03年：ＶＩＶＡフィルムズ／シネマ・ヴェンデッタ／ファーボール
監督：ライル・ネメンソ・サクリス
第一話
ＤＩＡＮＥ
主演：ジェン・ロセンダール
第二話
ＣＲＩＳ
主演：グウェン・ガルシ
第三話
ＪＡＮＥ
主演：マイルス・ヘルナンデス
共演：ジョエル・トーレ
レーモンド・バガチング
ボビー・アンドルーズ
クリスティン・ジャカ
ヘーゼル・カブレラ
ライアン・アイゲンマン
ＶＩＶＡホット・ベーブスのうち、メインであるマウイ・テーラーとカチャ・サントスを抜いたメンバーでつくった作品。アンドレア・デル・ロサリオもいないので、主役級以外の者にスポットをあてようとの狙いだろう。
カチャは第一話のパーティー・シーンにチョイ役ゲスト出演し、役名がケカだから、ほぼ同じ時期に公開の主演作『ＫＥＫＡ』のキャラクター。だったら『ドラえもん ぼく、桃太郎のなんなのさ』と『２１エモン 宇宙へいらっしゃい！』における同一シチュエーションへのまぎれこみみたいなウィットのある登場にしてほしかった気がするが、サーヴィスだからこんなものか。
核が不在といっても、マイルス・ヘルナンデスはカチャやアンドレアよりもファンだし、ＶＩＶＡホット・ベーブス以外でも大好きなイダ・マンザノが出演だし、新人のエーシャ・アグカオイリも顔をだすのに期待がかかる。
マウイ主演の『ＧＡＭＩＴＡＮ』、カチャの『ＫＥＫＡ』を監督のクァーク・ヘナレスがライン・プロデューサー、マウイとカチャ共演の『ＳＥＸ ＤＲＩＶＥ』を監督のロベルト・ケブラルが第一話の撮影とクレジットが読め、あれらのような小細工の多用によってオシャレな映像をつくろうというＭＴＶふうの内容か。だったら短編か中篇くらいのほうがしっくり収まるだろうから、オムニバスにして正解かも、なんて予感が盛りあがる。
結果からいえば、ライル・ネメンソ・サクリスが意外と、とは失礼ないいかただが、うまかったと評価したいところ。
まずはジェン・ロゼンタール演じる奔放娘が処女を喪失のエピソード。垢抜けない田舎ものだったのに、マニラで寮に住みながら学生生活をおくるうち、酒、タバコ、男と走ってハデな生活に陥ったとの設定。これまで次々とベッドで３Ｐを含め、愛撫を繰り広げながらも、常に最後のセックスだけは拒んできた遍歴が示される。唯一、肉体関係を許したのがキャリー・クディア演じる女性だったとは、オチへの伏線。もっかジョン・Ｃ・ボルハ演じるボーイフレンドと交際中だが、ライアン・アイゲンマン演じるカレッジ・バスケットボールのスター・プレーヤーで、タレント活動もおこなう同級生へヴァージンを捧げようと決心する。いざライアンに迫ってみれば… で失望とともに帰ってきたとき、ジョンがジェム・ナヴァロ演じる寮の仲間と浮気中。怒ってケンカに発展も、そのまま自然の摂理（？）でセックスへと進むわけである。
ライルの演出はスティール写真の枠を画面に取りこんでコマ送りっぽい表現を挿入など、ファッションを意識おくみせかたがいかにもクァークの流れをくんでいる印象。ライアンの優勝パーティーにおける人間模様をライトな感覚で描き、レンズの選択やカメラ・アングルに凝るあたり、ＣＭタッチを連想させる。それだけに中身が何も残らない、深みを欠く軽薄さばかりが前面にでたのはしょうがないか。
セクシー・パンチは、いきなりの猛打に嬉しくなる。長身のジェンは顔が骨っぽく、個人的にそれほどタイプとはいえないし、やや猫背なのも気になるが、ボディーの迫力はヌード写真でも明らか。バスケットボール選手であるはずのライアンより背が高そうなのが、もっと配役を考えてくれよとの笑いを誘う。それはともかく、いきなり冒頭からすごいのなんの。寮の部屋へちょうどボビー・アンドルーズ演じる男を連れこんだとき、ジョンが訪ねてきて大あわて。