な初老のおばさんになっている。セクシーなグラビアを発表の経験をもつエンジェル・ヤコブは熟女の部類か。同様にニッキ・ヒルはベアともどもに冒頭のハイスクールのユニホームがおかしいも、ララのデートを母に話す朝食における、むっちりしたお尻を弾けんばかりにくるむジーンズがおいしそう。やはりセクシーなグラビアでお世話にあずかったモデル出身では、幼稚園の教師のひとりを演じるジャンナ・ドミンゲスが清楚なキュートさ。クリスがイチャつく相手で、ＤＪをつとめるディスコでキスのニーニャ・ドリーノはキラキラのワンピースが色っぽく、朝に別れるサヴァンナー・ラムセンはスリップにガウンをはおる。コンドミニアムへくればララが寝ていたのを勘違いで怒るクリステル・モレノはワンピースがイマイチながら、一緒にバイクにまたがるゲール・ニコラスは長い脚にフィットのジーンズがみごとなプロポーションを浮き彫りに、よだれをうながす。ララが現われてびっくりのバーでクリスの耳をかむジェンマ・フィッツジェラルドは、ややストライク・ゾーンをはずれる。
　クリスのシャワー・シーンは、サム・ミルビーのファン向けだろう。
　幼稚園の教師役のうるさいキャンディー・パンギリナンと、ひょうきんなカカイ・バウティスタと、太ったカイ・コルテスはコメディー・リリーフ。
　ハイスクール時代にオリヴァーがララに交際を申しこむとき、ララのうしろに立つかわいい娘はクレジットに落ちるが、ベリル・ファハルドか不明になる。
　とにかくバツグンに輝くのはマリカル・レイエスに尽きて、生けるアフロディテなんてイメージ。思わず舌をからめて接吻したい。カトリナ・ハリリとともにセックス・ヴィデオの流出でスキャンダルを呼んだ彼女だが、これほどの美女のオマンコまであらわな素っ裸がおがめたのだから、彼女には悪いが、ごちそうさま。