ＡＫＯ　ＡＮＧ　ＫＡＴＡＲＵＮＧＡＮ
ＬＴ．ＮＡＰＯＬＥＯＮ　Ｍ．ＧＵＥＶＡＲＲＡ
（私が正義　ナポレオン・Ｍ・ゲヴァラ警部補）
　
(94)年：セイコ・フィルムズ
監督：ペペ・マルコス
主演：ラモン・“ボン”・レヴィーリア・ジュニア
　　　 グレッチェン・バレート
　　　 マット・ラニーリオ・３世
　　　 シャーメイン・アルナイス
　　　 キング・グチェレス
　なんてことないＢ級アクションだが、地方の生活風習的要素に面白さがある。
　セブでのシンジケートの会合現場を、警察隊が襲撃するのがきっかけ。ラモン・“ボン”・レヴィーリア・ジュニア演じる警官がエルニー・サラテ演じる幹部を逮捕し、レス・コルテス演じる同僚と一緒にマニラへ護送する。でもキング・グチェレス演じる組織からの差しがねに奪われ、独自に捜査を開始。
　とにかくロルダン・アキノ演じるマニラの所長がワルとつるんでいるとすぐに想像がつくのは、ちょっとわかりやすすぎるものの、あやしく登場したザンドロ・ザモラ演じるマニラの警官が正義側だったとの構成は、まずまず練った感じ（脚本はリッキー・リー）。ストーリーの根幹はマット・ラニーリオ・３世演じるボスがエルニーを殺し、アメリカからグレッチェン・バレート演じるエルニーの娘が帰還。父を殺した原因はラモンだと冷たく接するも、エルニーが奪った組織の資金のありかをグレッチェンが知っていると推測したマット一味が襲ってくる。反目しながらもラモンがグレッチェンをガードし、嫌い合っていた二人の間に愛が芽ばえるというもので、いかにもありがち。
　興味の焦点はラモンが身を隠すためにグレッチェンを連れて、カマリネス・スールの実家へ移ってからにつきる。
　ペルラ・バウティスタ演じる叔母の家に滞在するのだが、ここでの生活描写がなんとイキイキしていることか。軒先でよくわからない植物を裂いて、ヘンな道具をつくっていたり、料理が辛かったり。最初はお高い性格ブスだったグレッチェンがだんだんとやさしさになじんできて、ブタにエサをやるなど家事を手伝っていく描写が実にほのぼのとした雰囲気を醸しだす。
　それだけにマット一味が襲ってきて、ペルラなど家族を皆殺しにするクライマックスの残酷さはいただけない。あまりの大人数に、いくらなんでもラモンは逃げきれるわけないだろうと思わせるのに、しっかり全滅へと追いこむご都合主義は、どう考えても無理というもの。モーターボートの追跡で敵をやっつけた直後に今度はヘリコプターが現われるアクションのつなぎも、ヘタだなあと声がでそう。
　まあ、いいかたは悪いが、しょせんＢ級ね、という印象か。
　女優の魅力だと、グレッチェンが村の中をヘソだしルックで歩いて住民たちを唖然とさせ、ラモンがあわててとめるシーンで色っぽいところを示す。今にもハミチチになりそうなシャツが、ホント挑発的。さらにラモンとカヌーでデートするときに海の中へひっくり返って全身が濡れたり、滝のある沼で白いシャツのまま泳ぐなど、悩殺ものの設定が用意されているのだが、ついにスケた乳首がみえないで終わり。たいして美人じゃないとはいえ、そそるタイプの女優だけに、やや期待通りとはいかなかった点が惜しい。
　ラモンの恋人役として大ファンのシャーメイン・アルナイスが出演しているのは、本来この映画をみた一番の目的。ホテルでラモンと会うときにバス・タオル一枚になるも、セックスの際に露出を抑えているのが不満。マットにつかまってラモンの隠れ場所を吐かされるシーンでも、背中に紐のあるワンピースの衣装がゾクゾクさせる誘惑なのに、脱がないまま殺されてガクーッ。
　セクシーさをつかいきっていないあたりも、マイナスの一因だった。