フィリピンの女子寮は男子禁制じゃないんだと驚きのうえ、本人よりもイダなどが演じるジェンの友人のほうがフォローしまくって、この友情はさすが、なんておかしさを醸しながらも、登場ショットがジーンズに包まれたお尻のウルトラ・ドアップでオーーーッと。顔をみせる正面へ切りかえせば、乳首のポッチが浮きでたシャツがゾクゾクゾクッとそそる。ベッドでボビーの上へ乗るや、ジーンズをボビーが脱がせようともがき、ジェンが半ケツ状態に。卑猥さをあおって露出した割れ目へボビーが手を突っこむのに、ピシャッとシャット・アウト。再びジーンズをズリおろしてＴバック・パンティーが現われ、三回目はパンティーも一緒にまくれて、カッコいい半ケツの挑発が頂点へと導く。うまくピンチを乗りきって相手がジョンに変わり、今度は完全にジーンズとパンティーを抜きとって丸ハダカになったジェンの下半身へしゃぶりつくように、陰毛のあたりをジョンがなめる。ブラだけつけたボディーのエッチな誘惑は、はかり知れないパワーを放つ。
映画も巻頭においてヘロヘロのパーだから、この話だけでなく、あとに控える二つのエピソードをみるだけの体力を奪ってしまうではないか。ほとんどボクシングで１ラウンドの開始と同時にカウンター・パンチをくらってノック・アウトのようなもの。ボクシングと違って試合終了とはいかず、映画はどんどん続いていくため、とにかくカウント・ナインでようやく立ちあがった気分でフラフラしながら鑑賞持続となる。
さらにジェンはライアンとのセックスを暴力的に、やさしく、センティメンタルに、泣きながらなどとイメージのシーンで、寝ころんだ姿を頭から撮った黒いブラの上向きオッパイが鮮やかな谷間。浮気発覚で「やらせてくれなかった」というジョンとシコシコ始めると、正常位で、バックでオッパイをもまれ、いやはや拍手大喝采ものに魅せまくる。
イダはそろそろ三十歳近いはずなのに、ジェンの友人との役柄だから、若づくりがアレレ。年相応なら美人だけに、やや減点なものの、オカマの男が相手だったという初体験の思い出を語る際に、オッパイをドバーッと丸だしが素敵。パーティーのドレスが今にもポロッとオッパイがこぼれてもおかしくない大胆デザインで、鼻息を荒くさせる。ジェムはジョンとのセックスをみつかり、赤いパンティー一枚で逃げるも、オッパイを手で隠して惜しさを残す。
あとアナ・レアー・ハヴィエールとエリア・Ｖの新人二人がジェンの友人を演じ、アナはパーティーでアヴァ・ヤップとマルラ・アンチェタ演じる出席者とトイレでドラッグにきょうじるとき、ヘソだしの黒いジーンズを引きあげるポーズがムズムズを呼ぶも、イマイチ興奮へ結びつかない。エリアは口説かれた男たちに「レズか」とからかわれ、イダにキスして「レズよ」と答えるおかしさのみで、色っぽさとは無縁だった。
なおジェムがジョンのことをネタにとる会話の中で「毎週金曜日に『ボルテスⅤ』を必ずみている」との台詞にニタニタ笑いが起きる。
第二話はがらっとタッチを変えて、ヨーロッパのアート・フィルム系のくすんだ手法にちょっとびっくり。ライル、なかなかやるじゃないか、としばらく感心することしきり。
グウェン・ガルシ演じるヴィジュアル・アーツを学ぶスタッフがジョエル・トーレ演じる映像作家を紹介され、そのアブノーマル一歩寸前の個性にあたふた。一方で中国寺院に隠しカメラを設置で祈る人を狙いながら、クリスティン・ジャカ演じる女性の信者にレズ的な恋心を抱くとのストーリーで、オッパイをモロみせに道路脇の草むらに転がるグウェンの寒々とした心象風景の出だしから、いったい何を描きたいのかとの好奇心をそそる。ジョエルのセクハラっぽい面接や、アトリエにある擬人化した犬のフェラチオといったシュールな絵画の猟奇性、街の中でパンツ一丁になるジョエルの衝動的性格、ＳＰでベートーヴェンの月光ソナタを流すムードづくりなど、いささか奇をてらいすぎなのは事実。とくに乗客のいないバスで痴漢にグウェンがチンポなめを強要される異様さは、あまりにもリアリティーをそぐ。チューズデー・ヴァルガス演じる同僚にグウェンがジョエルを女たらしとの忠告を受けるも、ついつい近づいてしまう気持ちは理解できるかな。
