ＡＬＹＡＳ　ＢＡＴＭＡＮ　ＥＮ　ＲＯＢＩＮ
（人呼んでバットマンとロビン）
　
93年：リーガル・フィルムズ
監督：トニー・Ｙ・レイエス
主演：ジョーイ・デ・レオン
　　　 レネ・レキエスタス
　　　 ドーン・スルエタ
　　　 ヴィーナ・モラレス
　　　 ケンペー・デ・レオン
　　　 パンチト
　　　 アルミラ・ムーラック
　　　 チンキー・タン
　　　 カティー・モラ
　ＴＶシリーズの『バットマン』の音楽が流れてきて、ティム・バートンの映画版のパロディーではないようだ。というかバカバカしいコメディーの構成から、さしてオリジナリティーを気にしないあたりがフィリピンっぽい。
　ケンペー・デ・レオン演じる学生が水泳大会に優勝するスポーツマンで、ヴィーナ・モラレス演じる女子生徒がケンペーに好意を抱いている。レネ・レキエスタス演じる同級生がヴィーナにフラれてくさったあと、パンチト演じる叔父がでてきて「天才的な犯罪を実行しよう」と誘う。レネがジョーカー、パンチトがペンギンになって銀行強盗を繰り広げ、アルミラ・ムーラック演じるキャット・ウーマンなどを仲間に入れる。これに対抗すべくケンペーがジョーイ・デ・レオン演じる兄に「バットマンとロビンを始めよう」とうながすものの、ジョーイが嫌がる。でもケンペーがチンキー・タン演じる友人に衣装とバット・モービルの制作を頼んで準備をすすめ、完成した基地をみてジョーイがやる気を起こす。バットマンの活躍にドーン・スルエタ演じる記者が興味を示してインタビューを申しこみ、ジョーイがドーンにホレる。バットマンVSジョーカーでペンギンとキャット・ウーマンがつかまり、ジョーカーのヘリコプターでペンギンが脱獄。ドーンにほれたジョーイが「バットマンをやめる」といいだし、ケンペーが一人で悪党退治に「バットマンはどこ」との報道が伝わる。ジョーカーにケンペーが撃たれ、ドーンがさらわれたのでジョーイがバットマンに復帰でジョーカーを襲い、病院を抜けでたケンペーもかけつけてジョーカーとペンギンをつかまえる。留置場のトイレを掘って下水道からジョーカーとペンギンが逃れてニセのバットマンとロビンで悪事をはたらいたので、ジョーイとケンペーが再度やっつける。
　ミュージカル仕立てでジョーカーの強盗に銀行員たちまで踊るのがフィリピン・タッチなら、ビーチ・ボーイズのようなサウンドでジョーイがエクササイズに励むのが六十年代のアメリカを理想とするフィリピン社会の現われのように思えてくる。ケンペーとヴィーナのデュエットは、いわゆるアメリカンな調べを下敷きにおくフィリピンのラヴ・ソングといえる。ラストでドーンがワンダー・ウーマンに変わり、全員でダンスのエンド・クレジットにスーパーマンや小人のスパイダーマンがいて、まったくフィリピンにおけるアメリカン・コミックの人気にあきれるばかり。バットマンの基地へ目隠しをせずにジョーイがドーンを連れてくるところや、ヴィーナがロビンに恋したと知ってケンペーが「ボクがロビンだよ」とバラすと、ヴィーナが信じないのでロビンの衣装をみせ、子どもたちがみんなロビンのかっこうで遊んでいてやっぱり信用してもらえないあたりに秘密を守ることの不可能なフィリピン気質がうかがえる。ドーンがかけているメガネをジョーイがはずし「美人じゃないか」というのに、メガネ＝ブスのフィリピン人の判断センスがにじむ。ハリボテのバットマン基地のチャチさは、Ｃ級の場末感。などのおもしろい点を含むながら、しょせんは猿マネのレヴェルだし、ほとんど笑えないのがつらい。
　まあ、大好きなドーンがワンダー・ウーマンに扮すると聞いて、あの美人のドーンがセクシーなワンダー・ウーマンに！　なんて驚きのときめきからみた映画。まずはアルミナのキャット・ウーマンがぞくぞくとそそる。青い全身レオタードがイマイチかなと思っていると、二回目の登場は薄いゴールドの光沢レオタードだからセクシーさにウハウハ。バットマンとの対決でマントがまくれ、肌色のタイツをはいた太腿がたまらない。ドーンのワンダー・ウーマンはほんの少ししかでてこないので、もっとみたいよー、との不満を残すとはいえ、ほかに歓喜のきわみのごとき見せ場が用意してある。ジョーイが「ここからは夢のシークェンスだよ」とウトウト眠りにおちてプールへ舞台が移り、水からあがってビキニが濡れた女性や、プール・サイドに寝そべるワンピースの女性など数名の水着ギャルが画面にフェロモンを放つ。ビキニのドーンが歩いてきてプールへ飛びこみ、水面を泳ぐのにつながって、完全に悩殺状態へ陥る。なんとザバッと立ちあがり、ドーンのボディーにビキニが貼りついているではないか。ヘソの下まである大きめのパンティーだが、ハイレグの股間にカッカ興奮。しかもプール・サイドに座るとき、ペタッとパンティーがくっつくお尻を突きだす。悪漢たちがやってきてケンカをうると、反論するドーンのブラにくるまれた小さなバストがはっきりわかり、なんて美乳なのとブラをはぎとりたくなる。そうしたら悪漢ともめて格闘でプロポーションを明らかに暴れ、本当にブラをはぎとられるからたまらない。すぐに木陰へ隠れるので乳首はみえないものの、下半身への刺激が必至。そのうえジョーイが助けにきて、ジョーイのマスクとブラをつけ間違える。夢が終わってジョーイが家へ訪ねてくるシーンでのガウンをはおったスリップ下着も素晴らしく、ドーン最高。
　アホらしい内容なんてどこへやら、ドーンの魅力で至福の満足感に浸れた一編だった。