ＡＬＹＡＳ　ＢＩＧ　ＴＩＭＥ
（人呼んでビッグ・タイム）
　
99年：リーガル・エンターテンメント
監督：ポン・メルカド
主演：ゾーレン・レガスピ
　　　 アナ・カプリ
　　　 ヴィア・ヴェロソ
　　　 ブランドン・ラミレス
　　　 ディンド・アロヨ
　　　 ディンキー・ドゥー・ジュニア
　　　 ランド・アルマンソル
　　　 ジョアンヌ・ヘルナンデス
　　　 アーチー・ヴェントサ
　 覆面強盗のアクション・シーンがトップにあって、ゾーレン・レガスピ演じる仲間の一人が、そのあと貧民街でお金を配っているエピソードが置かれる。これは義賊の物語なんだなと予想するも、信心深くて神に救いを求める人物として描かれているから、じゃあ“汝盗むなかれ”の教えにそむいているんじゃないのと思えてくる。まあ、そのあとの展開で“汝殺すなかれ” も“汝姦淫するなかれ”も破るのだから、映画が成立しなくなるような基本的指摘はするまい。でもタバコをプカプカふかしまくる主人公は個人的に共感できる人物ではなく、話に乗れないから、映画がつまらないものになった点は残念だ。
　とはいえセクシー女優が魅力をたっぷりと発揮してくれれば、楽しめる要素があることは確か。共演者であるヴィア・ヴェロソとアナ・カプリのどちらが好みかと問われれば、それはヴィアのほうで、恋人役の彼女はしっかりとベッド・シーンを繰り広げる。スベスベした肌の乳房をゾーレンにもまれ、やや乳白色のツンとした乳首をなめられ、すごく気持ちよさそう。目はしばらく点になるも、横から二人の上半身を撮ったカットのつなぎばかりで、ポン・メルカド監督のセンスのなさにがっかり。
　アナは危ないところをゾーレンに救われ、彼に恋するようになった金持ちの令嬢という役柄。二人でプールへ行くシーンでのワンピース水着、自宅のプールでの陰毛がはみだしそうなハイレグ水着にセクシーさを強調ながら、ここも挑発するような撮りかたをしていないから、もっとイメージ・ヴィデオとかを勉強してくれよと不満タラタラ。ただ風呂の中での愛撫シーンでは、バックからゾーレンにもまれる乳房が迫力ものだし、真上から撮ったカットで濡れたアナの肌が輝いていることもあって、やればできるじゃないのという感じ。このあとのカー・セックスでは、乳首を十分にながめさせるのは嬉しいも、またアイディアがなくなってしまうので、セクシー描写は不得意なのか。ポン監督は『Ｋａｒｇａｄｏ』などをみる限り、ハダカの表現はうまいはずだが…
　物語は病気で苦しむジョアンヌ・ヘルナンデス演じるヴィアの妹が入院したことなどあって、アナの協力で狂言誘拐を実行の展開に。ゾーレンの仲間たちは根っからの悪で、ゾーレンとは一触即発の関係なことだし、アナが無事にすむわけないのは容易に予想がつく。悪どもに輪姦され、ここはせっかくアナが全裸になって熱演しているのに、男どもの描きかたがまったくのマンガ。どいつもこいつも三こすり半でアハーンと射精していくのだから、残忍さというよりは笑いが起きる。バカバカし…
　リンチに合ったゾーレンが復活でアナを救出するところでは、ボロ布になったワンピースを着るものの、それでもアナはオッパイもお尻も丸だしで、文句なしに満足をくれる。この点は拍手ものである。
　それにしてもゾーレン演じる主人公の通称である“ビッグ・タイム”がタブロイド紙の一面トップをかざり、いち犯罪者のことがフィリピンではそんなに有名になるのとの疑問がわいてくる。アナが殺され、かつての仲間からも警察からも追われるハメになったゾーレンが、堂々とジョアンヌの入院する病院へ現れるあたりは納得のいく展開。でも追っ手がそこまで迫ってきているのに、墓場へ隠したカネを堀だしに行くのは、そんなのやっつけてからゆっくりと掘ればいいわけで、バカじゃないのとのあきれを招く。結局、仲間は全滅させるも、教会からでたところを警察に撃たれるわけで、十戒をいくつも破った罪は清算しなさいということか。
　カトリック国のフィリピンらしい犯罪映画かもしれない。