途中でグウェンがレイプをうけ、ちょっと待った、ファースト・タイムを扱うんじゃなかったのかと首をかしげると、グウェンがフェイク・チンポをつけてジョエルのアナルに挿入という男女のリヴァーサル・セックスにかわり、ホントひねくれた初体験の実行にあきれたのが本音。ただし単独としてはヘンな作品と片づけたかもしれないが、前のいたって浅い表象的なエピソードとの落差が大きく、このヴァリエーションが可能なライルの才能に納得の次第。
グウェンは顔が平板だし、ヘソに宝石をはめていておよそタイプから遠い女優だが、ハイライト的なシーンでセクシーさを際立たせるのがさすが。たまたまジョエルの撮影中にスタジオへくると、ヘーゼル・カブレラ演じるモデルが緑に全身ペインティングし、ジャズ・エスカド演じるモデルが黒いビニールのボンデージ衣装でポーズをつけているところ。構図的にもの足りないからグウェンに「入れ」とジョンがいい、嫌がるグウェンを無理やり被写体にする。「ハダカになれ」で赤いパンティー一枚にむかれ、グウェンはオッパイを堂々のみせっぱなし。椅子に座って前からヘーゼル、うしろからジャズの愛撫をうけ、ヘーゼルがオッパイをさわったり、谷間に顔をうずめるショットで乳房のドアップがおいしそう。グウェンがヘーゼルの乳首を吸い返すや、やっぱりダメと逃げだすも、ヘーゼルの緑まみれオッパイは正直いって嫌悪感を伴う。あくまで好みの問題だが、個人的に自然なヌードを美ととらえているだけに、ボディー・ペインティングは対象外。ジョエルを逆レイプのシーンはヴィデオ・カメラを向けられ、今度はさっさとグウェンがストリップもどきにブラまではずし、コミカルなセックスをはじめ、突然の軽快さによるタッチの違いから全体のトーンにしっくりなじんでいないのは演出の計算不足か。騎乗位のバックでジョエルを犯すグウェンのオッパイ・プラプラに、思わず生つばゴックン。ただしフェイス・ペニスをふんどしのように巻いてつけたグウェンの臀部が生尻でなく、パンティーの上からなうえ、フラッシュのつなぎが落ち着かず、ちょっとマイナスよといいたくなる。もっとも先にバス・タブから乳首をドドンと驚愕のアップで披露の入浴シーンがあるし、クリスティンのあとをストーカーのようにつけまわしのうえ、彼女の読んでいた本を失敬し、自分がページに目を通すのはなぜかトイレ中。オッパイはみえないが、パンティーをおろして便器に座るかっこうがヒワイだったりで、グウェンに拍手ではある。
クリスティンはグウェンのレイプの相手がイメージの中でクリスティンに変わるとき、女同士のキスにドキドキ。やはりグウェンの欲望を具象化する映像でオッパイをチラッとうかがわせるも、完全にオッパイ全開で迫ってくるグウェンにかなわず、ゲスト扱いなんだなあとの不満が残る。
すべてがグウェンのための作品に違いないが、第一話で消費しまくったパワーを復活にまではいたらなかったようだ。
第三話はすごく一般的な青春ドラマの形をとり、通俗ものだってちゃんとやれるんだぞ、との底辺をライルが主張したように思えてくる。
マイルス演じる女学生が主人公で、エーシャ演じる同級生とともにカフェでアルヴァイト中。エーシャがコール・ボーイに抱かれる開放的な面を持つ一方で、マイルスはまだ処女と奥手。店へちょくちょくくるレーモンド・バガチング演じる中年の客にときめきを覚え、全裸を想像したりで我慢できず、思いきってアタックを敢行する。レーモンドから大人の世界をみせてもらうものの、実態はただの女たらしとわかってガツンと一発くらわせる、とのありがちな展開になる。
