Ａ．Ｂ．　ＮＯＲＭＡＬ　ＣＯＬＬＥＧＥ
ＴＯＤＯ　ＮＡ’ＹＡＮ！　ＫＵＬＡＮＧ　ＰＡ’ＹＵＮ！
（Ａ．Ｂ．普通科大学　もう全員いるぞ！　まだ足りないぞ！）
　
03年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：アル・タンタイ
主演：アンドルー・Ｅ
　　　 オギー・アルカシド
　　　 ルーファ・メエ・キント
　　　 マイキー・アロヨ
　　　 パトリシア・ハヴィエール
　　　 サルバクタ
　　　 ジェニー・ロセンダール
　　 　エリザベット・オロペッザ
　　　 クリスティン・ジャカ
　続けて読めば「アブ・ノーマル・カレッジ」を舞台に繰り広げられるドタバタ喜劇で、ラップのシンガー・ソングライターであるアンドルー・Ｅと、バラードのシンガー・ソングライターであるオギー・アルカシドの顔合わせ。ともに映画ではバツグンのコメディアンだから、パワフルなバカっぽさを期待する。
　アンドルー演じる田舎者、オギー演じる元教会の弟子に、別れた母を探すマイキー・アロヨ演じる青年の三名が、それぞれの事情で大学へ入学。アンドルーなど、およそ学力があるわけないのに、掃除夫兼任で許されるあたりがおかしいものの、ドン・ペポトとウィットニー・タイソン演じるアンドルーの両親がズッコケ不足で、冒頭はややイマイチかな。性欲を断ち切れないオギーが、クロイド・ロビンソン演じる神父からチンポに勃起するとチリチリンと鳴る鈴をつけられるエピソードは、ゲスト出演のクリスティン・ジャカによるテストの誘惑ダンスがウハウハ。ボディコンを脱いでブラとホット・パンツになったあと、ブラまではずしてみせるじゃないか。腕でオッパイを隠していてもフェロモンがムンムンで、こりゃ、勃起しないほうが不自然。クリスティンに投げキスを送りたい。
　あとでオギーの鈴は、授業中にルーファ・メエ・キント演じる教師のオッパイがこぼれそうな衣装の谷間を目にして勃起し、チリチリンでルーファが終了ベルと勘違いなど、ギャグのネタになっている。
　パトリシア・ハヴィエール演じる女学生も乳首がのぞく寸前のかっこうで現れてオギーが鈴を鳴らし、二人は恋仲へ。マイキーはルーファに引かれ、アンドルーはジェン・ロセンダール演じる赤ん坊を連れた未婚の母のクラス・メイトに恋するから、前半は三カップルのロマンスを主体に展開。ＶＩＶＡホット・ベーブスのメンバーでヌードになりまくるジェンにセクシーなシーンがないのは、けっこう不満な部分だと指摘したい。途中、セラスティナ・サラザール演じるよぼよぼの老女の教授が華麗な体操技を決めたり、パーティーを開けばノノイ・デ・グスマン演じる囚人といったヘンなゲストがくるなどのギャグを盛りこむものの、どちらかというとタルい印象であくびを誘う。
　同級生にラップ・グループのサルバクタや、ダンス・ユニットのジー・ガールズがいて、パーティー会場で歌と踊りを披露がファン・サーヴィス。オギーとルーファもヴォーカルに加わる『ＤＩ　ＫＡＲＡＰＡＴ　ＤＡＰＡＴ』という挿入歌のできが映画と同名の主題歌よりも上で、けっこう乗れる点がまずまず。
　ちなみにジー・ガールズは教室でチノ・パミントゥアン演じるハンサムな学生を誘惑や、アンドルーが掃除担当のトイレにいたずらの落書きをする低脳キャラで、黒いホット・パンツからヘソだしのファッションがゾクゾクと刺激。ジェニー・ソリマオ、サーク・コルテス、エリカ・ハヴィエール、エヤ・バラゴト、シーナ・ボンウェルの五名がいて、調べればさらにサブリナ・フェルナンデス、プリンセス・ボルハ、アンジェラ・ロルダン、ロレイン・マナロ、ジョビー・バウティスタがメンバーだから、全部で十名のようだ。ほとんどの集合写真は八名なので、構成のよくわからないあたりがセックスボン・ガールズに似ている。
　アホ大学のイメージ・アップをはかろうとカロイ・アルデ演じるオーナーなどが職員会議を開き、ＴＶの大学対抗クイズ番組への出場を決める後半が、グイグイ面白くなってくる。大学乗っ取りを狙うリコ・Ｊ・プーノとマンジョー・デル・ムンド演じる理事の指示でアレックス・ボラドやゴムス・ブルサ演じる敵側の学生がジャマをし、校内選定会でアンドルー、オギー、マイキーが代表になるいい加減さからパワーを発揮。四大学による一次予選で文学者のエフレン何とかの質問に「エフレン・バタ・レイエス」と答えたり、次々と間違い続けるも、ラッキー得点となる最後の一問だけでファイナルに進出の逆転劇が爆笑。だと「それまでの戦いは何だったんだ」というおマヌケさが日本のクイズ番組と共通じゃないか。
　中継会場へ向かうバスにアレックスたちが爆弾をしかけ、走りながら屋根でマイキーが解体作業を行うエピソードは、どのワイヤーを切るかの『ジャガーノート』もどきに、ホント、フィリピン映画は凝りもせず同じネタを何度も使うものよとあきれるも、これはオマケ程度の要素。
　いよいよ決勝戦が始まり「クウェートの首都はどこか」に、回答の意志を示す鈴を間違って鳴らして「音はしてない、静かだ（クワイト）」といったから「正解」となったり、「蒸気機関の発明者は誰か」に、また間違って鳴らすと質問を理解せずに「何だっけ（ワット）」ときいたから「正解」なんてダジャレの活用が笑わせてくれる。まさかの展開に「オイオイ、こりゃいかん」とマンジョーたちが鈴の電源ワイヤを切断し、いよいよラストの問題で答えがわかったのに、いくらボタンを押しても鈴が鳴らない。「どうしたんだ」「困ったぞ」とあせっていると、パトリシアがオギーを呼んでシャツをガバッとはだけて黒いブラの胸をみせ、瞬時にオギーのチンポが勃起でチリチリン。なんてバカバカしさは、もう「みごと」のひと言。
　とにかく愛すべきノータリンぶりで、ただただ嬉しさ爆発。予想を越えた志の低さがもたらす満足度は相当なもの。
　アル・タンタイ監督、やるじゃないか。
　アンドルーの父であるドンの浮気相手がメル・キムラ演じるオギーの母との偶然は、さすがに強引なこじつけだと感心しないが、マイキーの母が判明し、エリザベット・オロペッザ演じるユーモラスな中年女性で、マイキーがおばさんに口説かれたと勘違いするオチもニヤニヤを招く。
　まったく、すごいパワーです。
　なお、大学の女医を演じたアリシア・レーンが、久々に熟女の色気を放って存在感を示し、若い頃を思いださせてくれる。チノの母親役でシタ・アスタルスが出演とクレジットにあるも、結局どこにいるのかわからなかった。