ＡＬＹＡＳ　ＴＯＴＯＹ　　ＫＡＭＡＹ　ＮＡ　ＢＡＫＡＬ　ＮＧ　ＷＰＤ
（人呼んで坊や　警察の鉄腕男）
　
　年：セイコ・フィルムズ
監督：ペペ・マルコス
主演：ジェストニ・アラルコン
　　　 グレッチェン・バレート
　　　 ジョニー・デルガド
　　　 ザンドロ・ザモラ
　　　 ラヴリー・リヴェロ
　　　 カルラ・エストラダ
　　　 リザ・ロレナ
　　　 イサドラ
　　　 ロビーニャ・ラヴィーナ
　ジェストニ・アラルコン主演のアクション作で、複数の相手と対戦する構成になっている。モン・コンフィアドなどが演じるレイプ犯をやっつけるのが冒頭。テリー・ババサなどが演じる武器を密かに運ぶグループを退治し、私設軍隊をつくろうと動いているジョニー・デルガド演じる有力者の存在が浮かびあがる。ボーイ・ゴメス演じるタレこみ屋から情報を調べ、お互いに襲撃合戦を展開が、一応、メインの敵といえる。これにキング・グチェレスやレナート・デル・プラドなどが演じる囚人が脱獄のうえ、銀行やカネもち宅で強盗を繰り返すのを撃ち殺すエピソードや、ラヴリー・リヴェロ演じる女性の惨殺事件の犯人逮捕がからむ。ザンドロ・ザモラ演じる泥棒を仕切る悪徳警官が刺殺されたり、映画館で暴れる麻薬中毒者を追いつめたら飛び降り自殺したりの小さな話がはさまれる。スラムでケンカの男たちを無理やり仲直りさせるのはコメディー部分。プライヴェートもでてきて、カルラ・エストラダ演じる恋人が嫉妬深く、グレッチェン・バレート演じる婦人刑事と打ち合わせを浮気だと怒り、カルラと別れてグレッチェンと愛が生まれる。非番のデートでオープンの観光バスに乗っているときにヒットマンから狙われ、グレッチェンが傷つき、両親に逆恨みをうける。ジョニー一味が病院へ侵入でグレッチェンを拉致の際、両親が撃たれる。
　フミルデ・“ミーク”・ロハスの適当な挿話羅列の脚本ながら、ペペ・マルコスが歯切れよく演出したので、ほとんど実質的な内容を伴わない軽さがかえってあきずにみせる。
　なんといってもグレッチェンの魅力がポイントをつくり、潜入捜査でバーのダンサーになって数名とともにブラとホット・パンツの衣装で踊る。エルニー・サラテ演じる上司からジェストニを紹介後のピタパンがフィットする下半身のラインがそそる。ルル・ヘアーでボーイッシュなイメージが実にキュート。ジーンズに直接、拳銃をさしているのは『コブラ』のシルヴェスター・スタローンをまねたカッコつけだろう。ビーチでジェストニとふれ合うシーンで水着じゃないのと、白衣の入院着のままジョニーにつかまって吊るされたあとにビリビリッと破られて下着にならないのが不満かな。
　美人度ではカルラのほうが上で、ジェストニとシャワーで抱き合い、ベッドはボディーにシーツを巻いている。バッグを引ったくられるジープでの短パンが色っぽい。
　もっともタイプなのはラヴリーだが、美容院を経営でダニー・ラブラ演じるヒモを追いだすときの短パンや、アラン・パウレ演じる愛人にベッドへ倒されるときの短パンが視線を奪い、とくに後者はヒップの突きだしが興奮を呼ぶ。セックスは手前にある花瓶なめで肝心のパーツが隠れ、犯行現場の証言の回想ではバス・タオルを巻いたかっこうで抱かれるも、バス・タオルが落ちたのに足元しかみえないが、けっこうゾクゾク。ゴミの中からクズ拾いがラヴリーの切断された生首を発見すると、こんな美女をもったいない、なんて思わせる。
　貧民街のバラックに犯罪者がたむろし、エドウィン・レイエス演じる片腕的部下や、デンショ・パディーリア演じるオカマの部下などとジェストニが踏みこんで銃撃戦になるシーンで、おばさんの娼婦の踊りに騒いでいて、ブヨブヨの体の醜いビキニ水着が気持ち悪く、脱がないでくれ、といいたくなるのが場末そのもの。
　細かいポイントではシャブ中毒者が「オレはスーパーマンだ」と叫んで飛びおりるのをジェストニが「オレはバットマンだ」ととめようとし、アメリカン・コミック好きのフィリピン人を表わす。ラヴリー殺害犯がタクシーで逃げて、ジェストニが追跡のために通りかかった車をとめると、ルーシー・キント演じるおばさんの運転手が「警察だ。協力してくれ」に「早く乗って、乗って」とハシャいでいるのが愉快。
　脇の要素を楽しむ作品のようだ。
　なおジェストニの母親役でリザ・ロレナが、グレッチェンの両親の交際反対にくさって酒を飲みながら思い出に浸り、ジェストニが酔っぱらいと殴り合う酒場の歌手役にロビーニャ・ラヴィーナが出演している。