ＡＬＹＡＳ　ＢＯＭＢＡ　ＱＵＥＥＮ
（人呼んでエロの女王）
　
02年：スターライト・フィルムズ
監督：ホヴェン・Ｍ・タン
主演：ハリーナ・ペレス
　　 　ピアール・ミラソル
　　　 サルシ・エマヌエル
　　　 マリア・イザベル・ロペス
　　　 マルクス・マドリガル
　　　 ハロルド・ピネダ
　　　 ハニー
　　 　クリセルダ・ヴォルクス
　　　 ノニ・ブエンカミノ
　　 　アニータ・リンダ
　　　 シャーメイン・ブエンカミノ
　『ＥＳＫＡＮＤＡＬＯＳＡ』『ＢＩＧＬＡＮＧ　ＬＩＫＯ』に続き、２００３年公開のホヴェン・Ｍ・タンの監督作品は、これで三本目。最初がバルバラ・ミラノ主演で、次がバルバラとハリーナ・ペレス、今回がハリーナとピアール・ミラソルだから、しりとりしてるんかい、と思うも、内容は『ＢＩＧＬＡＮＧ　ＬＩＫＯ』に近い群像劇である。『ＥＳＫＡＮＤＡＬＯＳＡ』がＦＬＴフィルムズ製作だったのに対し、『ＢＩＧＬＡＮＧ　ＬＩＫＯ』と本作がスターライト・ フィルムズだからだろうか。
　なんてことはさておき、マニラという大都会の怖さを狙い通りに描ききれなかった前作よりも、セックス産業で生きる底辺の人間たちを扱った本作のほうがずっとできがよい。セクシー・シーンの魅力もアップして、まあまあ楽しめる作品になっている。
　ＢＯＭＢＡというディスコ・パブの人気ダンサーだったのがピアールの役で、現在、結婚して妊娠中。サルシ・エマヌエル演じるママから「いつでも戻ってきてくれ」といわれている。ハロルド・ピネダ演じるのがピアールの夫で、トロ、つまりライヴ・セックス・ショーのパフォーマー。そのセックスのパートナーを演じるのがハリーナという人間関係。ピアールはマリア・イザベル・ロペス演じる母と確執があり、カネが必要になって、出産するとダンサーに復帰。ハロルドはおばさん相手ばかりでなく、男とも売春している。ハリーナも四人の妹と弟のため、売春までして頑張っている。クリセルダ・ヴォルクス演じる斡旋屋にハリーナとハロルドはエロ映画の出演を紹介されるも、強欲なクリセルダは、ハニー演じるレズ相手からカネのトラブルで殺されてしまう。
　一方でノニ・ブエンカミノとマルクス・マドリガル演じる、偶然、映画館の中で手を握り合って、不本意にもお互いがホモであると知る親子がでてくる。シャーメイン・ブエンカミノ演じる妻にノニが「自分も息子も同性愛者だ」と告白して、家庭が崩壊。さらには若い頃にセックス産業にいたアニータ・リンダ演じる老女が登場。映画は個別のこれらのエピソードをたくみに交差させながら、無理にかみ合わせようとしないから、グランド・ホテル形式のドラマとしてしっかり成立している。
　ここが評価したい点。
　クリセルダの殺害で、死体に「ポルノの主演料はどうなる」と泣きつくハロルドの絶望や、自殺といったあたりにドラマティックな盛りあげを加えようとするも、決して悲しみに終始していない。全体的にセンティメンタルとはいえ、許しをテーマにしているのがうなずける要素。夫を亡くしたピアールはマリアと和解し、ハリーナは妹や弟たちから誕生日の祝福を受ける。ノニの一家は「オカマだからって、どうだっていうんだ」と親子三人の絆を取り戻し、アニータも病に倒れ、かつて心を通わせたノノン・デ・アンドレス演じる仲間との交流を復活させる。
　とにかく個人的にはアジアの民というか、モンゴロイドは寛容さが一つの特徴であり、そこがコーカソイドとの大きな違いだと感じているだけに、納得できるドラマなわけだ。
　ハリーナがＢＯＭＢＡへ仕事を探しにきて、サルシにダンサーではなく「ウェイトレス」だというラストに、カネよりも、セックスで稼ぐことから抜けでようという希望を提示しているものの、映画はセックス産業が全盛となる背景にある社会問題に深く言及していないから、表層的な内容にとどまってしまったのは仕方ないだろう。
　さて、一番の目的であるセクシー・シーンだが、まずハリーナとハロルドのトロのシーンがみごと。全裸のハリーナのオッパイが騎乗位でアップになる。それはもうプニュッと押してもピンッとはね返りそうな張りのよさで、乳首にも思わず吸いつきたい欲求を抑えきれなくなる。楽屋での白いパンティーが食いこんだヒップも圧倒もので、なんと肉感的なボディーであることか。あとのポルノの撮影シーンでは、上向きのオッパイをこれでもかと堪能させてくれて、ハリーナにウハウハの納得。
　ピアールはさらにビンビンにしてくれる。たっぷり時間をとったステージの描写が、全編のハイライトともいえるみごとな内容。パープルのワンピース風の水着で、フリルのついたハイレグが挑発的。しかもバックからみると、Ｔバックの紐がお尻に食いこんでいて、ほとんどハダカも同然。それでセクシーなダンスをするから途中でイキそうになるも、最後に近づくと胴の部分の衣装をはずしてビキニに変わる。ひょっとしてブラもとるの、と想像して興奮がカッカ高まってくると、フィニッシュでブラをガバッとめくってオッパイをドバッ。もうヘロヘロになってしまいそう。ハロルドとのセックス・シーンでは、惜しげもなくオッパイを横から、上からアップでみせてくれて、ピアール最高。
　新人のハニーはショート・カットのヘアがキュートで、ハリーナやピアールよりも好みのタイプ。クリセルダとレズのベッドの前にシャワーを浴びるとき、ビニールのカーテン越しにボディーが浮かぶのが嬉しい。ビニールにオッパイをムギュッと押しつけるうえに、ベッドへくるときのＴバックがかわいい。ただ顔が正面からみえていないから、吹き替えじゃないの、との疑惑が残る。
　意外にもクリセルダは脱いでいない。
　また最初にＢＯＭＢＡの楽屋にビキニでいるダンサーたちと、ピアールのあとに風呂に入りながら泡で胸を隠して踊るショーを披露しているダンサーと、ラストにステージで踊っているダンサーたちは、おそらく本物のＧ．Ｒ．Ｏ．だろう。
　なお映画館のドアのショットで『ＭＡＳＡＲＡＰ　ＨＡＢＡＮＧ　ＭＡＩＮＩＴ』や『ＡＮＧ　ＧＵＳＴＯ　ＫＯ　ＳＡ　ＬＡＬＡＫＩ…』のポスターが貼ってあるのがみえるが、調べてみたらいずれもスターライト・フィルムズの作品だった。