ＡＬＡＢＯＫ　ＳＡ　ＵＬＡＰ
（霧の中の塵）
　
87年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：レロイ・サルヴァドル
主演：ディーナ・ボネヴィー
　　　 グロリア・ロメロ
　　　 ディンド・フェルナンド
　　　 ピンキー・デ・レオン
　　　 エドゥ・マンザノ
　　　 トントン・グチェレス
　　　 ライカ・ウガルテ
　　　 ジャクリン・ホセ
　　　 ジョベル・サルヴァドル
　ディーナ・ボネヴィーがダンサー役にチャレンジした作品で、その魅力の爆発たるや、ファンとして歓喜のきわみ。
　内容的にはフィリピン映画にありがちな、通俗フィクションになっている。ネリッサ・Ｇ・カブラルのＴＳＳコミクスによるストーリーをオルランド・ナドレスの脚色、レロイ・サルヴァドルの演出によるコンビだから、たいがいは想像がつくというもの。
　トントン・グチェレス演じる青年がエドゥ・マンザノ演じる親友をディーナが踊る店へ案内し、ディーナのステージをみてエドゥがイカれる。トントンがディーナを好きなのにも気がつかず、猛烈にアタック。当初はガードのかたかったディーナだが、エドゥの本気さにうたれ、恋人関係に。でもグロリア・ロメロ演じるエドゥの母とピンキー・デ・レオン演じる姉は頭からディーナを財産狙いと決めつけ、意地悪く傷つける。エドゥは密かにディーナを囲うも、グロリアとピンキーはアメリカから帰国したライカ・ウガルテ演じる娘をエドゥに紹介。思惑どおりにエドゥがライカに引かれ、ディーナを避けて悲しませる。ついにライカとの結婚でトントンがエドゥを非難し、二人は絶好する。ダンサーに戻ったディーナは、たまたまピンキーとケンカしたディンド・フェルナンド演じる夫が店にきたので、ディンドを誘惑することによって復讐を開始。今度はディンドがディーナを囲う。トントンはジョベル・サルヴァドル演じる画家の恋人ができるも、ディーナを忘れられず、やり直しを申しでると、ディーナが拒絶。ジョベルに求婚する。
　うなされたエドゥがディーナの名前を口にし、ライカとケンカ状態で運転中にもめ、交通事故を起こす。ライカが亡くなり、瀕死のエドゥは最後に「ひと目、ディーナに会いたい」という。グロリアが頭をさげて頼み、ディンドの自立でピンキーの結婚が崩壊。みごとディーナの復讐が成功するながら、ディーナにもむなしさが残る。
　ジョベルの理解でトントンが婚約を解消。三度ダンサーに戻ったディーナのところへ告白にくるストーリー。
　くだらないながらもグロリアとピンキーがディーナを陰湿に責めて殴り、ディンドをとりこにしたディーナが、今度はピンキーをけ散らすなど、女の戦いにけっこう迫力が盛りあがる。エドゥが死んでもまったく無表情のディーナが陰で泣く気持ちも、そこそこ伝わってくる。顔にアザのできる強さでエドゥがディーナをビンタしたり、生活費だと札束をディーナのベッドに投げるなど、しょうもなさをたくみに表現。かたくなだったディーナがトントンの愛を受けいれるラストで、道路の真ん中へでて交通妨害したのに、キスで結ばれると運転手までみんなが拍手で祝福を送る雰囲気もよく、バカにするばかりではない。
　クラブの入り口にディーナの名前の垂れ幕がかかって人気をうかがわせるほか、トントンがエドゥに「ダンサーでホステスじゃない」と説明してテーブルへ呼べないことを教えたり、トントンがジョベルと出会うパーティーでラミル・ロドリゲス演じるジョベルの父といった上流階級のものが英語で会話していたり、エドゥが用意した郊外の家でトントンが世話するとき、ディーナが「日本へ行く生きかたもある」といっていたり、環境的興味もにじむ。
　ディンドがディーナに白紙小切手をわたし、これが鍵になると予感したところ、あっさり返すのは意外だったかな。
　とにかく最初にもふれたが、ドラマがどうしたよりも、ディーナのセクシーさにすべてが尽きる。冒頭のタイトル・バックでいきなり身体を浴室で洗い、薄いすりガラス越しにパンティー一枚のうしろ姿をみせる。濡れてパンティーがピタッと貼りつき、ほぼお尻の形がくっきり状態。クレジットの文字がお尻のあたりにダブるのがジャマでしょうがない。前かがみの姿勢ではプラプラゆれるオッパイも明らかになり、早くも悩殺。一回目のステージは黒いパンティーがお尻にフィットした衣装でダイナミックに踊り、お尻をクネらせるアップまであるから、もうイキそう。エドゥとデートの海では浅瀬で戯れるのをとらえるカメラが遠く、引きの絵が不満ながら、ビーチに座ったワンピース水着の股間がそそる。やってくれるのはディンドにアピールする三回目のステージで、布ブラと超ミニスカに紐ショールをたらして現われ、ミニスカからパンティーがチラつく。紐をどんどんとっていくと、ひょっとしてミニスカを脱ぐのかなあとの期待がグイグイ高まり、興奮を抑えきれない頂点に、ミニスカをパラリとはずして完全に下着姿。パンティーがお尻のラインを浮きあがらせると、ああ、もうダメ。
　ディーナに降参。
　トントンとハッピー・エンドの最後にあるステージは光沢ビキニが好みの水着なうえ、ふわっと開いたスカートの飾りでパンティーは前面しか見えないも、三角ブラの胸元が圧倒的に素晴らしい。ホント、大きすぎず、小さすぎず、ちょうどいい美乳とは、まさにこのこと。乳首さえ確認できれば、きっと理想に違いない。
　ほかにも女優の誘惑を含み、ディーナの親友を演じるジャクリン・ホセが同じくダンサーの設定。お腹のあたりがシー・スルーでヘソのスケたボディー・スーツが色っぽい。ディーナなどと一緒に六名で顔みせする二回目のステージがディーナともども露出たらずなのと、ディーナのデートにつき合う海岸で赤いワンピース水着なのに、腰をおろしているのみがイマイチ。ジョベルはプール・サイドで光沢ワンピース水着の披露にウハウハをくれる。立ちあがったうしろ姿でお尻にキュッと食いこみ、ジョベルがかわいいことにプラスし、お尻を半分しかおおっていない大胆なハイレグ・タイプだけに、鼻血がでそう。ライカはエドゥとパグサンハンの滝や木彫り工芸品の店を訪ねる観光シーンの中で水着になるも、ピチピチのワンピースでかえって太めが明らか。アップのショットでボトムにタオルを巻いているのが惜しいとはいえ、ブスっぽいし、まあいいか。ピンキーは全身豹柄のピタパンでプロポーションをバッチリにし、一応、大人の色気はでたようだ。
　いやはや、ジョベルのオマケが嬉しいながら、もうディーナのパワーだけで１２０％満足。これを傑作と呼ばずに何としよう。
　ディーナにキス。