ＡＬＥＧＡ　ＧＡＮＧ
ＰＵＢＬＩＣ　ＥＮＥＭＹ　ＮＯ．１　ＯＦ　ＣＥＢＵ
　
88年：ＲＮＢフィルムズ・プロダクション
監督：ペペ・マルコス
主演：ラモン・“ボン”・レヴィーリア・ジュニア
　　　 プリンセス・プンサラン
　　　 ベヴァリー・ヴェルヘル
　　　 ペルラ・バウティスタ
　　　 パキト・ディアス
　　　 ザンドロ・ザモラ
　　　 ボンバー・モラン
　　　 バルド・マーロ
　　　 ロンメル・ヴァルデス
　　　 ジョセフ・デ・コルドヴァ
　　　 ロビン・パディーリア
　　　 ロネル・ヴィクトル
　　　 ジョン・ヘルナンデス
　　　 ビン・ダヴァオ
　　　 キング・グチェレス
　　　 Ｅ・Ｒ・エヘルシト（ジョージ・エストレガン・ジュニア）
　　　 エドウィン・レイエス
　　　 ボビー・ショルナック
　　　 アライン・ジェーソン・バウティスタ
　　　 マーク・アルヴィン・バウティスタ
　実在のギャング（フィリピンふうにはガング）をラモン・“ボン”・レヴィーリア・ジュニアが演じる作品。
　１９８５年、よき息子、よき夫、よき父親として暮らしていたジプニー運転手の主人公が、警官の理不尽な言いがかりで免許をとりあげられて人生が変わる。ビン・ダヴァオ演じる友人といればボンバー・モランやダニー・ラブラ演じる暴漢にからまれ、レネ・ホーキンスやダニー・リエル演じるボンバーの手下の仲裁でコトなきをえるも、気持ちがおさまらない。キング・グチェレス演じる仲間と一緒にエドウィン・レイエス演じる知り合いからロビン・パディーリア演じる不良の紹介をうけて意気投合。映画館でボンバーともめてザンドロ・ザモラなどが演じる警察につかまり、拷問のうえにオシッコをかけられる屈辱でキレる。釈放後にバルド・マーロ演じる先輩から銃をもらい、ロビンたちと犯罪グループを結成。ビリヤード場でボンバーを襲って殺し、キングが警官を狙って銃を奪い、武器を増やすと、スーパーや質屋で強盗をかさねる。一方で幼い息子をかわいがるのは相変わらずだが、生活苦でバーへ働きにでたベヴァリー・ヴェルヘル演じる妻にセクハラの客をボコボコに殴る。ジプニー運転手を続けていたビンにショバ代を請求した男たちを成敗で、ビンがグループに加わり、男たちはパキト・ディアス演じるバランガイ長に訴える。ボンがバランガイ・ホールに機関銃をぶっ放し、パキトがボンの家にきて赤ん坊の息子に銃口をつきつけてベヴァリーを脅したので、バランガイでパキトの演説の会場へ乗りこみ、ズドンと射殺。免許をとりあげた交通警官も殺し、リーダーのボンの名前からアレガ・ガングと名づけられたグループの悪名がラジオ・ニュースなどを通して一気にとどろく。でもジョーイ・パディーリア演じる捜査員の情報でザンドロたちが襲い、ロビンやビン、ジョン・ヘルナンデス演じるメンバーとつかまっていく。
　映画はキングとともにボンが逮捕される１９８６年11月２日から場所や時間もついた字幕を加え、実録色を強める。うんこの入った便器に顔をつけられる制裁のあと、刑務所でロビンたちと再会。見とり図を描くなど、脱獄計画をねる。１９８７年６月14日にバルドの協力で脱獄に成功。15日に車を盗み、16 日に強盗殺人を実行。17日にはペルラ・バウティスタ演じる母やプリンセス・プンサラン演じる妹といった家族に会う。18日の午前12時30分にジョージ・エストレガン・ジュニア（Ｅ・Ｒ・エヘルシトとクレジットされている）演じる一緒に脱獄したメンバーが引ったくりでつかまり、18日の午後１時30分、ラバンゴン地区。ジョージの密告で警官隊の来襲にあい、ボンが撃たれる。
　囚人が飛び越えて逃げたり、バルドが拳銃を投げ入れる刑務所の塀が低いあたり、ホントかいなとの疑問がわくも、実録だと考えるとはたしてどうなのか。バルドが服役中のボンに電話をかけ、看守が相手も聞かずにとりつぐのもウソっぽい。脱獄後にボンが家族のもとへきているのに、警察が張っていないマヌケさは、なにをかいわんや。つい失笑を誘って、ホセ・Ｎ・カレオンの脚本が甘いなら、ペペ・マルコスの演出にしまり不足を感じる。
　ボンに共感が起きないのが最大の短所で、犯罪者をヒーローにおく作劇の難しさを再確認した次第。
　なおボンに交通警官が撃たれるとき、またも理不尽なとりしまりの犠牲にあって免許を失いそうな女性ドライヴァーを演じるのはヴィヴィアン・フォスのようだが、はっきりとはわからない。