ＡＬＹＡＳ　ＰＯＧＩ　　ＢＩＲＡＤＯＲ　ＮＧ　ＮＵＥＶＡ　ＥＣＩＪＡ
（人呼んでイイ男　ヌエヴァ・エシハ州の暴力沙汰）
　
90年：ＲＲＪプロダクションズ
監督：ジョーイ・デル・ロサリオ
主演：ラモン・“ボン”・レヴィーリア・ジュニア
　　　 ジャニス・デ・ベレン
　　　 エドゥ・マンザノ
　　　 ジョニー・デルガド
　　　 トミー・アブエル
　　　 ベルナルド・ボニン
　相当に暴力的なアクション映画。ラモン・“ボン”・レヴィーリア・ジュニア演じる警官が主人公で、地域住民の間から「ポギ（イイ男）」の通称で呼ばれる正義感。ジョージ・エストレガン・ジュニア、ロベルト・タラビスなどが演じるバス強盗を射殺する冒頭において、まずジョージの異常者ふう演技が失笑を買う。ボンバー・モランなどが演じる牛泥棒の退治や、ガーリー・“ボーイ”・ガルシアなどが演じるレイプ犯の処分では、ジャクリン・サモンテ演じる女性を無残に殺したガーリーたちの首を切り落として村の集会場の屋根にさらす。レス・コルテス、ロルダン・アキノが演じるシンジケートの幹部と対決に発展し、奪ったタンク・ローリーごとに吹き飛ばす。麻薬取り引き現場を急襲によってエドゥ・マンザノとエドウィン・レイエスが演じるボスの兄弟が怒り、ボンの殺害を決意。約半分くらい経ってようやくメイン・ストーリーへと入る。
　ジャニス・デ・ベレン演じるジョージとロベルトの妹がボンを恨み、復讐を考えているのだが、そんなジャニスにボンがほれる。強引にキスから結婚で、最初は嫌っていたジャニスがボンを愛していくロマンスは足早な語り口なものの、けっこう納得の部分。いざ家庭を築いてみれば、ボンがやや尻にしかれているのがおかしい。ルシタ・ソリアノ演じるボンの叔母とともにジャニスが妊娠で幸せだった矢先、エドゥが雇ったバルド・マーロ演じる殺し屋がお産の真っ最中に襲ってきて、生まれたばかりの赤ん坊だけを残し、ルーシー・キント演じる産婆も一緒に惨殺される。
　レナート・デル・プラドなどが演じるエドゥの手下とともにバルドが単純に撃っているだけで、だったら一匹狼のプロの意味がないぞと思わせるのがダメな構成。「もういい、たぶん死んだ」と引きあげるバルドの一味に向かってボンが発砲し、亡くなったふりのままあとから作戦を練ればいいのに、まだ生きていると自ら教えるような脳みその少ないキャラぶりもあきれるばかり。
　ボンがうだうだと神へ文句をいうのはうんざり感が盛りあがってきて、後半はけっこう退屈を伴う。
　エドウィンを逆襲でボンが倒して、血みどろの首をエドゥに送りつける。トニー・アブエル演じるボンを支えてきた親友を、ジョシー・タグレ演じる妻とともにエドゥが殺す。多少、法を逸脱しながらもボンの活躍をほめていたジョニー・デルガド演じる署長が麻薬事件をさかいにボンを責め、裏をうかがわせたあと、ベルナルド・ボニン演じる地主からボンの殺害を命じられる。ベルナルドとエドゥが相棒同士とわかり、ボンが赤ん坊をルーベン・ルスチャ演じる神父にあずけ、味方に転じたジョニーと二人だけで殴りこみをかけるクライマックスへ。
　途中で残酷描写を何ヶ所か入れたうえ、およそ勝てるわけない圧倒的に不利なシチュエーションでジョニーが犠牲になり、ボンがエドゥをしとめるお決まりのドンパチを繰り広げるだけの内容に、アホらしとしかいいようがない。ジョーイ・デル・ロサリオの演出はとくに評価点がなく、こんなもんでしょ。神に感謝の言葉をのべる神父の横で、日本人の組織とビジネス交渉で留守だったベルナルドにボンが撃たれるラストに、とってつけたような印象がマイナスを助長する。
　まったく、しょーもないレヴェルだ。
　もっとも、ジャニスがちょっとセクシーなのが嬉しい点。海岸でボンとハダカでみつめ合い、ベッドでセックスのとき露出がイマイチながら、ビーチでたわむれるシーンで水から抱きあげられ、水着じゃなくシャツと短パンなのに、濡れて短パンが貼りつき、お尻の形がくっきり。黄色いシャツの胸元は乳首がスケているかどうかに全視神経を奪ってくれる。
　ジャニスの魅力で一応みたかいがあったようだ。