ＡＮＡＫ　ＮＧ　ＫＵＭＡＮＤＥＲ
（司令官の息子）
　
07(08)年：ＭＰプロモーションズ
監督：Ｊ・カカ・バラグタス（ホセ・“カカ”・バラグタス）
主演：マニー・パッキアオ
　　　 アラ・ミナ
　　　 ロヘリト・パッキアオ
　　　 ロイ・ヴィンソン
　　　 ダンテ・リヴェロ
　　　 エフレン・レイエス・ジュニア
　　　 ペルラ・バウティスタ
　　　 ヴァレリー・コンセプション
　　　 ララ・モレナ
　　　 ロング・メジア
　パックマンことマニー・パッキアオが自ら制作したアクションもの。さすがに庶民のヒーローだけあって、難しい問題をさけ、単細胞な内容になっている。
　バシランの山中を舞台に、民衆のために戦っていたゲリラのリーダーのオヨン（ダンテ・リヴェロ）が、賞金目的のグループに殺される。それで息子のイデル（パックマン）が父の意思をつぎ、悪徳な連中との武力闘争をはじめる。父の殺害の主犯だったボヨン（ロイ・ヴィンソン）は地域の顔役として君臨し、アルボル（エフレン・レイエス・ジュニア）は市長に当選。イデルのゲリラの台頭に驚き、軍隊へ討伐をたのむ。アキノ大佐（ロルダン・アキノ）がパラデス中尉（ロヘリオ・パッキアオ）の部隊を差しむけ、鎮圧にあたらせる。これに事態を報道するＴＶレポーターのサンドラ（アラ・ミナ）とヴィデオ・カメラマン（ロング・メジア）がからみ、イデルとサンドラにロマンスが生まれる。
　父の死の知らせに母（ペルラ・バウティスタ）も亡くなり、父と最後まで行動した同士（エルニー・フォルテ）から父の死にざまを聞いて、悲しみで発起が定番の構成。銃とナイフの練習に励んで五年後、自分をバカにしていた連中（ダニー・ラブラ、ジェス・サンチェス、クリス・アギラー、ダン・アレヴァロ）を圧倒し、この四人が最初の部下になる。しかも最終的にカネのために裏切るあたりや、アキノ大佐がイデルの後見人であり、教会で会って説得をうける設定がけっこうパターンを踏んでいる。戦う悪の相手がボヨンとアルボルのみならず、強盗団からシンジケートまで、いろいろとでてくる。ほかのゲリラと助け合ったり、仲間が増えたりしながら、同士を失う。イデルのいない作戦のエピソードを含むのは、おもに女性メンバーのカ・マヤ（ヴァレリー・コンセプション）とカ・ララ（ララ・モレナ）を中心におくので、女優へ活躍場を与えたのだろう。また、母（リン・マドリガル）と妹（テローズ・ハヴィール）がいるサンドラの家庭描写をくわえ、ヒロインとしてのサンドラの立場を目だたせる。偶然の目撃でサンドラがイデルに強い印象をうけ、ビンタとキスの夢をみるシーンで、恋のときめきがとう突にならないための伏線を張っている。ただしイデルがカ・マヤを抱きしめるシーンがあるも、三角関係にはふれていない。ボヨンにすがってアルボルが泣き、ふたりがホモっぽい暗示は発展を欠く。いささかマンガみたいなキャラづけは敵としての威厳を弱め、失敗と指摘したい。
　途中にイデルがパラデスの部隊をつかまえるなどの余裕をみせつつも、結局はアキノの断腸の思いによる決断で大部隊を引きつれたパラデスが、ボヨンとアルボルの一味を退治と同時にイデルのゲリラを全滅へ追いこむ。イデルが壮絶に散るお決まりのラストを迎える。
　ホセ・“カカ”・バラグタスの演出は広がりを意識したようでいて、スケールが小さいのが逆にオーソドックス。制作費の限界といえるかもしれない。弾やナイフが飛んでくるＣＧは、オマケ程度の効果。ボクシングをいかしたアクションをまったく含まず、そのあたりはパックマンの新境地を狙うつもりで、やや役者的に線が細いとの皮肉なイメージを残したと感じる。
