“ＡＫＩＮ　ＡＮＧ　ＩＹＯＮＧ　ＤＡＮＧＡＬ”
（オレをキミの誇りに）
　
96年：サンライズ・フィルムズ
監督：ポーク・Ｖ・バウティスタ、フランシス・“ジュン”・ポサダス
主演：シーラ・イズラエル
　　　 ダニエル・フェルナンド
　　　 サブリナ・Ｍ
　　　 ジョージ・エストレガン（ジュニア）
　　　 チャロ・ラウデ
　　　 ヘロ・バウティスタ
　　　 フランシス・エンリケス
　　　 ツィン・トン・ツァイ
　　　 ベルティン・ラブラ
　　　 グロリア・セヴィーリア
　　　 ブッチ・バウティスタ
　映画失格って感じかな。
　バギオを舞台にとり、バギオ・フラワー・フェスティヴァルのでてくる冒頭が興味深い。
　主人公のカルド（ダニエル・フェルナンド）はヤクザふうの男（ヴィク・サントス）がリーダーのグループからスーツケースを奪い、依頼主のエーライ氏（フレディー・エリス）にわたして謝礼をもらう、あやしい家業なのがわかる。スーツケースの持ち主のチト（ジョージ・エストレガン・ジュニア）が「大切な書類だ」とドジな部下たちを責めている。チトはビジネスの失敗でロサリオ氏（ブッチ・バウティスタ）を脅し、娘のオフェリア（シーラ・イズラエル）を差しだすように要求する。恋人のマリオ（フランシス・エンリケス）のいるオフェリアは当然のごとく拒み、テッサ（サブリナ・Ｍ）というセックス・フレンドを尻目にカルドもオフェリアにほれ、ストーカーのごとくつきまとう。テッサのカラオケ店ホステス時代の客がチトで、かつてテッサはチトに殴られて大金を強奪うえ、妹（ミシェル・メンドーサ）をレイプされた過去をもっている。またカルドには近所の娘のエルヴィー（チャロ・ラウデ）が好意をよせるとの人間関係。
　カルドとマリオのケンカや、酔ったカルドがチトの部下たちといざこざとありきたりに進めながら、ロサリオ氏がチトのもとへいけと娘のオフェリアに強制し、ロサリオ夫人（グロリア・セヴィーリア）がオフェリアをなぐさめる。ついにカルドがオフェリアを強姦で、今度はチトが百万ペソをロサリオ氏に払ってオフェリアをら致に、拘束現場を目撃のエルヴィーから連絡をうけたカルドがエルヴィーに礼をいい、友人のバヤニ（ヘロ・バウティスタ）とチン（ツィン・トン・ツァイ）とともに助けに向かう。
　途中でオフェリアがカルドとセックスの夢をみることで隠れた願望を秘めるごとき伏線をすえたとはいえ、カルドの強引さを嫌いまくり、強姦までされたわけで、チトのレイプを間一髪で救ってくれたかもしれないが、チトの殺害で逮捕を覚悟するも、罪を問われなかったカルドとオフェリアが結ばれるのは、さすがにご都合主義すぎる。ポーク・Ｖ・バウティスタとフランシス・“ジュン”・ポサダスの演出分担は定かでないが、ともに落第レヴェル。カルドとチトの吊り橋での対決など、せっかくの設定をいかせず、アクション描写もイマイチになる。そもそもヘルミニオ・“ブッチ”・バウティスタとアントニオ・Ｂ・パスクアの脚本がダメなのだろう。
　ツィン・トン・ツァイのクンフーは本物でも中途半端なあつかいで、チトのブルース・リーのマネは笑いを誘う。オフェリアがホテルのマネージャー（イヴリン・デラ・クルース）をインタビューは実在のサロメ・ホテルの宣伝タイアップに思え、50’バーとの店でサッチモの『ワット・ア・ワンダフル・ワールド』が流れるのにフィリピン人のアメリカ好きがうかがえる。
　女優の魅力が発揮されない点がマイナスの度合いをどっと高める。シーラ・イズラエルはカルドとセックスの夢でスリップがそそったが、風呂へ入るシーンで泡がお湯の表面をを完全におおい、チトの暴行でブラの露出どまり。サブリナ・Ｍはカルドとセックスで肌がみえず、これだとサブリナの出演の意味がない。ミシェル・メンドーサはミニスカからパンティーがのぞくのみ。意外とよかったのはチャロ・ラウデで、なかなかかわいく、チトの部下たちと立ち回りで傷ついたカルドを介抱のときのスリップが視線を引きつけ、オフェリアと勘違いのカルドが愛撫でスリップに乳首がこぼれそうなうえ、カルドが太腿をさわり、パンティーに手をのばす。でも大胆なオッパイのポロリを含まないわけで、満足にほど遠い。
　結局は一般的な映画の水準におよばす、失格やむなし、なんて評価に落ちつく。