（慰みの奴隷）
98年：ＥＤＬプロダクションズ／ＧＬＯ−アン・フィルムズ
監督：デオ・Ｊ・ファハルド・ジュニア
主演：ジア・フロレス
サブリナ・Ｍ
アヤ・メデル
ロイ・ロドリゴ
レオ・ラバゴ
リズ・アリンドガン
アラン・パウレ
テレサ・ロイサガ
マギー・デラ・リヴァ
ロマノ・ヴァスケス
ジェム・カスティーリオ
ジョルダン・カスティーリオ
バンジョー・ロメロ
転落ものである。若い女性が転落するとなると、性を売るしかないわけで、まあ、いつもながらの展開に、新しさはとくにうかがえない。
物語はルソン中部の町にテレサ・ロイサガ扮するＴＶスターが帰ってくるところから始まる。リザル（リズ）・アリンドガン扮するテレサの家に住みこむ女性にジア・フロレス扮する娘がいて、テレサにあこがれを抱く。ジアはまだ子どもっぽいなあ、との印象だが、鏡の前でテレサの化粧をまねるシーンでシャツを脱ぐと、黒いキャミソールになり、胸の谷間をチラチラッ。えっ、まさかこんな娘が… ダメだよ、そんなことしちゃ、とドキドキをくれる。
学校ではプリンセスに選ばれるも、ダナ・カブレラ演じる不満を持つ同級生とケンカに発展。実際にプリンセスだった娘が知り合いにいるが、性格がイマイチで… とそんな余談はどうでもいい。
ロマノ・ヴァスケス扮するボーイ・フレンドに処女を奪われるとき、脱がされてまた下着姿がチラリみえるものの、セックス・シーンは痛がる顔のアップで肌の露出がなく、ちょっとかわいいと感じていたのに、鼻の形が平面的で、横顔もたいしたことないなあとバレてしまう。でもまだ十分に、ときめきは抱かせるが…
マギー・デラ・リヴァ扮するロマノの母から交際を禁止されるだけでなく、貧しさなどの非難をうけ、テレサのようになる夢を追ってマニラへと家出する。さっそく夜間に強盗にあうのだが、通りかかった運転手に助けられる。この運転手を演じるのはゲスト出演のルストム・パディーリアで、他にも全編にゲストが顔をだし、誰のコネでこんなにそろえたのだろうか。
マニラで若い家出娘が生きていくには他に選択肢がないといえ、お決まりのダンサーに。ケソンの店につとめると、腕に刺青まで入れ、一気にスレたことがわかる。黒いビキニの下着で踊るジアが登場するや、オイオイオイオイオイ、あんなにウブだった娘が… と本当に信じられない気持ちがわきあがる。いくら映画なれど、こんな姿、みせていいわけー。
物語の主人公のシチュエーションより、ジアという女優の魅力にハラハラドキドキ。
母がマニラへ探しにきて、テレサの協力でラジオ局へ行くシーンでは、本人の役でパーソナリティーのインダイ・バディダイがゲスト出演する。
このあとジアが踊る店にロマノがウェイターとなって再会の展開は、偶然にしてもデキすぎだが、ロマノが気づいてハッと息をのむステージでは腰のひねりもセクシーに変わり、ジアの踊りはブラをはずすんじゃないか、との挑発ぶり。ダメダメ、やめてやめて、そんなそんな、と意外な大胆さに思わずオロオロ。こんなにも鼻息が荒く、頭の中が真っ白のパーまで興奮をくれる映画は、そうそうない。一緒に踊っているダンサーには、実際にブラをとって乳首をチラつかせる者がいる。
ロマノの告白をはねのけ、ジェム・カスティーリオ扮する仲間のダンサーとブラやキャミソールで部屋や楽屋を動きまわる姿は、もはやプロの売春婦のそれである。新人ながら、ジアはけっこううまいではないか。
そして母と再会をはたすものの、カネをあげて追いかえすあたりに変化の怖さをうかがわせたあと、ジアはステージで紐パンティーの黒いビキニ下着でクールに踊りをくり広げる。まさか、まさか、ここでブラをはずしちゃうわけ、と期待と不安を入りまじらせながらみていると、ブラの肩紐を下にズラせ、ああ、やっぱり脱ぐんだ、どうしよう、どうしよう。
背中を向けるや、小さな布切れ一枚に隠されたお尻のラインがキュートな動き。ブラがとられ、小さくてかわいい乳房だろうなあと予感したものの、いざ本当に目の前に広がったら狂っちゃうかもしれないぞ。なんて妄想がかけめぐるまでもなく、横向きになったときに一瞬、乳首が… キャーッ、みえちゃった、みえちゃった。ツンとすました乳首が、ウワー、ウワー、ウワー、と我を失わんばかりにとり乱すも、ノー・ブラで正面を向いて小ぶりの乳房を手で隠す。
それ以上に露出を重ねたらショック死しちゃいそう、ともう心臓がはり裂けんばかりなのに、ジアは体のポーズを前かがみにとり、下にフレーム・アウトのちょっと前に手をはずしたではないか。チチチチチチ乳首が…
