93年：デーヴィアン・インターナショナル／ニーシェ・インヴェストメント
監督：ヤノー・ホーディ
主演：デール・“アポロ”・クック
イーヴァン・ルーリー
キャシー・シャワー
テッド・マークランド
デーヴィッド・グラフ
フィリピン・ロケによるアメリカ映画になり、合作でないながらもＧ・トエンギが出演と知れば、ファンとしてとりあげざるをえない。
『ＦＩＳＴ ＯＦ ＧＬＯＲＹ』『ＢＬＯＯＤ ＲＩＮＧ』『ＥＴＥＲＮＡＬ ＦＩＳＴ』『ＤＯＵＢＬＥ ＢＬＡＳＴ』とフィリピン系の作品で活躍のデール・“アポロ”・クックにイーヴァン・ルーリーを加えたＢ級アクション。
亡き父の会社の役員だったハワード（デーヴィッド・グラフ）と結婚のリリアン（キャシー・シャワー）は幼い娘のスージー（ジェシカ・スプリンガル）を誘拐され、前夫で警官のマイク（アポロ）と別れた恋人で格闘技の教室を開くデーヴィッド（イーヴァン）に救出を頼む。まだリリアンに未練の残るマイクとデーヴィッドはともにスージーが自分の娘だといわれて引き受けるも、犬猿の仲で単独行動のあと、しかたなく一緒に動く。またリリアンは父の弟で伯父のフランシス（グレッグ・リュイス）に身代金の借用を求める。一方でハワードもアッティラ（ヤノー・ホーディ）なる人物に捜索を依頼、とデコボコ・コンビのマイクとデーヴィッドの息が合ってくるうち、リリアンの父の会社につとめていたゼヴィアー（テッド・マークランド）が犯人と判明も、背後に驚きの人物が…、とのストーリーは意外性に乏しく、ポール・ウォランスキーとヤノー・ホーディの脚本、グレッグ・リュイスの追加台詞がパターンを踏む。
筋の展開は二の次でアクションが冴えれば迫力を生むものだが、とにかく銃撃戦はおろか、格闘技のファイトもリアル感の薄い絵空事っぽさで、しょうもないレヴェルに終わる。ヤノー・ホーディの演出がヘタ。
まあ、大の男がふたりも振りまわされるほどの魅力がリリアンにうかがえないあたりが説得力をさげ、演じるキャシー・シャワーは最初と最後のプール・シーンで水着を披露も、さしてときめかないまま。
設定はアメリカ合衆国の西海岸のようで、ロサンジェルスの風景のショットをタイトル・バックや途中に挿入し、全編のどこにもフィリピンとわかる要素を排除ながら、役者のからむシーンはすべてフィリピンで撮影と思われる。冒頭の誘拐の実行でヘリコプターに吊りさがってスージーをさらい、最後の海岸（おそらくスービック）で銃撃戦にヘリコプターから海へおりる犯人のひとり役にロナルド・アシナス、マクドナルドの前でマイクとデーヴィッドがケンカをおもしろそうにヴィデオで撮影のアジア系観光客の夫婦の夫役にロニー・フランシスコ（ロン・デウーとクレジット。妻役はジェ・ホンデ）、ゼヴィアーが借りたヘリコプターのレンタル会社の社長（ニック・ニコルスン）を殺害の容疑でデーヴィッドがシェリフ（ジム・モス）につかまり、手錠のままぶちこまれるサン・パブロ刑務所の牢名主的な囚人役にウィリアム・ロメロとフィリピンの脇役の顔がみえる。ゼヴィアーの手下の中にはクリス・アギラーとボーイ・ロケがいるが、クレジットだとスタントに載る。
マイクとデーヴィッドがハリウッドというクラブの前で情報を聞く娼婦役にエマ・ブレークとセーラ・レインタイット、客たちともめる酒場のウェイトレス役にバーバラ・ダガン、デーヴィットが懇意の本屋の店員役にシェラリン・バンディーと白人女性の登場は、アメリカ合衆国で別撮りかもしれない。リリアン宅のメイド役にペルリー・サラサル、中華料理店のウェイトレス役にラニ・スミリノグとフィリピン女性の起用はアメリカ合衆国にいてもヘンでない範囲内。
犯人のひとりのハマー（ジェフ・アイオリオ）を追ってマイクとデーヴィットが入るマッサージ・パーラーのマッサージ嬢が全員フィリピーナは不自然でも、四名のうちのひとりはかわいい。数えればチョイ役を含めて五名ながら、アメリア・フェルナンデス、アローナ・ファビリアール、ジョイス・エスポニーリア、マリアン・イラヤ、アニータ・ソリス、ジョシー・エスポニーリア、マリアンネ・イラヤと七名がクレジットに読めるが、実際は名前の似たふたりが同一で五名だろう。誰がスケスケのガウンをはおった三名か不明で、デーヴィッドに情報を与えるときに乳首をだし、黒いパンティーをモロに逃げるかわいいひとりはアメリア・フェルナンデスと推測される。
堂々のオール・ヌードはデーヴィッドと自宅の庭の風呂で混浴の女性役のジェニファー・ジェーコブのみになり、オッパイもお尻も全開だが、個人的に白人なので興味の対象外。
肝心のＧはヘリコプターのレンタル会社社長のポーの秘書役であらわれ、実にチャーミング。クレジットにジゼル・トエンギでなくジゼル・トンギと書かれるが、フィリピン映画でもときどきトンギの表記がある。素敵、素敵、素敵、素敵、素敵、キス、キス、キス、キス、キス。Ｇ、大好き。
余談ながら、スージーがミッキー・マウスのＴシャツを着ていて、ささいな使用にも鬼のごとくうるさいディズニーの訴えは大丈夫だったかなと心配になる。
※ この作品は『リアル・キックボクサー』の題名でヴィデオ発売されたことがある。