　なによりも個人的に注目はアラ・ミナの出演につき、太めのボディーをジーンズにくるむ。なかでもイデルと愛を確かめる接吻シーンでのタンクトップにジーンズがそそり、イデルへ投降を叫ぶクライマックスのしゃがんだポーズを背中からとらえるジーンズのヒップが素晴らしい。市長を非難したレポートのせいで警察につかまるとき、縛り吊るされていて、せめてシャツを破られ、豊かなバストのブラをみせてほしかったところ。
　ヴァレリー・コンセプションとララ・モレナもジーンズがキュートなうえ、ヴァレリーはマッサージ嬢に化けて中国系の組織のボスを始末の際、白衣でモンロー・ウォークが視線を奪う。ボスがパンツ一丁になるも、白衣を脱がないままが残念。そのあと銃撃戦でパンティーがのぞくか、のぞかないかの動きをみせる。ララ・モレナは潜入で中国系の麻薬売人を接待のときに服の上から愛撫をうけ、いったんつかまった状況でワンピースをまくられ、ハミケツがチラつく。ジーンズ素材の超ミニスカをはき、やはりパンティーがのぞくか、のぞかないかのハラハラ感をくれる。ボヨンに殴り殺される前にベロッとハダカにむかれる露出のないあたりが不満。
　ほかにサンドラの妹が短パンなのは、さほどときめかず、ボヨンが自宅のプールに女たちをはびらせ、泳いだりにビキニが数名でてくるが、いずれもボディー・ラインがくっきりのショットを欠く。中国系売人をフィリピンの密売グループのリヴェロ氏（ボーイ・ロケ）が接待のバーで踊るダンサーたちは、三名ともがヒップ・ラインの浮かんだビキニで挑発。リヴェロ氏の横のホステスは胸元のあいたドレスを着ている。レイプの犠牲になる女学生（ワックー・サラド　？）はスカートからパンティーを丸だしにし、やはり犯される親子は下着がチョロりのみ。ボヨンが娘と紹介している役のイナ・エスピアンスはプール・サイドでも水着じゃない。
　とにかく女優の魅力はアラの存在だけで満足にしたい。
　さすがホセ・“カカ”・バラグタスと称賛の部分は、脇役の顔ぶれをそろえた人脈に思える。ボヨンとアルボルに裏切られる賞金稼ぎのサブ・リーダー役にコンラッド・ポーを配したのにはじまり、イデルに公開処刑で吊るされるひとりにダニー・リエル、女性司令官のカ・ドライ（ドライ・メオ）や古株のカ・アンディー（アンディー・ヴァルデ）との交流で参加のメンバーにアルヴィン・アンソン、レヴィ・イグナシオ、悪党の一派にジョエル・パディーリア、レーイ・ロルダン、女性アナウンサー（シェアン・グラベトル・ノルテ）とサンドラからのレポートを分析するＴＶニュースの解説員にヴィク・フェリペなどなど、Ｂ級アクションではおなじみのバイ・プレーヤーたち。エンド・クレジットを読むに、役者の人数の多さが驚きのレヴェルで、さしずめ日本なら大部屋総動員の感がある。ホセ・“カカ”本人もアルボルを告発の住民代表役で出演している。質より量といったら、ホセ・“カカ”は怒るだろうか。
　なお主題歌をパックマンが歌い、当然ながらヘタなのがご愛嬌。
　さて以下は余談だが、最近のアラの中でもっとも美しさが光ったのはＴＶの『ＤＯ・ＳＥ・ＮＡ』になり、そこにおけるエナメルの黒い全身スーツと水色のビキニの水着がパーフェクトなまでにムズムズ感を高め、とくに前者は下半身をカチカチにしてくれた。ルファ・メエ・キント、ダイアナ・スビリ、モーリン・ララザバル、フランシン・プリエトも光沢の短パンとブラで踊るぜいたくな女優共演の誘惑を堪能しつつも、ボリュームあふれるプロポーションがピタピタのコスチュームにあらわなアラは格別で、さながらお色気ダイナマイトだった。まあ、本作のようなゆるさをみれば、また映画でも性の女神になってほしいと願わざるをえない。