いや本当に、ここまでカッカ燃えさせてくれる映画は、そうそうあまり知らない。演出や脚本はどうでもよく、ジア・フロレスという女優の魅力だが。それもこれ一作のみで、次からはたいして興味を持てないだろうから、一回限りのときめきだが。
ロマノの愛を受け入れようと決め、ホテルへ行ったものの、ジョルダン・カスティーリオ演じる店の支配人の嫉妬をかい、帰りに待ち伏せにあってロマノが殺されてしまう。ジアは覚醒剤におぼれ、ひょっとして陰毛がスケてるのと思わせる白い下着でガンガンに踊っているとき、ステージで倒れる。
踊れなくなったため、今後は置屋に身をおく生活に変わり、このときＴＶホスト役でオギー・ディアスとリチャード・ピンラクがゲスト出演し、ジアがまだＴＶでスターになることをあきらめていないのがわかる。
置屋でアラン・パウレ扮する客の指名に、マリヴィク・フランシスコ扮するママが「16歳よ」というが、あとで自分で「19歳」と答えるシーンがあり、一体いくつなのだろうか。
アランとホテルヘ入るや、刺青に「こんなのはきれいじゃない」と非難をうける台詞が聞かれるが、まったくの共感。ブラをはずされ、バックでセックスをはじめ、控えめなカメラ・アングルながら、またまたかわいい乳首が下のほうにみえている。さすがにもう心臓のバクバク感はないものの、目はひらすら点になる。
さらには８０００ペソの報酬でライヴ・ショーのトレラに。なんと全裸でセックスだが、ここはみたい部分をみえなくした撮りかたのため、完全にもう欲がでていて、全裸もきちんとおがんでみたかったなあ、との不満が残る。
ショーの会場へ向かうシーンでは、タクシー・ドライヴァー役でゲスト出演のデニス・パディーリアが「うー、美人。じゃぱゆきになれば…」みたいなことをしゃべり、ちょっと興味深い。
結局、アランの「愛してる」の言葉を真にうけてホテルへ行くと、そこには三人の仲間が待ちかまえ、服を脱がされて黒い下着姿にむかれるや、なぶりもの状態で、最後は暴行へ発展。傷だらけの顔で警察へ駆けこむも、大物スターのゲストであるリト・ラピッドの刑事から逮捕はむつかしいといわれ、定石パターンのごとく教会で祈って目が覚め、田舎へ帰ることを決める。
こうして転落ドラマは終わり、あとはあまりにもバカバカしく、本気でつくったのか、と疑りたくなるラスト・シーンが待っている。帰ってみるや母が死んでいて、ちょうど葬式の最中。テレサになぐさめられ、ロマノの母も改心でやさしさを示し、大団円を迎える。突然、母の愛をたたえるドラマティックな歌が流れだし、これでもかと盛りあげて幕。
アホらし。
いやはや、どうしようもなく低級な映画じゃないか、とあきれを通り越すのみ。デオ・Ｊ・ファハルド・ジュニア監督に真意を問いただしたいレヴェル。
でも興奮をくれる一編だったなあ。
もう一つオマケがあって、ストーリー的にはまったく不要なのだが、セクシー・スターのサブリナ・Ｍとアヤ・メデルのエピソードが挿入される。二人は田舎でジアをマニラへ誘うシーンで登場し、偶然にもマニラで再会のときは、それぞれロイ・ロドリゴとレオ・ラバゴ扮する恋人がいる。４人はデートでプールへ行き、サブリナがライト・ブラウン、アヤが黒いビキニ姿の披露をくれる。とくにアヤは美人なうえ、ナイス・ボディーだから、濡れて貼りついた水着がつくる曲線がなめたいほどの誘惑。そのあとのセックス・シーンでもアヤの立位で背中やお尻をなめられるあたりが、よだれダラダラもの。
アヤとサブリナは直接マニラへくる原因となった悲しい（というかバカバカしい）思い出を話し、ここもノノン・タルボ扮する義理の父に襲われ、母がノノンの殺害におよんだアヤの部分の再現が素晴らしすぎる。浴室で体を洗うときに石鹸をぬり、また水で流して濡れたアヤの乳房がバッチリ全開。みごとな美乳に全欲望が吸いこまれそうなドキドキ状態をまねき、お尻丸みえにバス・タオルで体をふく姿をノノンがのぞき見する。美の象徴のごとくみごとな割れかたのお尻だけに触りたくなるのは当然で、バス・タオルで体をくるんだアヤに無理やり抱きつくや、抵抗であらがうアヤからタオルがはずれ、全裸で逃げる。ああああ、満足、満足。こんなに無防備にみせまくり、もったいなさすぎる。
サブリナも服をビリビリビリと裂かれて下着姿もあらわに、レイプ寸前で相手を殺した再現があるが、アヤに比べるとイマイチなのはしかたないだろう。
ほとんど進行的には余計なエピソードなものの、あくまでサーヴィスだし、素直に感謝で楽しもう。
アヤって、あらためてイイ女だなあ、と実感。
この付録もあわせ、真剣に批評するだけ労力の無駄な内容ながら、全身にけいれんが走りそうなくらいに血が激流とたぎった作品だった。