レーモンドに「何歳だ」と聞かれ、24、22、21、20、18とマイルスが背伸びしたがるのがおかしく、フィリピンではどこかの国のアホ・ギャルと違って、19歳はババアじゃないようだ。ベッドでレーモンドが「ヴァージンか。心配いらない。やさしくするから」なんていいながらも、いざ始めると乱暴にかわり、それでも翌日にマイルスが満足げな表情をつくっているのは、はたしてどんなものか。エーシャがマイルスの部屋でブリーフをみつけ、ヴァイト先でマイルスに「これは何よ」とつきつけるとき、マイルスが商品のパンばさみでブリーフをつまんでいて、ウウェー、バッチー。こんな知らぬが仏は、日本の飲食店でもしょっちゅうだと聞く。タド・ヒメネス演じるヴァイト仲間がマイルスにあこがれを抱き、オナニーを母親にみられそうになったりのあと、あっさりフラれてエーシャとセックス。エーシャが妊娠と知って逃げるので、マイルスがタドのチンポを携帯電話のカメラで撮影。携帯がリチャード・メルク演じるオカマの店長のものだったため、タドと店長がホモ関係に陥るオチは単純なコメディー要素と判断する。
マイルスはややツンとすましたように崩れた容貌が魅力的な、下半身に鼓舞をくれるタイプの女優。セックスの夢をみていると、エーシャにゆすられる寝起きでパンティー一枚、ヴァイト先の更衣室で制服に着がえる際のブラ、教室で机の下からスカートをのぞかれるときのパンティー、寄宿舎でダドからの電話を断るしぐさでの食いこみ短パン、レーモンドにコーヒーをだすとき、わざとはだけてみせる胸元の谷間、レーモンドの誘いに応じてオシャレの準備での白い下着など、チラリズムでそそりまくる。脱ぐとさすがにムンムンのフェロモンが充満し、元気満々、ビンビン確実のボディーで再度ボキボキを招く。レーモンドとの初体験で全裸になるのを正面から撮るショットで、オッパイを丸みせにウオッと視線を奪ったあと、パンティーを脱ぎながら股間に陰毛がでちゃいそう。はずしたブラを手にとって嗅ぐレーモンドが、まさにスケベ親父っぽい。「キスして」「違う、下に」でフェラを強要され、前かがみなったマイルスのお尻が画面の手前からググッと突きだしてきて、もう、アヌスが映ったらどうするの。セックス三昧の二回目以降は、スリップの上からオッパイをモミモミしつつパンティーをはぎとり、レーモンドがマイルスのアヌスをなめるから、いかにも快感が伝わってくる。エーシャやダドが目撃のシチュエーションで座位から海老そりにもだえるポーズをとったり、レーモンドのオッパイわしづかみにムギュムギュのうえ、激しくピストン運動に励んだり、鍵穴からのぞく構図でオッパイが飛びだしてくるような広角レンズのショットなど、もう二度と立ちあがれないほどの強烈パンチの連続。水浴びを斜め上からとらえた、オッパイの形におそれいりましたとひざまずかせるに足る素っ裸や、キッチンでワンピースをめくってオナニーするお尻だしプロポーションと、カラミ以外にもあ然のミセミセで、こちらはただ燃えつきるのみ。
絶品！
自分としてはＶＩＶＡホット・ベーブスで、やはりマウイとマイルスの二人（シェリーもメンバーと仮定すれば、シェリーを加えた三人）に悩殺だなあ、とあらためて認識にいたったわけ。
あとエーシャはコール・ボーイとの立位、タドとの勝手にイカれてあくびのでるマグロの正常位とセックス・シーンが二度あるも、ずっとオッパイを隠したまま。残念といえば残念だが、パトリシア・ハヴィエールのイメージ・ヴィデオ『ＢＡＲＥ ＮＡＫＥＤ』の中でレズの相手役を演じ、たっぷり全裸の肉体を先にみたとき、ヘソにピアスをつけていて好みからはずれると感じたから、まあいいか。
とにかく三本立てを一気に堪能したに近い、お得感のある作品とオススメにあたいする。あくまでエロティックな視点でだが…
※ ２００４年初頭、マウイの脱退をきっかけにＶＩＶＡホット・ベーブスが新結成され、『ＫＥＫＡ』に端役で顔をだしたジェイシー・パーカーとともに、エーシャ・アグカオイリ、アナ・レアー・ハヴィエール、エリア・Ｖがメンバーに選ばれている。
